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気弱令嬢と入れ替わった私、とりあえず不満を書き出してみることにしました。  作者: ちょこだいふく


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15.夢じゃなかった

目を開ける。


天井が見えた。


見慣れた白い天井。


大きな窓。


柔らかなソファ。


(……あ)


身体を起こす。


そこは、間違いなく私の部屋だった。


タワマンのリビング。


ベランダから午後の光が差し込んでいる。


いつも座っている椅子。


テーブルの上のマグカップ。


全部、見慣れたもの。


私はしばらくぼんやりしていた。


(……夢)


そう思った瞬間。


胸の奥が、少しだけ寂しくなる。


あのカフェ。


アマーリエ。


リナ。


ベルン。


全部、夢だったのだろうか。


私は立ち上がり、机に向かう。


そのとき。


ふと、違和感に気づいた。


机の上に、一冊のノートが置かれている。

私はノートに何かを書く癖なんてない。


私はゆっくりそれを開いた。


ページをめくる。


そこには、びっしりと文字が書かれていた。


整った、筆跡。


見たことのある文字。


ページの一番上。


こう書かれていた。


『今日は、少し勇気を出してみました。』


私は思わず小さく笑った。


ページをめくる。


そこには、たくさんの文章が続いていた。


小さな出来事。


嬉しかったこと。


少し怖かったこと。


そして。


ページの端に、小さく書かれていた一行。


『真理恵さんも、元気でいますように。』


私はしばらく、その文字を見つめていた。


それから、窓の外を見る。


遠くの街が、午後の光にきらきらと輝いている。


私はノートを閉じた。


そして小さく呟いた。


「……うん」


「きっと、大丈夫」


机の上には、まだ空いているページが残っている。


私はペンを手に取った。


少しだけ考えてから、


最初の一行を書いた。


『やりたいことリスト』


ペン先が、静かに動き始めた。


私はノートを閉じた。


それからベランダへ出る。


昼下がりの光が、静かに街を照らしている。


あの日と同じ。


柔らかい光。


遠い街のざわめき。


私は椅子に腰を下ろした。


ふと、笑う。


「……あの子」


今ごろ、何を書いているんだろう。


やりたいことリスト。


新しい毎日。


私はノートをもう一度開いた。


白いページ。


ペンを持つ。


そして書いた。


『やりたいことリスト』


少し考えてから、もう一行。


『まずは——外に出てみる。』


私は空を見上げた。


午後の光が、静かに降り注いでいる。


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