表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

神聖百合帝国

自分の考えた女だけ勢力の設定です。

 マリ・ヴァセレートが自分だけが暮らす世界を作るために建国した大帝国。

 建国地は、近世ヨーロッパに近いファンタジー世界の人間が入れない南極辺りに近い大陸。

 主にその地にしか住んでいない女性だけの種族、イブ人で構成されている。

 イブ人と言う女性だけの種族は彼女の世界再構成に取って都合が良かったが、外見だけは美女や美少女のように美しいだけで、中身は蛮族に近かった。詳しい詳細は自分の考えた種族覧に載せる予定。


成り立ち


 建国当初は統一大陸国家に過ぎなかったが、大陸で全くと言って良いほど採掘されなかった大量の火薬の原種と、その他の戦争に必要な類の資源を本格的に採掘し、驚異的な軍事力を獲得することに成功。

 半世紀近くの年月を得て作られた国は、初代皇帝もとい、永久皇帝であるマリが百合の花を国旗にした際に、百合帝国と名付けた。全世界を占領した際は、神聖百合帝国に改名する。

 更には拳銃や小銃、それに使う実包の作り方を記載された書物を何所から見付け、それを数年がかりで作り上げ、やがて量産体制に入り、全軍に行き渡るまでに至る。

 軍備や生産体制を十分に整わせ、編成が済めば、作戦計画を十分に練ってから近場の大陸と島々、半島に侵攻して領土とし、そこから数年がかりで橋頭保と国土にして兵站を整わせれば本格的に侵攻を再開。以降、鉄の戦闘艦艇、航空機を開発しつつ、多大な犠牲を出しながらも無敗のまま十数年で全世界を支配に成功した。

 戦うべき国家が居なくなった帝国軍は不要となって解体再編され、再軍備化まで人員を多く削減した警備隊として存続する。


飾りの女帝


 ここに来てからマリは自分の為だけの世界作りに没頭。世界から一つの性、男を抹消してから(多過ぎて殺しきれないため、側近たちは裏世界と呼ばれる場所へ移送)自分にだけ都合のよい世界に十数年の年月を得て完遂させる。

 並の人間、否、人手は出来ないことを百年以上もかけて成し遂げたマリはやる事が無くなり、ノイローゼとなり、形だけの皇帝と化す。

 自分の世界作りの最中、彼女は減ったイブ人の人口回復のために身分階級制度と一夫多妻制を法定。帝国国民を四つの階級に分けた。

 一番上が皇族、二番目が貴族、三番目が騎士、一番下が平民。

 皇族は自分の妃や側室のみとし、貴族や騎士は戦争で武勲を上げた者に定める。それ以外の者は全て平民とする。人口比は平民の方が多い。

 一夫多妻については、名誉勲章を授与される程の成果を出した者のみに限定。勲章を授与される行為を行えば、身分を問わずに妻を二人以上できる。三人目を娶るには、また勲章を授与されるほどの活躍をしなければならない。

 後にこの一夫多妻の権利の取得を、ブラウンシュバイクに全権を奪われた際に利用される。


軍備拡大


 何もやる気が起きないマリに変わり、総統であるブラウンシュバイクが政務を担当。

 全権を手に入れた彼女は、密かに持っていた自分の野望を果たす為、再軍備化と富国強兵を開始。十数年掛かりで陸海空軍合わせて四百万以上もの軍事大国レベルの戦力までに至る。

 だが、軍隊は戦う敵が居なければ無用の長物だ。何所と戦うかと言えば、女帝マリに気付かれぬように裏世界で育てていた敵国との戦争にその大兵力を投入した。結果は神聖百合帝国軍の大勝利。もっとも、全滅しないように苦戦しないように敢えて裏世界の敵軍を弱くしていたが。言うなれば演習である。

 なぜ戦争を起こすかは、異世界の侵攻に備えてである。ブラウンシュバイクはこの世界の支配には満足が行かず、未知なる資源や領土がある異世界に目を付けたのだ。それにいつの日か来る人口増加による食糧不足問題もあり、余剰な人口を戦争で削減するか、あるいは異世界に移民させる目的もあった。言うなれば、棄民政策であったが。

 侵攻と占領維持のため、更に軍備と戦力を増強し、徴兵制度を開始。ここで現実の第二次世界大戦に参戦した全ての国家に匹敵するほどの人員となる。総兵員数は陸海空軍含め、二千万人であった。

