25話:整地と告白と村と
題名を決めようと思ってもなかなか決まらないものですね・・・
魔法解説>
ディストラクション:あらゆる状態異常・契約を解除、もしくは、正常化することが出来る魔法。似たような魔法にリカバリーとリジェクトが、存在する。
リカバリー:治癒魔法。あらゆる体の傷とあらゆる状態異常を治す。しかし、隷属や、精神操作と言った様な精神に関する状態異常を治すことは、出来ない。麻痺や毒と言った身体に関する状態異常は、治すことが出来る。
リジェクト:簡易的な契約魔法等を解除することが出来る。奴隷の契約や血の契約などの高位な契約魔法は、解除できない。
用語解説>
血の契約:ヴァンパイアのみが使用可能な非常に高位な契約。ディストラクションでしか解除することは、出来ない。
村長たちの話を聞いた蓮の頭の中は、巫女の事でいっぱいであった。しかし、村長たちの要望を聞かないわけにもいかなかったので、目標の地点に移動した。
「この辺で良いのかな?」
「えぇ、そうですね。では、斧を持ってきて木を伐りますね。」
「え?」
「え?」
「そんなめんどくさいことするの?」
「この方法以外に整地する方法があるのですか?」
「「・・・」」
完全に意見の食い違いが生じた。蓮は、魔法を使って一発で終わらせようとしていた。村人としては、木を伐って整地してと言った具合に事を考えていた。
「んー、とりあえず、みんなに離れるように言って?」
「よくわかんないですが、わかりました。」
村長がそう言うと、村人たちに指示を出して整地する場所から離れさせた。
「エアカッター」
蓮がそう言うと、開墾すべき場所の辺りの木を全て風の刃で切断した。その光景を見ていた村長たち村人は、空いた口がふさがらない状態になってしまった。
「フロート、グレーディング」
さらに蓮が2つの魔法を同時展開した。フロートによって、木が浮きグレーディングによって、地面は、平らになった。木を1カ所に集めてフロートの魔法を解除すると、ほぼ正方形のまっさらとした土地が出来上がった。終始唖然としていた村長たちであったが、しばらくすると、ようやく正気になった。
「えっと・・・」
「ん?村長さんどうした?」
「と、とりあえず、ありがとうございます!」
「おぅ。また困ったら次来たときに言ってくれ。それと、濠に関しては、また次来た時にでも詳しく決めよう。とりあえず、俺は、その噂の巫女とやらに会いに行ってくる!」
「道中御気をつけて!」
そう言って蓮と村長は、別れた。そして、迷宮に向かい皆を集めて今日聞いた噂話について皆に尋ねた。
――…――…――
「っと、言うわけなんだが、誰か知らないか?」
蓮は、村長に聞いた話を迷宮の住人皆に尋ねた。
「あ、それなら聞いたことがあります。」
アミンが、答えた。何でも、冒険者の時に護衛依頼を受けてその目的地が、巫女様の噂になっていたグレッグ村だったとか。ちなみに、その時村の中に入ったらしいが、特に違和感を感じない普通の村だったらしい。ちなみに、巫女様には、会えなかったらしい。
「よし、決めた。明日、俺とユリで行こうと思う。フィルは、変わらずアミンと監視を頼む。カアラとリリーナは、魔物の調査を頼む。その際にリリーナに魔物の調査の勝手を教えてやってくれ。セリーナは、アーシャやオリクの手伝いを頼む。それじゃ、今日は、解散。質問がある場合は、俺の部屋に来てくれ。」
そう言って蓮は、部屋へと戻った。その日は、特に部屋に来る人はいなかったので皆質問は、無かったみたいだ。
――…――…――
「さてと、あれがグレッグ村かな?」
「えぇ、そのようですね。あ、あれは、エスティアの貴族じゃないですか?」
「お、そうだな。あの様子を見ると帰っているところかな?」
「みたいですね。しかも、良い返事がもらえなかったみたいです。」
「巫女ってどんな人なんだろうなー。」
蓮は、ユリとグレッグ村に訪問に来ていた。そして、村に入る前に貴族が村から出ていくが見えた。そんな光景と共に雑談をしていると突然ユリが爆弾を投下した。
「・・・蓮様は、今の迷宮の方々だけでは、不満なのですか?」
「ぶはっ」
ユリの突然の質問に盛大に吹き出してしまった蓮。
「ゴホゴホ。いきなりどうしたんだユリ?」
「蓮様の周りには、ありえないくらいの美人美少女が揃っています。それなのに全然手を出さなければ、疑問にだって思いますよ。」
「ユリって、案外大胆だったんだな。」
しみじみとつぶやく蓮。そして、続けた。
「俺の場合、やろうとしてることは、国家の転覆だ。今は、傍から見ると平和と言える。その平和を俺は、壊そうとしているんだ。もしも失敗したら、その時は、問答無用で死ぬんだぞ?相手を残して自分だけいなくなるなんてそんなの俺には、耐えられない。だから、俺は相手を作らないんだ。」
「でも、蓮様をお慕いしている側からすると、蓮様以外の人に犯されることは、深い悲しみを持ちます。それこそ、自殺しようかと思えるぐらいです。私は、元々奴隷ではありましたが、こうやって婚約をしようと思っていた蓮様と再会したわけです。たとえどんな境遇でも好きな人に初めては、貰って欲しいんです。それにいなくなるなら余計に初めてを貰って欲しいんです。いなくなってから大事な物に気が付いて後悔するのは、嫌なんです。」
目元をウルウルさせながら訴えてくるユリ。どうも自分の考えが間違っているようだと感じた蓮。
「ユリ達の気持ちは、わかった。だから、今晩まで考えさせてくれ。今晩俺の部屋に来てくれるか?その時までには、答を出す。」
「はい。わかりました。」
微笑みを浮かべるユリ。女神の微笑みと思える程の微笑みで、それを見ていた蓮は、魅了された。
「とりあえず、村に入るか。」
「えぇ、そうしましょう。」
ユリの突然の告白に頭の中がいっぱいな蓮と微笑みを浮かべるユリがグレッグの村に向かって行った。そして、門番に止められた。
「ここは、エミリア様が納める自治領である。何の目的でやって来た?」
「取引のためにやって来た。巫女様に会わせて欲しい。」
「真ん中の巨大な家に行けば巫女様がいる。これを持って行け。」
そう言って門番は、木で出来た札のようなものを蓮に渡した。そして、蓮は、村の中へと入って行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
今回は、ユリの告白がメインでした!その日の晩、蓮とユリがどうなるかは、作者自身未だに決めていません。どうせなので複数のパターンを書いてみようかと思います!多分、次々回になるんじゃないかな?と思います。あくまで予定ですが・・・。
次回は、噂の巫女様が登場します。どんな巫女様か楽しみにしてください!
次回も楽しみにしていただけると有難いです。




