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ウキヨエの《のっぺらぼう》

祖国ウキヨエ国の大いなる危機に大国アドで伝説の存在 《煉獄のアルケミスト》を探すリュカだったがそこでアルケミストの妹だと言うアシュラに出会う。 兄を探すアシュラと共に「星は惹かれ合うという」 兄の言葉をヒントにマオーヌ地方の星であるライアン王の元を訪ねたリュカ、急遽 暗殺集団《黒猫》のアジトに乗り込むことになったが…

『逃げる』

ライアン王がそう言ったその時暗闇から何かがぬめりと這い出た。



「わしらがお前などに全てを託すと思うか小童。それでは頼んでもよいかダーティー・スターよ。」

どこからか割れるようなガミガミとした年寄りの声がする。


「煩いじじいだ。」


男は猛スピードでこちらに斬りかかってきた。持っていたのは曲がった剣、中ぐらいしかし刃は大きく美しい剣だった。受け止める前にライアン王が制止する、と同時に反対の手から投げられたナイフが喉元に飛ぶ。その瞬間ライアン王がコウモリを飛ばし弾いた。


「リュカ殿、本力でない君にこやつの相手は難しいでしょう。

 少なくともこれは…《星》に匹敵する!!」


そう言っている間にも飛び道具が飛んできているがライアン王は波打つ毛並みでそれを弾いていた。


「お前が熱砂の大王か、ならこれじゃあだめだな。」


ダーティー・スターと呼ばれた男は暗闇の中に隠れこう言った。


「本気を見せてやる。」


「貴様の本気を見るまでもないわ、リュカ殿よここは逃げるぞ!『眷属よ我の声に従い給え』」

洞窟が振動する。ダーティー・スターも同時に飛び出してきた、

両手にあったのは細く歪な釘であった。しかし


「私の方が早い!さらば。」


ライアン王から噴き出した熱の壁に何者かは後退せざるを得なかった。ライアン王の詠唱を警戒した、敵の一瞬の隙を着いた離脱だった。マントふわりとに包まれふと気づくとそこは洞窟の入り口であった。



「さぁ逃げますがよろしいか?」


「逃げようー!」


「最後の奴は一体何だったんだ。」


「リュカ殿黒猫は奴らに使われていたに過ぎませんぞ。

 やつらこそが真の黒幕の一端、正体は分かりませんが只者では無いでしょうな。」


「そうか、忠告感謝するライアン王よ。」


「構いませぬぞ、客人達よそしてガンズイ良い経験になりましたかな?」


ライアン王のコウモリ馬が地面から這い出て来たところで四人は乗り込み離脱した。




____黒猫アジト

「だからこんなやつに俺の跡を継がせるのは反対だと言ったんだ。何がバタフライ・スターだ。」


「ひぇっひぇっひぇ、まぁええじゃないかまたお前さんが戻ってきたのじゃから。」


「今回もただ目的が一致しただけだ。」


「偉そうなことをゆうておるが奴らを逃す気か?ダーティー・スターよ。」


「 …」




_____コウモリ馬車内

「それにしても大変なものに狙われてますなリュカ殿、もしかしなくともあれが狙いでしょうな。」


「はい、我々の一族は過去に罪を重ねてきました。

 今では社会に受け入れられているが未だに他の一族の年長者達には煙たがられます。」


「その歴史もまた財産、我々ドラキュラも罪を重ねてきました。」


「なんのこと?」


「昔一族が良くないことをしてたって話だ。」


「ふーん、でもリュカはリュカまだリュカのことよく知らないけど

 なぜか一緒に旅することになったけどこれも運命だなって

 今はリュカで良かったって思ってる。」


「シェラ...そうだな君のお兄さんを見つけて見せる、そして国を救うのだ。」


「二人は良い中ですな時に

 …三人とも先に帰っていなさい。」


ライアン王から急に殺気が立ち始め溢れる毛並みも逆立ちうねり始めた。


「キーーース、馬車を止めるでないぞ!」


馬車の先頭にいたコウモリ馬がバサバサと翼を揺らした。


「それでは若い子達よ、無事帰って待っていてください。

 私は少々帰れないようですので、リュカ殿剣を借りますぞ。」


空気に緊張が張り詰める、ライアン王が荷台の後ろに立った瞬間、

ガギィィィィンンンン!!!


鉄がぶつかる音がした。


音がした後にやっと見えたのは先ほどダーティー・スターと呼ばれていた男だった。


「素足で馬車に追いつくとは化け物ですなぁ。」


「ヴァンパイアに言われたくはない。」


「それではダンスでもいかがでしょう?」


ライアン王はダーティー・スターを掴み投げると自らも馬車を飛び出した。


「ガンズイ!二人を頼みますぞ。」

剣の音は徐々に遠くなって言った。あまりの急な出来事に三人は言葉を失った。






そのあと馬車は静かに走った。疲労が溜まったコウモリ馬は高度を少し下げ地面から少し高い位置を走りながら剣闘士訓練学校への最後の渓谷を越えようとしていた。


ガンッ!