 装備はドイツ国防軍に近いものを使用し、弾薬数も含め、全てに装備がいきわたるまで生産を開始。電撃的な短期決戦で世界に挑んだナチス・ドイツの二の舞を踏まないため、長期戦に備えて余分に生産を残していた。

 全人口の内、余りに余っている戦争に適した人的資源の半数を軍に入れたが、下士官、士官・佐官不足に陥る。

 一定数の下士官と士官、佐官を得るために一夫多妻制度を利用。下士官、士官になろうとする平民には騎士身分を与える権利を約束する政策を出し、辛うじて確保に成功する。

 下士官と士官、佐官がある程度の数まで達すれば、部隊編成や装備、訓練、演習を行い、完璧なものにしていく。この時点で兵員数は五百万を加え、二千五百万人まで膨れ上がっていた。

 軍備が十分に整えば、総統ブラウンシュバイクは自分らより科学力の低い魔法が存在する中世のような世界を初めの攻撃目標に選定し、数十年の時を掛けて完成させた世界を渡る特殊な装置、次元転移巣地を使ってその世界に軍を送り込み、生活圏拡大という名の侵攻を開始した。


徴兵適正


 神聖百合帝国は名前の通り帝政国家であり、軍備も増大であり、徴兵制度がある。

 兵役期間は四年であり、大戦時の先進国では長い方に当たる。

 適正身長は170センチ(末期は150センチまで引き下げ)、体重は55から70キログラム(末期は46まで引き下げ)、バストサイズは95センチまで(末期では170を超えていれば徴兵された)。年齢は十八歳(高校卒業後)。あとは持病がないか、妊娠してないか(妊娠の際は出産するまで十分な期間をおいてから徴兵される)。

 神聖百合帝国の住人は主にイブ人という女性だけの種族であり、身体能力で人間の男性に劣る種族が兵役に向くはずがなく、手当たり次第に徴兵した結果、散々なものであった。

 世界制覇の際は有利な銃を持っているにも関わらず、白兵戦において多数の死傷者を出した。イブ人の中には戦闘部族もいたが、世界制服を成し遂げる頃には絶滅に近いくらいまで減っていた。

 演習場であった裏世界でも、敵を過剰なまでに弱くして勝っただけであり、いつの日か自分らと同じ化学力を持つ国家と交戦の際に、軍が大損害、もしくは敗退を余儀なくされるのは確実である。

 そこで総統ブラウンシュバイクは戦争に適している体作りの食生活や体育の授業を導入して徴兵に適した若者を増大させる。最低限の読み書きができるように、小学校卒業まで義務教育とする。

 これにより平均身長が160センチほどだったイブ人の身長は170センチ、最高で180センチまで拡大。戦闘部族じゃないのにも関わらず、二メートルを超えた者まで確認された。

 華奢な外見にも関わらず、人間の成人男性並みの筋力まで獲得すれば、軍備拡大のために徴兵した。

 ここにきて、新たな問題が発生する。国民の間で軍に入隊すれば、丸刈りにしなくてはならないというイメージだ。ほかには髪を首まで切るという物の見方もある。丸刈りは一部の精鋭部隊のみであり、それも入隊者のみに限った話で、より多くの兵員を獲得するために軍は、徴兵された者は髪を短く切らなくてよいと書類やポスターに記し、これによりある程度の確保は完了した。


 だが、もう一つの問題も発生する。徴兵逃れである。

 徴兵されれば四年間は軍にいなければならず、戦争が起こった際は戦死、あるいは負傷、身体の一部が損失するか、生殖機能の損失、全身火傷もある。

 これを嫌がる者たちは、苦し紛れに性行為を行って妊娠して避けようとするが、単なる先延ばしに過ぎない。他は適正の体重を超えるか、バストサイズを上げること。

 この対策に群や行政は一夫多妻の権利(勲章物、負傷章も含む)を与えたり、戦地の土産(略奪)を許可して何とか入隊させようとした。

 その効果は的中し、多くの若者たちが一夫多妻や略奪目当てに徴兵を受けた。徴兵に適してない者たちは、軍工場や食糧生産工場、その他戦争を支える職場に向かうか、未来の兵士を育てるために子供を産む選択肢を選ぶ。

