17話:ボルボ賊~その1~
魔獣紹介>
監視用ガーゴイル:召喚魔法でのみ呼び出せる監視を行う魔獣。普段は、石像の如く大人しくしており、主や、守護の対象以外の人物や魔物、魔獣がテリトリーに侵入した時には、召喚した主に念話で連絡を入れながら撃退を行う。
賊の討伐に向かった蓮達だが、一度迷宮の王の間にやって来ていた。
「今から、近くにいる賊を退治しに行く。と言うわけで、エリートゴブリン10体・ゴブリン100体・ハイオーク1体・オーク10体・テンペストウルフ1体・ブラックウルフ9体を連れて行こうと思っているんだが、お前たち来るか?ちなみに、誰が来るかは、お前たちが選んでもらって構わない。死体に関しては、お前たちの好きなようにしてもらって構わないが、武具は、今は町に行ってるがアーシャの鍛冶場に届けてもらう。何か質問とかないか?」
そう言うと、レンガ・ゲイル・フェンは、頭を横に振った。
「んじゃ、準備してくれ。出発は、2時間後だ。」
こうして、賊の準備は、ひそかに着々と進められていた。
――…――…――
「頭ー、御頭ー」
「あ?どうした?」
「サルバ村に行ったやつらがそろそろ帰ってきてもおかしくないはずなのに帰ってきやせん」
「んまー、どうせ村の女とかを犯してるんだろ。そのうち帰ってくるさ」
御頭と呼ばれたボルボとその部下が、蓮達が訪れたサルバ村に行っていた奴らが帰ってこないという事を知りつつ気にも止めていない時に事件は、起きた。
『ズゴーン』
突然辺り一帯の大地を震わせるほどの轟音と爆発がアジトの近くで同時に起きたのだった。
――…――…――
「とりあえず、俺が門を壊すから、マルタとゲイル、レイルとゴブリンやオーク達で正面を攻めてくれ、側面からは、フェンとブラックウルフ達とメイとリクで攻めてくれ。バルトは、メイとリクの護衛だ。カレルとレンガは、遊撃に徹してくれ。イルとニルとセフィアは、俺のそばで別命あるまで待機だ。フィルとカアラは、賊以外の人間の救出を最優先で頼む。何か、意義があるやつは、いるか?」
「問題ないかと思われます。」
代表してフィルが言う。
「んじゃ、俺が、あの門を破壊する!」
そう言って、蓮は、右手を掲げた。
「エクリクシス」
すると、賊のアジトの入り口の門は、『ズゴーン』と言う轟音と共に大爆発した。そして、それを合図に、マルタ・ゲイル・レイルたちの部隊が正面突破を開始した。
――…―Sight of FRONT―…――
「くそ、なんだあのゴブリンは・・・」
賊の言葉を発した先には、エリートゴブリンソルジャーのレイルが、いた。レイルは、盾と槍を器用に使いこなし周りの賊達の命を奪っていく。
(ゴブリンの俺が、人間どもに復讐する時が来るなんて・・・レンガ様や蓮様と一緒にいて良かった!)
心の中でそんな事を思いながら、賊の数をどんどん減らして行ってる。その脇では、ハイオークとなったゲイルが、あらゆる攻撃を無効化している。
「なんだ、このオークは・・・攻撃が全然効いてねぇぞ」
「あぁ・・・俺の・・・俺の自慢の剣がぁぁー」
ハイオークガードナーとなったゲイルは、いかなる攻撃にも問題なく耐えていた。そして、自慢の槍で目の前の敵を薙ぎ払い無力化を行っていった。そして、ゲイルの撃ち漏らした賊をゴブリンやオーク達が始末して行った。
そして、正面突破を行っていたマルタの前に周りとは少し雰囲気の違う賊が現れていた。雰囲気からして、賊の幹部の連中か何かだろうとマルタは、判断した。
「てめぇ、ゴブリンの分際で御頭のアジトを襲うとは、良い度胸してんな。覚悟を決めとけ!」
そう言った賊の幹部と思わしき人物は、バトルアックスを掲げてマルタに攻撃を仕掛けてきた。マルタは、その斧に軽く剣を当てる事で斬撃を逸らし、懐に潜って剣の柄の部分で腹部を殴った。その攻撃にたじろいだ所を袈裟懸けにして呆気なく賊の幹部と思わしき人物を倒した。
幹部と思われた賊の男が倒された途端、賊の中に混乱が生じてそこからは、一方的な攻撃の始まりだった。
――…―Sight of SIDE―…――
「正面の方は、無茶苦茶やってるわね」
「だな。この辺から狙えるか?」
「もちろん。もしかして、私の事舐めてる?」
メイが、バルトに向かって言う。
「じゃ、この木の上から狙うね。護衛よろしくー」
「蓮様の命令なら仕方がないか。了解。」
そう言って、メイは、木の上に登って行った。
「敵の的になりそうなのがいっぱいいるよー」
「んじゃ、下は、任せておけ。この木に登らせないから安心して敵を減らすんだ。」
「了解」
そう言って、メイは、弓に矢を番えて狙いを定めた。そして、バシュッと言う音と共に、狙っていた敵の首に矢が刺さる。
(やっほーい)
心の中で狙い通りに当たったことにメイは、少しばかり興奮する。そして、レンガの村を襲っていた冒険者に少しばかり感謝もしていたりする。メイ曰く、あの日冒険者が襲ってこなかったら、私たち村のゴブリンは、蓮様と言うビア山脈の麓にある迷宮の主とは、出会えなかったからである。なので、ゴブリンの中では、変わった思考を持つメイは、あの日の事を感謝していた。
同じように、矢を射続けていると、それに気付いた賊が、此方に迫ってくるが、木の下にいるバルトの姿に驚く。しかしながら、たかがゴブリンと侮って突撃してくるが、バルトは、持ち前のパワー(ドワーフの戦士以上の力)で、半ば無理矢理に敵を蹴散らしていく。
「ちょっと、この木切らないでよー?」
「あぁ、それは、安心しろ。」
そうして、メイは、矢を射続けやってくる賊をバルトが、片っ端から蹴散らして行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
迷宮の魔獣たちが、今回は、大活躍な回でした!
まだ出てきてない魔獣がいるため、本来は、1話に収めようとしたところ、急遽2話構成にしました!
次回は、ボルボ賊の続きです!
次回も楽しみにしていただけると有難いです!
そして、最近思うんですが、若干テンポが悪くなってきてる気がするのは、気のせいでしょうか??
どうも、無駄な文章が多いような展開が遅いような・・・うーん・・・気のせいだと良いんですが・・・




