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炎龍の尻尾《ボルケイノ》

街の大いなる危機に大国アドで伝説の存在

《煉獄のアルケミスト》の情報を探すリュカ

西の海岸星屑の墓場で男達に襲われあわやという

ところで

「わたしこそ《煉獄のアルケミスト》!!」

と名乗るアシュラに出会う。


星と星は運命の出会いをする。

「私は煉獄のアルケミストなのだから!!」


彼女がそう言い放った時には奴らの姿は無かった。

大蜥蜴おおとかげが出てきた時には既にだろうか

あまりに怯えた顔で逃げ去った彼らが印象的だった。


「邪魔者居なくなったから、少し話さない?」


彼女が言って、パチンと指を鳴らすと蜥蜴の形をしていた光はそれぞれの墓地へと帰って行った。光が戻ったその墓地の中にいるとさながら星の海の中に浮かんでいるようであった。


「まず手当。これでだいじょうぶ?」


彼女は千切った服の布で頭に包帯のように巻いてくれた。

「ありがとうアシュラ、大丈夫傷は深くない。」


「あのねじゃあ改めて。」


「そうだアシュラ!君が《煉獄のアルケミスト》だったのか!凄かったぞあの蜥蜴。

 伝説通りだ!何もかもを生み出す伝説の錬金術士、その技見惚れたぞ。

 ぜひ私の国を救ってほしい!!!」


「あ、あのね。えっと私はアルケミストじゃない。」


「何を言っている、あれを奇跡と呼ばず何と呼ぶのだ。」


彼女はか細い声で言う。


「えっとあれは魔法で、あのトカゲも何もできない。あれは光で形を作っただけ。」


「ちょちょっと待ってくれ、どういうことだ。」


「えっとこれも本当はひみつなんだけど。

 私はね魔法使いの一族、でも光とかを操るくらいしか出来ない。

 それでさっきの蜥蜴は作った。えっと煉獄のアルケミストって言うのも嘘、

 さっきも怖かったの。勇気を出したの。」


「冗談を!あれは演技などでは無かった、

 正体を知られては困る理由でもあるのか?

 誰にも話さんから頼む私の国を救って頂けないだろうか!」


「ごめんなさい本当に嘘で。あなたを見つけて助けようと思って飛び出しただけ…」


「それは本当なのだな。」

確かにリュカもそれが真実だと一番わかっていた。《煉獄のアルケミスト》は男だ間違いないのだ、ただ目の前で起こった奇跡とそうであればいいのにという期待が先行してしまっていた。


「うん。」


彼女の顔に嘘は無かった。


「ただ、《煉獄のアルケミスト》は知ってる。」


『!?!』

「なんだと!それは誰なのだ知り合いか!?」


「うんとっても知ってる。さっきの話し方も彼の真似をしてみた。

 私の兄さん、私の兄さんが

 《煉獄のアルケミスト》。」




_____________目を覚ますとベットに寝ていた。

陽気な楽器の音と大人達の騒がしい声、魚の焼ける香りここはパ・オーマの港らしい。下からは陽気なバイオリンの音が聞こえる。一回に下りるとあの時の一団がまた演奏していた。


『ここはあの宿屋か』

目を凝らすとバイオリンを演奏していたのはあのアシュラだった。彼女の演奏する姿は何にも例えがたく美しかった。

拍手喝さいを受け彼女はこちらに歩いてきた。


「どう私楽器が弾けるの、あなたは?」


「いや特には弾けないな。」


「そう、あなたあのあと興奮して倒れたの。

 出血も酷かったけど宿の人たちが手当してくれた。

 あとシェラでいい、兄にはそう呼ばれてた。」


兄という単語を聞き星屑の墓場での会話を思い出す。


「そうだ!兄が《煉獄のアルケミスト》なのか!?」


「うん、でも私も探しているの。アルケミストが兄さんだとその確証を得るために、

 だから一緒に探してほしい兄さんを。」


「どういうことだ?」


それからアシュラは話し始めた。兄も魔法使いで兄弟は魔法を使ってよく遊んでいたらしい。そんなある日アシュラが家に帰ると兄はとても険しい顔をして一言、


『シェラよく聞け俺はきっと星になってみせる、

 けど大丈夫だお前も小さな星なんだいつかきっとまた俺と会える。

 星と星は繋がっているそういうもんだ。』


『待って兄さん』


『大丈夫お前も巡り合えるさお前を助けてくれる小さな星に』


そう言い残して家を出て行った。

兄の行方を探るため部屋を荒らした結果出てきたのは《煉獄の入り口》という古い本だった。

書いてある内容はさっぱりだったが『()()()()()()』で有名な煉獄に向かった事を知りアシュラは兄がなぜそんな事をしたのか、訳もわからず兄と再会する事を諦めていた。



そんな時あの三年前の出来事だ《妖の王国ウキヨエ国》それが魔物に壊滅させられそうだった時がある後に語られるウキヨエの騒乱だ。

その戦乱に突如として現れ、無から万物を生み出し世にも奇妙な術の数々でウキヨエ国を勝利に導いた男がいた。そしてその男は『俺は煉獄から帰ってきた』と名乗ったと言う。


そこで男は《煉獄のアルケミスト》と呼ばれるようになった、アシュラはこの話を聞いた時兄だと直感したらしい、煉獄から帰ってこれるなど私の兄しかいないと。




「そうか、目的は同じという訳か。」


「だから一緒にさがしてほしいの!