 なお、神聖百合帝国は人口拡大のため、古代ローマもびっくりな貞操の無さであり、過剰な人口爆発が起こっていた。十数年間にベビーブームが続くような感じである。

 このおかげか、総兵力数は陸海空軍を含め、侵攻開始時には二千四百万人という統一世界基準において大規模な物となる。

 その殆どが徴兵で賄われ、職業軍人は全体の三割と言う割合に。


軍事力


 世界統一国家として、軍事力と兵力は最強であるが、その実力は張り子の虎である。

 実戦経験は世界制覇時に居た者達はほぼおらず、裏世界で倒しやすい敵と戦った経験のある者しか居ない。このため、元帥から上級大将の半数の将軍は実戦経験皆無であり、兵卒から大将の極一部を除く者の実戦経験は無かった。演習と訓練を繰り返そうとも、いくら強大な軍事力を持つ軍隊でも、実戦で役に立つかどうかが問題だ。

 しかも主力たる陸軍の装備の三分の一は全軍の統一はまだ済んでおらず、世界制覇時のマイナーチェンジであり、装甲車や戦車を装備していない歩兵師団は白い軍服のままであった。

 ちなみにこれからの対戦車戦闘を想定し、Ⅲ号戦車の50mmの60口径長砲身型を初め、Ⅲ号突撃砲の75mm長砲身型やⅣ号戦車の75mm長砲身型は完成されていたが、戦車部隊全体の配備には間に合わず、主力の四個装甲師団だけで済まされた。尚、Ⅲ号の長砲身型は全戦車部隊には行き渡っている。

 火力不足により最初の侵攻は中世時代のような世界に決まり、主力部隊を中心に徐々に実戦経験を積ませた。

 二つ目の世界の侵攻で軍全体の戦闘のノウハウを獲得すれば、自分らからすれば四十年くらいは劣る三つ目の二十世紀初頭の世界に侵攻した。

 自分より弱い相手に無双進撃する陸軍であったが、敵の思わぬ反撃により一個歩兵師団が壊滅状態となる。戦車部隊や機械化歩兵師団を除き、歩兵師団の殆どが僅かながらの損害を出した。

 こんな相手に損害を出した陸軍に対し、結果を見た総統は直ぐに再訓練と再編成を実施する。海軍や空軍も同様になされ、ようやく真面とも言える軍隊となる。


 全盛期の編成は以下の通り。

陸軍

 歩兵師団、二百個(最終的に四百個余りが編成される)。

 機械化歩兵師団(後に三個師団が装甲擲弾兵に改称)、二十五個。

 装甲師団(機甲師団、後に五個追加。最終的に三十個まで拡大)、十五個。

 その他師団、合計八個、旅団並び連隊、独立部隊を合わせ百個。


海軍

 通常艦隊、四十個。

 機動艦隊、七個。

 潜水艦隊、十個。

 海軍歩兵師団六個。

 その他海上防衛部隊、合計百個。


空軍

 航空艦隊、三十個。

 防空部隊、十個。

 降下猟兵(空挺)師団、七個。

 その他支援・防衛部隊、合計七十個。


 陸軍は歩兵師団が殆どであり、同レベル、あるいは十年が遅れている世界に侵攻すれば、抵抗や反撃で損害が日増しに増加し、イブ人がどれほど戦争に向かない種族であるかを証明してしまう。更には海軍や空軍の損害も増加していく。

 イブ人の戦死者が続出していると聞いた宮廷は戦死者を下げよとの無理難題を軍に出すも、これを軍は無視して暫しの戦力回復期間を得て異世界侵攻や攻勢を続けていたが、陸軍においてイブ人だけでは回らなくなる大敗北が発生する。

 それは十五年目の事で、自国と同等の科学水準を持つ世界の侵攻であり、戦力の四割を投入して三分の一を占領することに成功したが、補給線の問題で膠着状態に陥る。

 現状打開のため、夏季に陸軍は二百万余りの兵力を投入した大規模攻勢を仕掛けるが、逆に包囲されてしまう。この時にティーガーⅡ重戦車、エレファント重駆逐戦車、その他新型戦闘車両並び砲、設備を投入していた。航空支援の為に空軍の飛行隊と基地要員も随伴しており、新型戦闘機も幾つか投入されている。

