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元勇者の復讐劇  作者: 麗月
第2章:ビア迷宮誕生
21/48

19話:ボルボ賊~その3~

いつの間にか、PVが、30万を超えていました!


読んで下さる皆様方、ありがとうございます!



「あぁ、貴様何者だ?」


 そう言って、ボルボと思われる男は、乱暴に女を突き飛ばした。


「貴方は、賊のボルボで間違えないですね?」


「そうだ。」


「暁蓮と言います。ビア山脈の麓でダンジョンマスターをやっています。貴方の部下が、軽々しく俺のダンジョンの名前を使っていたんですが、貴方の指示ですか?」


「んなわけあるか。それより、お前、ダンジョンマスターと言ったな。どうだ?ここを襲撃したことは、水に流してやるから俺と手を組まないか?」


「具体的な話を聞かせてもらえますか?」


「なに、人をそっちによこすからちぃとばかし金をくれれば文句はない。どうだ?悪くないだろ?」


「ですね。でも、貴方には、興味がないので遠慮させて頂きます。」


「チッ。調子に乗りやがって、お前如きが、レベル90の俺様に勝てるわけねぇだろ。」


「へー、すごいですねー」


 感情をこめずに蓮が言うと、ボルボがナイフを投げて来た。それを難なく蓮が躱すと、


「てめぇ、調子に乗るな。もういい。死に晒せ」


「言葉が悪いなー」


「火の精霊よ、風の精霊よ、契約の元・・・」


(ここで、そんな大規模な魔法使われると痛いからなー、それより、あの女性を助けないと。)


「我が命を聞いて、辺りを見境なく焼き払いたまえ」


(次元結界)


 蓮が、心の中でそう唱えると、床で苦しそうにしていた女性と蓮の周りに薄い膜が現れた。それと、同時にボルボの魔法が、完成した。


「バーニングストーム!」


 ボルボが、そう言うと、部屋の中に小規模な竜巻が生じ、そこに炎の塊が飛んで行き爆発を起こした。その爆発と竜巻により、部屋の中に巨大な炎の竜巻が生じてアジトの一角を吹き飛ばし辺りを縦横無尽に焼き払った。


「ふははははは、これで奴は、今頃真っ黒の炭の死体だな!いや、この温度じゃ灰すら残ってないかもな」


「誰が、死体だって?」


「なんだと・・・?」


 薄い膜につつまれた蓮と裸の女性には、火傷どころか、煤1つすらついていなかった。


 次元結界。薄い膜を作りだし、中の守護の対象を別次元に飛ばして隔離する事が出来る結界で、別次元に飛んでいるため守護の対象が、現実の次元でいかなる大規模魔法や、大規模破壊兵器等の影響を無効化できる。そんな便利な結界だが、この結界を使うには、次元魔法を習得していないといけないので、実質は、蓮専用の結界である。


「ば・・・ばかな。いつの間に・・・」


「詠唱を必要としている時点でたかが知れているんだよ。せめて、俺の相手をするぐらいなら詠唱省略が出来ないとな。こんな風に。エアバインド」


 すると、ボルボに見えない風の枷がかかった。


「くそ、この程度の魔法・・・って、何故だ・・・」


「これが、俺とお前の差。どう?わかった?」


「くそ・・・ふざけやがって・・・俺たちが、お前たちに一体何をしたって言うんだ。」


「んー、俺が取引しようとした村にお前の手下が襲いに来たってところかなー」


「俺たちは、何も関係ねぇじゃねえか・・・」


「部下の尻拭いも上に立つ者の立派な仕事だよ?」


「ふざけん・・・」


「あー、言い訳ばっかりでめんどくさい。」


 蓮は、ボルボが言い終わる前にエアカッターで首を飛ばした。


「さてと、大丈夫ですか?」


 蓮は、そう言うと持っていた竜王のローブを女の人に渡し、治癒魔法の『ヒール』を掛けて傷を治した。


「えっとー、その助けて頂いてありがとうございます。私は、ファリナと申します。」


「蓮だ。元居た村に送ってあげようと思うのだが、故郷は、どこの村だ?」


「私のいた村は、牢屋にとらわれている2人以外、生きている者は、いません。このボルボ賊に滅ぼされてしまいました。」


「嫌な事を思い出させてすまない。」


「いえ、気にしないで下さい。」


「もしよければ、牢屋の位置を教えてくれないか?出来れば、人質皆を助けてあげたいんでね。」


「わかりました。」


「あ、少し待ってくれ。サーチ」


 そう言って、蓮は、このアジトにいるフィルとカアラを探し出した。そして、見つけた蓮は、ファリナと共に移動を開始した。



――…―Sight of PHIL&KARA―…――


「ねぇ、フィル。牢屋ってどこだろうね?」


「わかんない。蓮様もどこにいるんだろう」


「蓮なら大丈夫だよー」


「でしょうね。」


 フィルとカアラは、アジト内を牢屋を探して散策していた。


「誰かに聞いたらわかるかな?」


「カアラさん、ここで誰かにあったとしたら、その人は、賊ですよ?」


「あ、そうだった!」


 テヘッと言わんばかりのカアラの雰囲気にフィルは、少々呆れていた。彼女らがアジトに入って早3時間。彼女たちは、迷子になっていたのだった。当の本人たちは、その意識は、全くない。


「そう言えば、フィルー、出口の場所わかる?」


「あれ?カアラさんがわかると思って私覚えてませんよ?」


「え、私もそんな感じなんだけど」


「「・・・。」」


 顔を見合わせてようやく現状を把握した2人だった。


「「蓮(様)、助けてー!」」


 2人の声は、見事と言わないばかりに重なってアジト内に響いた。



――…――…――


「お、いたいた。フィル、カアラ、無事か?」


「「蓮(様)ーー!」」


 蓮を見つけたフィルとカアラは、思わず蓮に抱き着いた。


「ちょ、どうした?」


「「・・・迷子になっていました。」」


(カアラは、なんとなくわかるが、エルフのフィルが迷子になるなんて・・・なんか、面白いな)


 意外な事が発覚して笑ってしまった蓮であった。その笑った顔を見たフィルとカアラが、蓮をパチーンと言う音と共に叩いた。その日、蓮の左右の頬には、赤いもみじが、あったのは、言うまでもない話だ。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


今回は、ボルボとの決着でした。相変わらず瞬殺です!


次回は、ボルボ賊の後始末です。それが終わったら、また閑話を挟んで、そののちに新しい章へと進む予定です。


新しい章の構成としては、特殊な村との取引と、異世界と言えば、こいつ!の勇者とそのゆかいな仲間たちが、登場する予定です!


次の章も楽しんで頂けたら、書いている側としては、嬉しいです!



※ミスの指摘・感想・御意見等々御座いましたら遠慮なく感想の欄、もしくは、メッセージ等によって連絡いただけると嬉しいです。

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