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「ステファニーは僕の宝物なんだよ。だから、たくさんの幸せを感じて欲しいんだ。」
「そうだ、前に鉢植えをプレゼントしただろう。」
「はい、綺麗な青の花でした。」
「ステファニーは花壇に植え直したよね。僕が言った事を覚えているかな。ピンクや黄色で色が揃っているところに色が違うのを植えるのは変じゃないかなって言ったんだよ。」
「はい、色は違うけどたくさんあるところの方が寂しくないかと思って。」
「あの時、鉢植えに一人ぼっちだと寂しそうだからみんながいるところに植えたかったと言ったんだよ。」
セドリックの言葉にステファニーは、戸惑うような視線でみた。
「一人じゃなくて、友達と一緒に過ごす楽しさをステファニーにも味わって欲しいんだ。一人じゃ味わえない様々な事をね。」
セドリックは、悲しそうな目をしながらステファニーをみた。
「僕も最初は傷つくくらいなら屋敷の中にずっといてくれてもいいと思ってた。でも、それは間違っているって今は思う。外に出たら、傷つくこともあるかもしれない。でも、それ以上に楽しいこともたくさんあるんだよ。友達を作ることは、きっとステファニーにとって怖いことばかりじゃないよ。」
「もし、たくさん傷ついたらどうすればいいですか。私は怖いです。」
「大丈夫。僕が助けてあげるから。」
セドリックは力強く言ったが、ステファニーは目をふせた。
「さては、お兄様を信じられないな。シスコンと友達に誉められるお兄様を信じなさい。」
そういって、胸を張るセドリックにステファニーは笑ってしまった。
「お兄様、それは誉め言葉ではありませんわ。」
「やっと、笑ったね。不安ならたくさん気持ちを聞かせてくれればいい。僕に話しにくいなら、エイミーにだっていい。彼女はお前の気持ちをちゃんと聞いてくれるよ。結論を出すのはそれからでいいからね。」
そう言うと、セドリックはもう一度ステファニーを抱きしめた。