 それらの装備と主力部隊の損失を恐れた陸軍と空軍の上層部は、兵包囲網を強引に突破しようとした。

 まず最初に戦闘機隊が突破した後、それと同時に精鋭の機甲部隊が包囲外から救援に来た部隊と共に包囲網に穴を開ければ、そこから重要な装備を持った部隊が脱出する。

 その後から全兵力を脱出させようとしたが、空軍は敵空軍の攻撃の迎撃で疲弊しきっており、支援部隊を出撃することは不可能だった。これに乗じて敵軍は直ぐに大規模な車列を作って脱出行動を取る軍集団の車列に向けて猛砲撃と温存していた爆撃機や攻撃機による空襲を仕掛けた。

 地上と空からの猛攻撃を受けた帝国軍の陸軍将兵並び空軍の基地要員はパニックに陥り、カオスを極めた。猛砲撃並び空襲が終わる頃には、撤退に使われた道路は無数の戦車や軍用車両の残骸で埋め尽くされ、辺り一面に死体や焼死体で溢れかえった。

 言うなればドイツ軍が西部戦線に置いて体験した地獄「ファレーズ・ポケット」での損害を百倍以上にした光景であり、百七十万以上の将兵が数時間の攻撃で死体となった。民間人や家畜も巻き込まれており、夏季であって辺り一面が悪臭で溢れかえり、更に川の近くであった為、そこも帝国軍の死体で溢れかえり、川が真っ赤に染まり、周辺の住人は飲み水に困る羽目になる。

 僅かに生き延びた者は発狂するか、重傷を負ってうめき声を上げる。だが、自分の身を顧みずに勇気を持って引き返して来た部隊や、無事だった殿の隊に回収され、奇跡的に捕虜にならず済んだ。

 この大敗北は本土や植民地の住人は報道されず、軍もまた士気低下を恐れ、損害は過少となっている。


 主力軍の三十万と新型装備は無事であったが、指令を出した軍集団の指揮官である元帥は、幹部と本部諸とも爆撃されて戦死し、陸軍にとっては痛すぎる大損害であった。

 更に別の戦線で百万とは言わなくとも、勝利や大敗北による六十万に五十万の大損害、海軍や空軍でも大損害が立て続けに発生し、一時的機能不全に近い状態に陥る。

 攻撃の要である主力軍の損害が大き過ぎる為、陸軍と海軍、空軍は早急な再編を強いられる。

 総統は外務省に休戦条約を慌てて結ばせて戦力回復期間を得たが、イブ人では時間が掛かり過ぎるので、捕虜収容所に居る人間の軍人を大量に導入して再編を図った。当初、宮廷からイブ人の死傷者を減らすように言われていたので、イブ人至上主義者の宮廷から満足の行く結果だった。

 その結果、軍の主力軍の部隊の殆どは人間になり、後方を守る部隊は占領地より徴兵したエルフやドワーフが占め、更なる戦力回復の一環として獣人など他の人の形をした亜人を動員する。

 辛うじて十年目の全盛期を取り戻すことに成功した。当時にイブ人がどれくらい戦争に向かない種族であるかを、イブ人自身が証明してしまう。

 だが、この連続した大敗北で神聖百合帝国は衰退期へと向かっており、これ以降、軍全体でイブ人の数は減って行き、人間や亜人の将兵の数は増えて行く。

 そもそも、戦える体格のイブ人は十三年目でほぼ枯渇状態になっていたが。


標的となった異世界


 話を戻し、主に侵攻の標的とした世界は自分等より技術力が低い物で、男尊女卑の国家群が集中している異世界である。それか宗教国家と社会主義国家、中世期のような世界だ。そこには女尊男卑も含まれている。

 男尊女卑は男を徹底的に殺せば、ろくに教育を受けていない女は自分等イブ人に従わざるおえないので、優先的に男尊女卑国家が狙われた。無論、国その物は文化ごと消されている。

