彼女はいつも
僕は言った。
なにを言ったかは覚えていないが
とにかく卑下する言葉が口から漏れ出たのだ。
それを彼女は耳ざとく拾い上げて
少し不機嫌そうにこう言った。
「それって意味あるの?
自分を悪く言ったり
情けない顔したりして
それで状況は良くなるの?
あなたは成長できるの?」
言葉の上では疑問の形をしているが
それは明確な批判だった。
そうだ。
僕の経験則が示している。
なにも変わらないと。
なに一つ成長には繋がらないと。
ハッとして彼女の目を見る。
その目には慈しみの色が宿っていた。
彼女はいつも正しい。
僕は微笑んでこう言った。
「そうだね。ありがとう」
彼女は満足気に頷いた。