 まずはだから《星》の人を探せば兄の言った通り兄の手がかりが掴めるかもしれない。

 ついて来てくれる?」


「そうだなもちろん共に行こう、私も国を救わねばならぬ。

 世にも珍しき魔法使いの君がいるならば百人力だろう。」


「すごくないよ。本当の魔法使いはこんなものじゃないよ。」


「そうかでも君は私を救ってくれたじゃないか。私は何も救えていないがな。」

国を救えないばかりか無関係の人間を巻き込んでしまった事をリュカは悔やんでいた。


「そんなこたぁ無いと思うがね。」

その声に部屋の入り口に目をやる。

そこに居たのは自分を庇って矢に打たれてしまったおやじの姿だった。


「すっかり良くなったぜ、ほらこのとぉりだ!

 あんちゃんが巻き込まないよう外に奴らを追い出してくれたからだぜ。胸はれや!」


「おやじさん!

 いやそもそも私のせいで。」


「細けーこたぁ気にするな、

 死ぬときは死ぬ矢に打たれるときゃあ打たれるんだ。はっはっはっ」



「ありがとう...生きていてくれて。」



色々なところで我慢していた涙が一粒だけ後悔と共に流れ落ちた。

その涙は二人に気付かれずに静かにベットに染み込んだ。


「よぉーしお二人さん、今日はうめぇ飯を用意してやるからな。ちょっと待ってろ。」


その日の宴会は朝まで続いた。おやじは利き手だけで料理を作るもんだからやはり凄い人だった。

アシュラは人見知りなようでおやじさんは苦手そうだったが、

実はこの港に来た時店で店でヴァイオリンを弾いていたのはアシュラだったらしい。


私を見つけて星屑の墓場に逃げ一人で悠々と弾いているところでまた遭遇、これは運命かと諦めて話しかけようとすると私が襲われ始めたので勇気を出して助けてくれたのだと言う。


本当に私は様々な人に助けられていたのだった。




_______次の朝

「おやじ助かった!また顔を見せる!」


「おう、来い来い。そっちの嬢ちゃんもまた弾きにおいでや。」


「わかった、メンバーのみんなにもありがとうってつたえて。ご飯美味しかった。」


「世話になったなまた寄ろう。」


「おうまた飯を食いに来い。」

2人で馬に乗りおやじに手を振りながら走り出す。



「次はどこに向かうんだったか?」


「マオーヌ地方の剣闘士訓練学校。そこに星がいるってきいたことがある。」


「マオーヌ地方か始めての土地だな。」


「とっても熱い。」


「熱いのか!?」

二人は駆ける、馬に乗り風を切り共に同じ空気を吸う二人は同じ大地の上に立っていた。


ついに動き出す2人の物語、兄を探す妹と。国を救うためその妹の兄を探す者。

妹が星ならばその男リュカももしかすると...







ある場所_______


「逃したか。」


「申し訳ございません。煉獄のアルケミストの助力に会い我らだけでは手に負えませんでした。」


「何?煉獄のアルケミスト?!やつめついに表舞台に顔を出したか。」


「それで?性別は?」


「女でした。噂では男と聞いていましたが。」


「噂とは尾ひれ背びれが付くものよ。ガルダを呼べ。

 やつなら煉獄のそれを打ち取れるやもしれん。」


「は、次こそは必ずリュカ=オズワルドを始末します。!!」

タッタッタッタッタ


「ふう、雑魚どもを扱うのにも苦労するぞえ。最後は任せるぞダーティ。」


「...」





マ・オーヌ地方__________


暑すぎるこのマ・オーヌ地方では水分は命の綱、マオーヌを目指す道中熱砂の大地に入るまではまだ会話があった二人だったが砂漠に入ってからはピタリとその口数は減っていた。