 宗教国家は技術力が低いので、演習がてらに滅ぼされている。女尊男卑も同様である。次に社会主義国家の侵攻したが、手痛い勝利となった。

 勝利に酔いしれ、自身を着けた帝国軍は自国と同様の技術力を持つ異世界に侵攻したが、それが衰退へ、否、帝国崩壊への道であった。


民族主義

 イブ人は女性だけの種族であるが、生殖方法が人間と同じで寿命が五百年くらいしか分かっておらず、一体どのようにして誕生したか余り調査が進んでいない。

 動物や植物、魚介類の中で、危機に陥った際に性別を変える種別が存在するが、遺伝子構造以外で人間の女性にもっとも似ているイブ人にはそれが見られない。

 自分たちは何だと、設立された帝国の学会でも研究や調査、祖先巡りも行われていたが、イブ人自身も自分たちがどのようにして誕生したか分からなかった。もっとも、軍事が優先された所為で予算不足だったのが原因だが。

 総統であるブラウンシュバイクはこれを戦意向上のプロパガンダに使い、イブ人らは神の子孫であると提唱した。

 多くのイブ人はこのプロパガンダを信じ、各戦線で狂信的に戦い、そして数々の蛮行を働いた。


衰退期


 戦争開始十六年目で立て続けに起きた敗北で、神聖百合帝国は衰退期に突入した。

 殆どの攻勢で失敗や敵の反攻作戦に敗北が相次ぎ、士気が低下する中、イブ人に対して不満を抱く人間の兵士や亜人兵士による反乱が立て続けに発生する。軍上層部は処刑部隊を編成し、沈静化を図るも、戦力をいたずらに減らすだけであった。復員を掛けても、戦力は減る一方である。

 これに陸軍上層部はまた再編を図る。次は徴兵に向かな余りに余り過ぎたイブ人で再編を図ろうとする。

 対象は徴兵適用外や徴兵を免除された大学生(主に成績が悪い者のみ)、職を持たない者達である。ナチス・ドイツの国民擲弾兵に近い組織だが、そこまで戦闘能力は無く、二級戦部隊並だった。

 壊滅した歩兵師団を基礎として再編し、戦力回復には成功したが、戦闘力は低く、通常の歩兵師団のフォローが必要だった。

 現状の打開は弱体化した帝国軍ではもはや不可能であり、上層部は総統の許可を得て戦略方針を撤退戦に切り替え、制圧できない世界からの撤退を開始した。今ある世界の現状維持を選んだ。


 帝国政府と軍上層部の体たらく、本国の腐敗っぷり、貞操観念無く増え続ける人口にもはや神聖百合帝国は限界と悟ったブラウンシュバイクは、まだ健在な各軍の精鋭部隊、並び自身の兵団(人間の部隊も含む)を温存するべく、本国では無く自分のいる世界に再編と表して集め、軍事結社ワルキューレと密かに接触し、その戦力と手に入れた占領世界、本国を手土産にワルキューレの軍門に入ろうと画策する。

 丁度、戦力の拡大を図っていたワルキューレに取ってブラウンシュバイクの提案は都合が良過ぎるくらいに良かった。わざわざ訓練せずとも精鋭の将兵が手に入るし、部隊を回さずとも幾つかの世界が手に入るのだから、まさに一石二鳥だ。

 直ぐにワルキューレはブラウンシュバイクを献上された精鋭たちと共に受け入れ、軍集団の指揮権を持つ将軍の位を与える。

 ワルキューレの軍門に下ったブラウンシュバイクは、最後の総統命令である帝国軍全軍に武装解除と停戦命令を出し、神聖百合帝国の解体を発令する。

 無論、幾つかは従うはずが無く、これに幾つかの部隊と領主たちは反発して占領した各世界で独立国家軍を結成し、武装解除にやって来たワルキューレの部隊に抵抗した。

 かくして、数十年にも渡る各異世界におけるワルキューレと百合帝国残党勢力による戦争が始まった。

 占領した全ての世界が独立し、領土が本国のみとなった神聖百合帝国は皇帝も何処かに消え、何故か勝手に自壊して崩壊する。これにより、神聖百合帝国はニ百年の幕を閉じた。

 本国でも総統の命令に従わず、抵抗の意思を見せた為、ワルキューレは倍以上の数の制圧部隊を送り込む。本土がある世界は、戦闘する前に帝国残党は他の世界に逃げたおかげか、少々の損害で制圧できた。

