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愛する上司は罪深き転生者(冤罪だけど)  作者: 安藤昌益
脱獄計画

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3/12

よりを戻しますか

「婚約破棄は取り消しますか?殿下?ご令嬢もそれをお許しになりますか?」

 その皮肉っぽい言葉に、二人の若い男女は顔を赤らめながらも、互いにそっぽを向いた。

「私としましては、その方がよいのですが、なんせ脱獄者仲間ですからね。」


 どこかの小説にあるような場面。王太子が、婚約者の公爵令嬢に、

「貴様との婚約は破棄する」

と自身の誕生パーティーで宣言したのだ。

 その婚約者と寄り添う小柄な愛らしい女性を交互ににらみつけた公爵令嬢は、

「分かりましたわ。婚約者破棄は、お受けしますわ。後悔なさらないことすね。」

と凛とした態度で答えた。


 広間にいる客達は、息を飲み、次の展開を見守っていた、固唾を呑んで。

 そして、それは直ぐには分かった。その場にいた隣国の王子と若き辺境大公がそれぞれ1本前に歩みだそうとした時だった。一団の騎士達がまず公爵令嬢を拘束した。

「な、何?」

と戸惑うのは、王太子だった。

「我々は聖アテナ騎士団。転生者を拘束する。」

とリーダーの女が宣言した。

「ま、待ってくれ。彼女が転成などとは…、何かの間違いだ。」

 これも王太子。公爵令嬢の方が、呆然として声も出せない状態から回復したのは、王太子も密かに忍び寄っていた聖アテナ騎士団により、

「転生者として拘束する。」

宣告されたりからである。

「王太子殿下は、転生者ではございません。」

と叫んでいた。

 しかしそれまでであった。猿轡をもされてしまい、二人ともそのまま抵抗力する間もなく、騎士団によって連行されていってしまった。大部分が呆然としている客達を残して…。


 この二人は実は多分転生者ではない。冤罪である。反王太子派と聖アテナ騎士団幹部が結託したといえるし、騎士団幹部が反王太子派だったと言った方がいいだろうか。公爵家も、彼らには目障りだった。その結果、コパン王国王太子ソーセイとハモン公爵家令嬢ヨリアは転生者である、ということを捏造したのである。調査結果というのも偽造である。コパン国王自らが認めたものであるから、誰にも文句は言えないものだった。


 それで何で若い男女を同一の牢屋に入れたのかというと、直前に憎み合い、それが拷問になるということで婚約者を同一監房に収監したことがあったためで、それと同様なことを期待したからだった。

「どうして、私達も脱走計画に?私は、何の力にもなれないぞ。」

「私もそうですわ。公爵家という後ろ盾なんか雲散霧消したのですから。」

と言って、2人は手をつなぎ合っていた。雨降って地固まる、というところである。こんなことになって、互いの心打ちを言い合って、その結果・・・というわけだ。それだけに、このままでいたくないということ以上にともに相手をこのまま死なせたくないと思ってはいた。しかし、冤罪ということでの一縷の希望もあり、脱走することに不安を、そして、自分達がどういう利益があるとみなされているのかという不安があった。

「冤罪ということで同情しているのです。」

と喉まででかかったが、それを飲み込んだ。

「2つあります。多数の人間が脱走して、その面々でコミューンを作りますが、誰もが認める長ということです。もう一つは、将来の担保ですよ。やはりお二人のような方がいられると、いくつも手札がふえますからね。ああ、もう一つあります。私が助けたい人も、冤罪だからですよ。冤罪で陥れられた人に同情するからでもありますよ。それではダメでしょうか?」

と彼が言うと、2人は頷くと、

「彼女(彼)を助けられるのであれば、その計画の成功率が低くても応じるよ。」

と王太子が答えると、公爵令嬢はその顔を見つめて、彼の手の上に自分の手を重ねた。

「ありがとうございます。必ずや、お二人を無事にここから脱出を図れるように努めますから。」

 

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