僕が人生で一回だけ愛した少女は。
連載二回目です!
よろしくお願いします(>_<)
「爆発音を止める!?……無理に決まってるじゃないか!」
「君は僕と契約をした。だから、僕の命令には従ってもらうよ?」
もう何も言えない。
「よし。じゃあ行こうか」
もう一人の僕は走り出したので、それについて行った。
街を走っていても、やっぱり人間がいない。
これじゃあ、認めざる負えないじゃないか。
……――ここは、パラレルワールドなんだ。
「なんだよ、これ」
昔の戦争のように真っ黒に焦げ、ところどころ火がついている。
「なんで、こうなると思う?」
分かるわけない。僕は無言で返す。
「まず、元から説明しようか。ここはパラレルワールドだって知ってるよね。で、ここを管理している人が君たちの分身を作る。それが僕。ここは人間の欲望が凝縮された世界だから、それを制御するために君を呼んだんだ。この爆発音は、何かが落ちた音。……って、幼稚園児でも分かるか」
馬鹿にしたようにもう一人の僕は笑う。
「で?」
僕はため息をついて聞く。
「人間の欲望が固まりになった、いわゆる化物が出てくるんだ。そいつが攻撃をしてくる。つまり、この爆発音は、その化物のもの」
その言葉と同時に、化物が出てきた。
現代にある、テレビや、人形。いろいろなものがぐちゃぐちゃになってかけ集められたもののような、化物。
「ね?」
「ね?じゃない!なんでそんなに落ち着いていられるんだ!?どうすればいいんだよ!」
「そのために、僕がいるんだよ」
「は!?」
その瞬間、もう一人の僕は僕の体の中に入っていった。
気持ち悪い感覚に陥る。
『さあ、こいつをこらしめて、殺してしまおうか♪』
さっきから思っていたのだが、こいつはどうも不気味で仕方がない。
「どうすればいいの?」
ゆっくり、落ち着いた声で僕が質問する。
この場を収めるためには、とりあえずこいつを殺すしかない。
『これ、使って』
拳銃と長いナイフが出てくる。
「まさか、あとはこれでどうにかしろと!?」
『うん♪』
すると化物がこっちの気配に気づき、突進してきた。
ああ、面倒くさい!というか、気持ち悪い!!
「ああ、もう!」
僕は走った。走って、走って。走りまくった。
化物が手のような部分を振り回してくる。
「っち」
長いナイフで、化物を切りつける。すると、ぼろぼろと物の残骸が落ちる。
それを使って、上っていく。化物の体のあたりに来たとき、僕は奇妙な物を見た。
心臓のような、フェルトや布を使って不恰好に縫われたハートの形のものがあった。
それは異様に縮んだり、大きくなったり。まるで本物の心臓のようだ。
『見つけたね。じゃあ、そこを狙ってそのナイフで切って』
言われるがまま、叫びながら心臓のようなものを切る。
すると、一瞬でその化物はばらばらに砕け散った。
テレビ、テスト用紙、人形。人間の欲望から生まれた、化物。
『じゃ、僕は抜けるよ』
すると、もう一人の僕は僕の体から抜けて行った。
入ったり、出たりすると体から悪寒がさす。
「お疲れ様。いい仕事したね」
僕の顔をのぞいてそいつは言った。
「さっきの心臓みたいな物は……?」
「あれね。あれはさっきも言った、管理してる人が心臓の代わりと作ったんだ」
「管理してる人って、誰だよ」
「言えない」
その言葉を言ったときだけ、そいつは真顔になった気がした。
倒したときの衝撃で生まれた煙が、どんどん薄くなっていく。周りの景色も見えてきた。
その時、二人の少女がこちらを見て笑っているのを見つけた。
僕が人生で一回だけ愛した少女は、
「臣君。やっと来たね。待ってたよ?」
「雨宮、さん?なん、で」
現状がうまく読み込めない。
本当に、本物の、雨宮さんなのか?
「なんでそんなに驚いてるの?私、臣君に言ったよね?もう知ってるって」
そうか。あの時、雨宮さんが言ったのは。
『興味ないというか、私もう知ってるから』
そう言ったんだ。
「ねえ、知ってる?臣君。私たち、一旦この世界に入ったら出られないんだよ?」
そう言って、雨宮さんは困ったように笑った。
雨宮律夏という名の少女でした。
第二部を見ていただき、ありがとうございます!!
今のところ出てきている登場人物↓
★立津木臣
★雨宮律夏
そして、その子たちの分身です。