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愛する上司は罪深き転生者(冤罪だけど)  作者: 安藤昌益
今度こそ

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15/18

日々が過ぎる中で

「ベアトリーチェは、何でも覚えるのも、上達するのも早いから、どこでも引く手あまたじゃないですか?私なんて、役に立たない、ということがないという程度ですから。」

とロレンツィオはベアトリーチェに度々言っていた。

 彼女とともに獲物だけでなく家畜の解体、素材ごとの整理などを行っている時だった。彼は、猟の時も彼女に従った。彼は、ここでも彼女の副官のように動いていた。

「何を言っている。」

と言葉には出さず、微笑の中で隠しつつ、彼女は心の中で舌打ちしていた。

 彼には、ここでも有能なスキルを持っていた。家庭菜園系のスキル、正確には狭い範囲内での農業関係スキルである。彼はそれに錬金術的なスキルもあった。

 彼は自分用にあてがわれた農地に、そのスキルを発動した。そこには美味で、生産量が多い、何毛作もできる野菜、果物、穀物が生育している。そこでの生産の1/3は共同管理に、1/3は皆に配り、残りを彼と彼女でということになっているが、それでも十分すぎる量だった。もちろん自動的に成長して収穫できるというものではなく、丁寧に世話しなければならないが、彼はそれをやりながら、彼女の手伝いを止めなかった。

「大したものではありませんよ。実際、本当に家庭菜園という程度の広さでしかありませんから。」

と苦笑いする彼に、

「本当に君には分かっていないことが多いな。」

と苦笑して返したベアトリーチェだったが、小さく震えていた。彼が、ここで有用な能力を持っていることを羨むのではなく、怪しく感じるのだった、どうしても。


 既に、同棲する者は一戸建て、独り者は集合住宅というようになっていた。ネロのおかげである。ベアトリーチェは、ロレンツィオと同棲?同居することになった。彼が望み、彼女に相談したところ、彼女が同意したからである。転生者達と同じ建物にいるのが気に進まなかったからである。同じ建物なら、ロレンツィオの方がましだと思ったからだった。

「ごめん。まだ・・・。」

とテーブルで向かい合いながら食事をとりながら、ベアトリーチェは、少し横を向きながら言った。

「いいんですよ。ゆっくりと恋人になりましょう。」

とスープの入った皿とパン、チーズと野菜・芋の素揚げ、炒めた豆の入った皿を並べながらロレンツィオは答えた、何でもなさそうに。

 肉は、家畜の肉はまだ収穫はできないし、野獣の肉はハム、ソーセージ、燻製などにするので時間がかかり、魔獣の肉はさらに毒抜きをしないといけないのでさらに時間がかかる。魚は川魚だが、こちらは量がかなり少ない。調味料も塩といくつか作り始めたソースなどで限られていた。そのため、まだ食事は質素なものとならざるを得なかった。ただ、2人にとっては遠征時には、野営でこれ以下の場合が多かったので、あまり違和感はなかった。

 食事が終わり、後かたずけ、明日の仕事の準備などをしていると・・・、

「また、あの時間がきた。」

と彼女はビクッとした。


「ろ、ロレンツィオ。わ、私はまだ・・・、その・・・。」

と彼から視線を外して、言いずらいことを何とか言おうとした。

「分かっていますよ。急ぎませんよ。」

と彼は彼女を優しく抱き寄せて、軽く唇を重ねた。

 彼女は彼との同棲というか同居に同意した、彼の愛の告白を受け入れた。だが、彼と夫婦の関係、当然ベットでの夫婦の営みに及ぶことをどうしてもできなかった。彼女の素振りからそれを察した彼は、気持ちが変わることができるまで、添寝だけで構わないと提案した。それを彼女は受け入れた。そのままの関係がずっと続いている。

 ベッドの中で離れて寝ているわけではない。彼は彼女を抱きしめたまま、それだけで、それ以上のことはすることもなく、彼女とともに眠りに入る。ずっとそれが続いていた。そこまでは何とか我慢できた。不快ではない。そのまま眠りにつくことはできた。性的な欲望は出てくることはなかった。そして、そうした日々が続くことで、彼女のかたくなな気持ちが変わることはなかった。そもそも彼と添寝をして、苦痛を感じない、嫌悪感を感じないと言う程度、つまり我慢できるというものに過ぎないのだから。


 そういう日々が過ぎたある日、彼女は彼の秘密を知ることになったのである。

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