14話:衝突~後編~
修正>
13話:衝突~その1~→衝突~前編~
に変更します。
「ば・・・ばかな」
デュランは、目の前に広がる光景が、信じられなかった。それも、そのはず。50人の騎士団が、1つの魔法で全滅するのが3カ所で起きているのだ。
「お、カアラやフィルも終わったか」
「はい。それにしても、やはり人間と言うのは、気に食わない生き物です。」
「うーん、手ごたえが無いなー」
「そこにいる団長さんや、その周りにいる人たちは、楽しませてくれると思うよ?それに、フィル。俺は、その気に食わない人間なんだが、そこのとこは、どうなんだ?」
「いえ、御主人様は、特別ですよ?あんなのとかといっしょに出来ません!」
「ほんとー!?」
デュラン達を気にすることもなく楽しそうに雑談をする3人。それを見ていた、デュランは、格の違いを知った。どう頑張っても勝てそうにない連中が3人も目の前にいるこの状況をどうしたものかと考える。
(これを使うしかないのか・・・)
そう心の中で呟いたデュランは、懐の中から一枚の護符を取り出した。
「我、汝の契約者也。その姿をこの世に現し給え」
デュランが、そう言うと周りが光に包まれた。すると、そこには、白い翼をもった女性が立っていた。頭には、金色の輪。そう、『天使』である。
「契約者のデュラン。私は、あの3人を戦闘不能にすれば、良いのですか?」
「殺すのは、無理ですか?」
「いかなる人間にも慈悲が存在します。例えそれが、悪人であろうと私たち天使には、関係のない事です。」
「わかりました。では、よろしくお願いします。」
そう言うと、天使は、右手に1本の光の槍を作り出した。
「ねぇねぇ、蓮!楽しそうなのがいたよ!私がやっても良い?」
目をキラキラさせながらカアラが、聞いてくる。
「無理するなよ?」
「当然!」
そう言って、カアラは、天使の前に出た。
「ねぇねぇ、天使さん。君の名前は?」
「私は、エゼリアです。魔族の方。貴女の名前は?」
「カアラだよ!カアラ・エル・リスティン」
二人は、お互いの名前を言うと、戦闘を開始した。エゼリアは、槍を使って適度な距離を保ちつつ攻撃を行っている。しかし、カアラは、その攻撃を難なく躱している。
「うーん。本気で来てくれないと楽しくないよー」
「左様ですか。」
エゼリアは、冷静に答えたが、内心は、焦っていた。
(下級天使とは、言え天使の私が、魔族に遅れているの?有り得ない・・・)
そんな事を心の中で呟きながら、覚悟を決めた。
「シャイニングバースト!」
エゼリアが、右手を天に掲げそう言うとカアラの周りに光の粒子が集まって来た。そして、掲げていた手を振り下ろすと、光の粒子が爆発した。
「あは!エゼリアさん面白い技使うねー!」
そこには、なんともなかったかのように立っているカアラがいた。
(有り得ない・・・光魔法を受けて平然としていられる魔族なんて・・・)
「面白いけど、威力がひくいかなー。楽しませてくれた御礼に少しだけ全力出すね!」
そう言ったカアラは、右手を掲げた。
「終末の嵐」
すると、カアラの周りから大量の闇があふれ出て来た。あふれた闇は、みるみるエゼリアの周りを埋め尽くしていく。すると、何故か急に腕に傷が走った。傷口から血が出てくる。それを皮切りにエゼリアの全身に傷が走る。エゼリアからするとわけがわからない。
―終末の嵐
闇がつつんだ空間内を闇で出来た刃が縦横無尽に飛び交う残酷極まりない魔法。この魔法を使われた相手は、状況を把握することなくやられていく。
そんな事を知らないエゼリアは、気が付けば見るも無残に傷ついている。全身のいたるところに闇の刃で斬られた傷がある。闇が晴れてその場にいる全員がカアラとエゼリアを目で確認できるようになって騎士団側の顔には、絶望の色が浮かんだ。
「い・・・命だけは・・・」
騎士団の中の1人が声を出す。それを気に騎士団の中の幾人かが、同じような事を言い出した。
「うーん、それは、無理な相談だね。君らは、目の前に憎い人がいて、その憎い人が命だけは、どうにか見逃してくれって懇願してきて許せるかい?」
「・・・」
騎士団は、言葉が出なかった。確かに、自分の憎い人が、目の前で見逃してくれと懇願してきてもそれを見逃せない。沈黙を了解と解釈したのか。蓮が、一言いう。
「一瞬で終わらせるね。」
そう言った蓮は、右手を掲げた。騎士団の反応は、様々だ。逃げる人・果敢に挑んでくる人・諦めて地面に座る人・祈る人。
「アブソリュートゼロ!」
蓮が、そう言った瞬間、目の前の騎士団の残り120人全員が一瞬で氷に包まれた。そして、すぐにその氷は、砕けた。
迷宮を攻めてきた町の派遣騎士団270名は、こうして滅びてしまった。
――…――…――
「だりーなー」
入り口に残された騎士団30人の中の1人が口に出す。
「仕方ないだろう。これも仕事だ。」
「だけどさー・・・って、あれなんだ?」
騎士団の1人が、異変に気付く。そこにいたのは、緑色の小人。そう、ゴブリンである。
「なんだ、ゴブリンか。」
「いや、待て。ゴブリン達の様子がおかしい・・・」
「なんだあれは?」
そう。ゴブリン達の後ろに一回り大きなゴブリンがいた。
―エリートゴブリン。ゴブリンの中でも優れた者が進化するとなれるゴブリンの上位の存在。
「恨みを果たすときが来た。皆の衆やれ!」
エリートゴブリンが、そう言うとゴブリン400体が、騎士団に迫ってきた。騎士団は、ゴブリンのあまりの数に驚愕せざるを得なかった。中には、果敢に挑む者もいたが、数の利で難なくやられる。そして、逃げようとゴブリンがいる反対側を向くと、そこには、50体のオークと10体のブラックウルフが、いた。
ゴブリンが突撃して1時間もしないうちに入り口にいる騎士団30名は、ゴブリン・オーク・ブラックウルフによってやられてしまった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回、騎士団が見事に全滅させられました。しかも、何の苦も無く。楽しんで貰えたら良いんですが、物足りないと感じる方の方が多いかもしれませんが、そこは、許して頂けると有難いです。
次回は、軍備の増強と外界に侵略を予定しています!
次回も楽しみにしていただけると有難いです!
※ユニークアクセス数が、もう少しで5万に到達します。読者の皆様、読んでくれてありがとうございます!
※要望・感想・ミスの指摘等御座いましたら遠慮なく申し付け下さい。出来る限り早く御返事します。