数少ない会話でわかった事はシェラは突然切りかかったことにたいしては結構申し訳ないと思っていること、ほんとに口数が少ないが時々急にテンションが高くなる。


そしてなぜ私と共に旅に出ることにしたかと聞くと

『何度も出会うし運命かなと、あとリュカからは頼りになるぱわーを感じる』だそうだ、ただあながち外れてはいない。


「なぜ煉獄のアルケミストの真似を?」


「兄が色んなやつに狙われてるって、

 アドで聞いてそいつらをおびき出して私が倒してやろうって。」


「そんな危険なことを。だが大丈夫だこれからは私がいる!」


「...」


「どうした?」


「その私っていうのやめて。」

シェラは言う。


「なぜだ私は私だ。」


「だっておんなのこみたい。くすっ」


「なんだとぉ!シェラ!今のは取り消さんか!」


「やーだよぉーー。」


シェラは悪戯いたずらっぽい顔をして馬を強く走らせた。

このマオーヌ地方はサバンナ地帯、馬を走らせるには少し不向きな地形だった、

シェラを捕まえようと馬を走らせるが馬も足を取られてうまく進めない。

見るに耐えないのそのそとした追いかけっこをしているとその建物は急に現れた。


「ついたね。」


急勾配の坂を登りきった台地には厳いかつい作りの建物がどんと建てられていた。先程給水に寄った町のはずれ荒野の中に建っているその建物こそこの国の王であるライアン王直々に教鞭きょうべんをとる剣闘士訓練学校ラフォーレに到着した。




しかし大陸一の剣闘士訓練学校の面影はそこには無かった。規律正しき整った掛け声が聞こえてくるはずの建物からは悲鳴と轟音が鳴り響くコロセウムの決闘がまさに今行われているようだった。


「シェラ。」


「うん、なにかおかしい。」


「気をつけて行くぞ。」



門を抜けて中に入ると戦争でもしているのかと言わんばかりの戦の最中。

戦っているのはおそらく生徒と、その相手は誰なのか。

すると生徒の一人がこちらに駆け寄って来た。



「危険です!ここを離れてください。現在我々はあの侵入者と交戦中です。」


「私たちは大丈夫だ二人共戦ごとには慣れている。加勢しようか生徒よ?」


「願ったり叶ったりですがそれならば、

 中央広場の侵入者の相手をお願いしたい!

 奴だけは別格すでに何名も負傷しております。」


「了解した、案内を任せても良いか。」


「任せてくださいこちらへ!」



「ライアン王はどちらへ?」


「不甲斐ないことに我々が人質に取られてしまったため奴らに連れて行かれました。

 その後奴らに大人しく従っていた我々でしたがそれでも剣闘士の端くれ、

 隙を見て反旗を翻したわけです。」


「さずがラフォーレの者という訳か。」


「敵は何人?」


「おお麗しきお方よ、敵は三人です。」


「うるわしきおかた?」


「そこはいいんだよシェラ。」


「着きますぞ!」



到着した時には広場中央の銅像の上にやつは座り込んでいた。


「だれかつぇーやつは居ねーのかい。

 こいつもこれで終わりだい。手加減はしてやるぜ。」

敵は足を負傷した生徒にめがけて何か瓦礫のような物を投げた。


「やらせんぞ!」


玉の射線に飛び込み玉を剣の腹で受け止める

砕けたのは瓦礫がれきの破片だった

王国で鍛えたこの剣はそう簡単に折れることはない。



「強そうなやつが、きた。お、お前に手加減はしてやらんぞ。」


「上等だ久しぶりの一対一だこちらも剣が鈍っている、

 存分に私の剣を味わっていくと良い。」


「楽しみだ。」


やつは立ち上がりマントの中に手を忍ばせる。あの瓦礫の玉を警戒し構えるとやつは逆に壊れた校舎の中に消えていった。


「ふふふふふふふふ。」


やつの不気味な声だけが響く。


「生徒よシェラを頼むぞ!」


「任せてください。」


崩壊し明かりのない建物からはやつが何処からか見ているのかその場所がわからない。


すると先ほどと同じように玉のような物を投げつけてくる、だがその数たるや10や20ではない。

投げつけてくるものは崩壊した校舎の瓦礫がれき、奴にとっては武器の宝庫であった。


「そうです!この技に我らはやられたのです。

 やつは建物の中から全く姿を見せない中、

 一方的に近づかせずあの瓦礫をぶつけられてやられたのです。」



「姿を現さぬのなら使うぞ!七つ道具が一つ《絶やさ…」








その時だった。


「皆の者! なおれぇぇい。」


「この声は!」


「よくぞ頑張った小さな砂たちよ、

 そして客人よ我が国に来ての初めてのもてなしが襲撃とは無礼なことをした。

 しかし良くない、よくない私の偉大なる建築を...」




その風格はまさに太陽その男の視線に、声に、浴びせられる様々な情報は日光のようにチリチリと突き刺さってくる。これが噂に聞く《炎龍の尻尾(ボルケイノ)》と怖れられるライアン王その人であった。




「さぁ貴様ら私の偉大なる建築物を壊した罪、その血で!払ってもらうぞ。」


リュカ

◆主人公 持ち物:王家の七つ道具

残り6個。


アシュラ(シェラ)

◆《煉獄のアルケミスト》の妹

魔法使いであり、光を操る。

ヴァイオリンを弾ける。


《煉獄のアルケミスト》

◆アシュラの兄


◆運命を変える者をそう呼ぶ


ある場所の男たち(黒猫)

◆???



ライアン王


◆マオーヌの王であり星と呼ばれる者の一人


《炎龍の尻尾》と怖れられている。



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