 しかし、他の占領世界に逃げ込んだ残党勢力は一大国以上の戦力を保有していたため、完全に占領世界を制圧できたのは二十年以上もの月日を費やした。

 それでも残存勢力は他の世界へ逃げ込み、尚も活動を続けているか、新興勢力と化している。


兵士一覧


名誉歩兵連隊

 百合帝国初期の軍服を身に纏った歩兵連隊の将兵。

 見た目はギリシャのフスタネーラみたいで、丈の長いスカートが特徴的。白一色で探検帽も白い。

 世界統一戦争と呼ばれる世界征服戦争時代に身に着けていた軍服を着ていることから名付けられたが、実際は動きづらく、陸軍ではみすぼらしいが、動き易い野戦服で戦闘を行っていた。

 統一して神聖百合帝国に名前が変わってからも、この軍服が採用され続けていたが、より戦闘に適したドイツ国防軍の戦闘服が採用されれば、直ぐに廃止された。

 だが、陸軍内で名誉歩兵連隊が数十個も編成された際に、この軍服を連隊の正式として採用。

 装備もまた統一戦争で使用されたマイナーな物であり、しかも戦闘力を問わずに容姿に優れた者だけを採用した所為で、おしゃれ感覚でスカートを短くする将兵が居たこともあり、一般の部隊からはモデル連隊や売春婦連隊と言うあだ名で呼ばれ、前線に出られる物では無いくらいの練度。しかも陸軍の参謀本部からも戦力として見られていない。おまけに砲兵戦力は無い。迫撃砲すらなかった。

 しかし、帝国府から出すように命令され、やもえず前線に投入されたが、戦果はお粗末な練度の所為で全くと言って良いほど無かった。その所為か、比較的脅威度が低い戦線に投入されている。

 後に登場する国民擲弾兵に当たる国民小銃兵団よりも訓練を受けているので戦闘力は五分であり、避妊薬を手に入れるための侵略作戦に投入されて以降、二級戦部隊に格下げされていたが、兵力が減少すると、再び前線に投入された、

 主な武器は25式小銃にM95小銃、Gew98、マドセン機関銃、MG08機関銃。


小銃兵

 現代も続く軍隊の標準的な装備の歩兵。

 神聖百合帝国軍は第二次世界大戦期の物なので、標準的な装備はボルトアクションライフルである。

 百合帝国軍の小銃兵の大半は徴兵された者であり、更に戦闘に向かない種族であって単独での戦闘力はそこまで高くない。互いの戦闘力の低さを補うべく、常にツーマンセルの行動を義務付けられている。

 開戦当初、戦闘力は低かったが、戦闘による死傷者が年々に膨れ上がって来た所為か、訓練が見直され、中期以降のドイツ軍以上の戦闘力となった。装備も現代歩兵のように、迷彩服が採用された。

 だが、長引く戦争で死傷者の数は増える一方であり、主力軍を除いて人間の男に切り替わって行く。

 主な小銃はGew98、Kar98a、Kar98b、Kar98k、三八式歩兵銃、九九式短小銃。


自動小銃兵

 自動小銃を持った歩兵と言うか、今の標準的な軍隊の歩兵。尚、突撃銃を持った兵士もそう呼ばれる。

 帝国陸軍は、熟練した技術と素早い判断力を持つ者のみに自動小銃を支給した。拳銃もまた支給される。

 小銃兵とは違って自動小銃の連射力が加わり戦闘力が高いが、戦争が長引けばその数は減って行き、小銃兵と同じく人間の男に取って代えられる。

 主な自動小銃はGew41、Gew43、Agm/42、Stg44。

 拳銃はルガーP08、ワルサーP38、ワルサーPP。


擲弾兵

 欧州において精兵の名の歩兵兵科の一つ。手榴弾を多めに持っているから呼ばれる。

 百合帝国陸軍においても精鋭の名と言うか、優秀な兵士の名称となっている。

 戦争の長期化によりイブ人の数が低下しても、民族至上主義によって、人間の男にとって代わられることは無かった。

 主な武装はKar98k小銃擲弾付き、MP40、Gew43、Stg44。

 拳銃はモーゼルC96、ルガーP08、ワルサーP38。


機関銃兵

 読んで字の如く機関銃、主に軽機関銃やら重機関銃を扱う兵科。

 攻撃に防御と幅広い戦闘に投入される。この兵科も戦争の長期化でイブ人の減少により、人間の男に取って代わられた。

 主な機関銃はMG08重機関銃、ZB26軽機関銃、九六式軽機関銃、九九式軽機関銃、MG34機関銃、MG42機関銃。

 拳銃はモーゼルC96、ルガーP08、ワルサーP38。


狙撃兵

 読んで字の如く狙撃銃を扱う兵科。サポートする観測手や分隊に属する選抜射手も、百合帝国陸軍においてはこれに当てはまる。狙撃手と観測手の二人一組で行動する狙撃班は、歩兵分隊の護衛を受けて敵地での狙撃に入る。

