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気弱令嬢と入れ替わった私、とりあえず不満を書き出してみることにしました。  作者: ちょこだいふく


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11.罠を仕掛ける

屋敷の前には、すでに馬車が用意されていた。


扉を開けてもらい、中へ乗り込む。


向かいの席にはリナが座った。


馬車が静かに動き出す。


車輪の音が石畳を転がっていく。


しばらく沈黙が続いたあと、リナが小さく声を落とした。


「……アマーリエ様」


私は窓の外を見たまま答える。


「なあに?」


「本日のことですが」


リナは少しだけ声を低くする。


「ベルン様は、すでに学園へ向かわれているそうです」


私は小さく頷いた。


「そう」


「準備がいいわね」


リナがわずかに笑う。


「宰相閣下のご子息でいらっしゃいますので」


私は肩をすくめた。


「…頼もしいわ」


馬車が少し揺れる。


私は胸元のブローチに手を触れた。


「……机の中、よね」


リナは頷く。


「はい」


「アマーリエ様の席は窓側でございます」


「授業の合間には皆さま教室を離れますので……」


少し間を置く。


「十分に機会はございます」


私は小さく笑った。


「わかったわ」


「…狙いやすい場所ってわけね」


リナが静かに言う。


「……そう思われます」


馬車の窓から、学園の塔が見えてきた。


高い石造りの建物。


朝の光の中で、静かに立っている。


私は深く息を吐いた。



リナが静かに言う。


「まもなく到着いたします」


私は小さく頷いた。


——始まる






その頃。


ベルンはすでに学園の中庭にいた。


腕を組み、静かに校舎を見上げている。


隣には、学園の教師が一人立っていた。


「本当に……そのようなことが?」


教師が戸惑った声で言う。


ベルンは短く答える。


「あくまでも可能性の話だ」


それから静かに続けた。


「だが」


「もし事実なら」


目が冷たくなる。


「見過ごすわけにはいかない」


教師は少し緊張した顔になる。


ベルンはそれ以上何も言わない。


ただ、校門の方を見た。


遠くで馬車が止まる。


侯爵家の紋章。


ベルンは小さく息を吐いた。


(来たか)


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