「ふたりとも!!」

リュカはいち早く音に気づき二人を先頭の方に突き飛ばす。


「リュカどの!」「リュカーーー!」


その後爆発音と共に馬車の後ろ部分は爆発と共に砕け散った。


「二人とも学校からライアン王の応援を!」


「ガンズイ!!待ってリュカが!」


「アシュラどの危ない、ここは戻るのが先決です。」


「ガンズイ!シェラを頼む!」

二人の乗った馬車は走り去る、馬車から落ちた剣を空中で拾い壁に突き刺しなんとか着地する。



「お前ライアン王はどうした。」

黒くぬめりと動く嫌な雰囲気の男は三度自分の前に立っていた。真夜中の月明かりにさえなじむその動きはまさに死神だった。


「どうだろうな。月光で伸びてるかもだな。」

真夜中に笑えない冗談を言って、『はっはっは』と男は高らかに笑った。


「ダーティ・スター。」


「俺の名前を覚えたか、ならば尚更死刑だ。」


強い言葉を発するダーティースターだったがその体はボロボロだった。全身傷だらけ裂傷や吐血、片腕もまともに上がっていない、頭からも大きく血を流している。


「その姿で追ってくるとは返り討ちだぞ。」

「貴様程度ならこの状態で十分、そうだな俺の体を見せてやる。」


服を脱ぎ捨てた奴の体は余りにも不自然だった。


「ここは誰だったかな誰かにやられた、そしてここもここもだ。つまりは代替え品ってとこだそうじゃない部分もあるが。知り合いがそういうのが得意でね俺の体はこうやって出来ているんだ何十何百の戦いとそして失ったパーツを適当に集めまた戦う、俺は負け越しは嫌いなんでね。」



自分の体をパーツと呼ぶ奴はまさに戦闘のプロ、

その体の傷と繋ぎ目が奴の自信とその強さを表していた。


剣をゆっくりと抜き構える、たしかに今のままでは負傷している奴にさえ勝てそうにない、

それほどまでにダーティー・スターの迫力は物凄いものだった。




『リュカーーーーー!!!!これを使え!!』

パシッ



何処からか聞こえた馴染みの声と共に飛んできたのは妖怪戻りの丸薬だった。


「これはっ、間に合ったか小次郎!!

 何処にいるか知らんが助かったぞ。」


そう叫びゴクリと丸薬を飲む。と同時にダーティー・スターが飛び込んで来ている、剣で持っているナイフをさばくが器用に片手で別のナイフを飛ばしてくる、まさに人間離れした動き


「戻る暇もよこさないという訳か!」


「面倒になるのはごめんだ。ただその姿見てみたくはあったぞ。」


腹に痛みが走り景色が高速で移動する。いや違う蹴り飛ばされた!!『ガハッ』


「きちんと死んだか?」




おかしい。壁に叩きつけられたはず、蹴り飛ばされ、

しかも尋常じゃない速度で、しかし何故かあまり痛みを感じない。



そうか、忘れていたぞこの感覚。

「人間とは不便かもしれない、良い所もあるがやはりこの姿が戦うなら1番だ。『間に合った!』」




めきりめきりと体が変わって行くのがわかる、月明かりで隠れ影になっている壁のそばで部分で蒸気を発しながら体の形が変わってゆく。

痛みが引いていき感覚が鋭くなる


『これならやれる。』


月明かりから影になっている場所から出る。

一歩、二歩、その姿を見たダーティー・スターの顔はみるみると変わっていった。


「お前!お前があの()()()()()()か!!

 そうかそうかなるほどな何故ジジイどもが執拗にお前を狙ったか分かったぞ。

 確かにお前を簡単に排除するなら今しか無かった!!いや今ではもう無理か。」



「我こそは!!百鬼近衛兵が一人のっぺらぼうのリュカ!祖国ではリュカ=オズワルド!

 貴様ら私がこの姿に戻ったのだウキヨエ国に近寄る下郎どもめお前たちに手は出させんぞ。」



その姿に()()()()

真っ白なつるつるてんの顔には狐の毛並みのような赤い文様が浮き出ている。


今まで着ていたとんと普通の鎧は何処へやら、その風貌は着物へと変化していた。

着物の中には薄い甲冑のような物を着込んだその姿はまさに『武神』


これがリュカ=オズワルドの真の姿であった。



「粋がるなよガキが貴様も障害の1つではあったが

 貴様が出張ったところで今回の陰謀の結果は変わりはしない!

 そしてその貴様もここで終わりだ。俺の本気を見せてやる。」



「いや終わりはしない、

 お前を倒して旅は続けるこんな所で終わって良い旅ではないのだ!!」



その激しいぶつかり合いは夜を徹して行われた。

そして二人の戦いは三日か四日かはたまた一月か、

夜をいくつ超えただろうか?


そしてその戦いの最中シェラやガンズイ、ライアン王が助力に駆けつけることは無かった。


そして声を荒げリュカに丸薬を届けたはずの小次郎も最後までその戦いに顔を出すことは無かった。


その行方はある者だけが知っている。




序章 完



リュカ


◆主人公 ウキヨエ国出身 半妖


その正体は《白面の化け狐》と呼ばれるウキヨエ国随一の戦士。のっぺらぼうと化け狐のハーフで顔は無いが狐の様な赤い文様が顔に浮き出る。


持ち物:王家の七つ道具

残り6個。 その内の一つ《絶えずの××××》




アシュラ(シェラ)


◆《煉獄のアルケミスト》の妹

魔法使いであり、光を操る。

ヴァイオリンを弾ける。



《煉獄のアルケミスト》

◆アシュラの兄、星と呼ばれる者の一人



◆運命を変える者をそう呼ぶ



ライアン王

◆マオーヌの王であり星と呼ばれる者の一人  ヴァンパイア  基本的に傘をさしている。


《熱砂の大王》と怖れられている。


その力は日光を浴び続けたことで体に宿った太陽ともほぼ等しい熱量。 素でも強い。



バタフライスター

◆反逆のカリスマと呼ばれる強敵

体には今までの戦いの傷があり、戦いで失った腕や足を何らかの方法で蘇生させている。


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