 戦争の長期化で人間の男に取って代えられたが、少人数で行動する狙撃手は、人間の女を徴兵してイブ人が主力のままだった。

 主な武装はスコープ付きの各小銃、護身用のMP28やMP35、MP40、Stg44。

 拳銃はモーゼルC96,ルガーP08、ワルサーP38。


近接戦闘兵

 近接戦闘を行う兵科。主に短機関銃を使う。

 市街戦や塹壕戦、その他諸々の狭い場所における戦闘を主眼とした兵科であり、その為の訓練を受けている。

 この兵科は小銃兵に狭い場所で拳銃を持たせて戦闘させるより、短機関銃を持たせて戦闘を行わせたら以外に高い戦果を挙げたので、生まれた兵科だ。

 短機関銃はイブ人の体格に似あっており、特に市街戦や塹壕戦、要塞内部での突入において、短機関銃を持ったイブ人の将兵が多大な戦果を挙げているので、軍上層部はそれを専門とした中隊が編成された。

 大編成の際には、徴兵した人間の女性やその他亜人の女性を加えられたが、イブ人が主力であることには変わらなかった。

 主な武装は各短機関銃。場所によっては散弾銃も使用された。護身用の拳銃もまばらである。


突撃兵

 突撃を行う兵科。主に短機関銃を使っているが、突撃銃も使う。

 この兵科は名前と同様に主に敵陣に突撃するのが仕事であり、その分損害も大きい。

 初めて他の世界の軍隊と交戦したのはこの兵科で、攻撃の一番手である。

 長引くにつれて損害は増えて行き、やがてイブ人の突撃兵が居なくなると、人間の男に取って代えられた。

 主な武装は短機関銃類、Stg44突撃銃。


工兵

 軍隊に無くてはならない、と言うか社会にも必要不可欠な兵科。

 基地や陣地、要塞、その他諸々の大事な物を作ったり解体するには、建築力に優れたこの兵科が軍隊には不可欠である。

 主に建設業や物作りに優れた者がこの兵科になり、今日もまた何処かで物を作って解体している。

 一応ながら、工員では無く工兵なので訓練を受けており、護身用の拳銃を携帯している。

 主な武装は護身用の為に拳銃類。


戦闘工兵

 戦闘もする工兵。

 主に歩兵の要である小銃兵よりも先に前進し、携帯している爆薬や特殊な武装で敵の陣地を破壊して血路を開くのが仕事。

 火炎放射器を装備しているのもこの兵科であり、突撃兵並に先に敵陣に突撃するので、損害も突撃兵以上である。

 無論、戦争の長期化によりイブ人の戦闘工兵は居なくなり、人間の男に取って代えられた。

 主な武装は小銃類に短機関銃類、火炎放射器、特殊な爆薬。


砲兵

 軍隊には必要不可欠な兵科。

 主な仕事は大砲を撃ったり、弾を装填する。戦闘における砲撃は必須であり、前線に出ないからって、決して馬鹿にしてはいけない。むしろ重要な戦力と見なすべきである。

 砲撃、対戦車砲、対空機関砲、高射砲、ロケットなどを扱うのもこの兵科で、弾着の計算も常にしている戦場の女神と言うべき存在だ。今は無いが、突撃砲も扱うのもこの兵科である。

 戦力としては最重要視されており、余り損害が出なかったために末期でもイブ人が大多数が占めていた。

 主な武装は護身用である小銃、それか拳銃類。


対戦車兵

 対戦車戦を行う兵科。

 その名の通り、対戦車戦闘を行う訓練を受けた兵科であり、護身用に小銃か短機関銃を持っている。

 パンツァーファウストやパンツァーシュレックが出て来るまで対戦車銃や対戦車手榴弾で行っていた。

 危険な対戦車戦闘を行うためか、随伴歩兵に真先に狙われる存在であり、この兵科も人間の男に取って代えられる。

 主な武装は小銃類に短機関銃類、パンツァーファウスト、パンツァーシュレック、パンツァービュクセ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