1 . 僕
「×××!!こっち!!」
「蒼真くん、!!早い...!!」
「はは!!まだガキだな!!俺は男の子だから体力がつくのも力がつくのも早いんだぞ!!」
「男の子と女の子で違うの?」
「なんか、とーさんが言ってた」
蒼真くんは首を傾げながら言った。
私は胸が少し、ズキとした気がしたが、気づかなかったフリをした。
「そっかぁ、違う、んだ」
「あ!そんなことより早く!にじ消えちゃう!」
「あ、ぅん!」
私はいっぱい走って蒼真くんの後ろを走った。その時、見た虹は今まで見た虹の中で1番綺麗で今でも心にずっと残っている。
朝、目を覚ました。
懐かしい夢を見た。子供の頃、土砂降りが降ったあと、とってもくっきりはっきり見えた虹を相馬と一緒に見たんだった。
なんで、急にこんな昔の夢。
“僕”はベットから飛び起きて、白い遮光カーテンを開ける。
光が目に入ってきて痛かった。今日もいつも通りと同じ学校に行かなくちゃ。
足を必死に動かして。
僕は準備を始めた。
学校に着いて、今日も真帆が僕に抱きついてくる。
「×××だ〜!!おはよう!」
「おはよう」
真帆と一緒に教室まで向かっていたら僕たちの隣を花ちゃんが通り過ぎた。
花ちゃんはスポーティでボーイッシュ。まさに僕が憧れてる存在だ。
「あ!花さんだ、今日もかっこいい〜!」
「そうだね〜」
僕たちは教室に着いて、いつも通りの席に座った。いつも通りの朝礼が始まって、いつの間にか1時間目が始まっていた。
「...先生来ないね??」
真帆が沈黙に耐えきれなくて僕に話しかけてきた。
「...んー、そうだね」
「私、呼んでくる」
その時、凛とした声が教室に響いた。声の主は花ちゃんだった。
「えー、そういう優等生アピいらねぇよ」
「それな〜、いいだろ自由で」
「アピールとかじゃない。私が呼びたいから呼ぶ」
そう言って、花ちゃんは2人の友達と先生を呼びに行った。
男子はその後すぐに愚痴会を開始した。
「なにあれ、うざ」
「え、それな」
「あれがいわゆる自己中ってやつ?」
僕はそれを聞いていたら胸がズキズキした。だけど、それを聞かないふり、ズキズキを無視して真帆と話していた。
「すいません!遅れました!!」
しばらくしたら花ちゃんと2人の友達と先生がやってきた。
「先生待ってた〜!」
「白石さん呼んできてくれてありがと〜」
手のひら返しの模範解答を見せてきた。ここまで綺麗に手のひら返し出来る人っているんだ。花ちゃんはそれを聞かないフリして席に着いた。
よく分からない数学を右から左へと聞き流しながら、1時間目を終えた。
2時間目も3時間目も4時間目も5時間目も全部同じ様に過ぎていった。ただ、6時間目は違かった。
6時間目は体育だった、僕は足が痛いから見学していた。
先生がやってきて、開始の挨拶をして早々口にしたことに僕は頭が殴られたようだった。
「今日から女子は陸上、男子は器械運動な」
え、男女で分けるの。ちぐはぐな僕は、どっちへ行けばいいの、、?
僕がそこで立ち止まっていたら、陽菜が不思議そうな顔をしてこっちを見た。
「×××!!×××はこっちだよ〜」
「あ、ごめん、!ぼーっとしてた!」
僕は咄嗟に口から言い訳を出して、女子の列へ向かった。花ちゃんは身長が高いから1番後ろにいた。
その時、男子がくすくす笑って大声で先生に向かって話し始めた。
「せんせー!!花って男じゃないんですか??」
え、なにそれなにそれ。花ちゃんはかっこよくて可愛い女の子だよ?花ちゃんは僕と違ってちぐはぐじゃないんだから。
「そういうことを言わない。黙って早く並べ」
体育の先生はそれを軽く叱責して、男子を列に並べた。
その後、女子は校庭へ向かった。
どうやら、今日は花ちゃんも見学だった。2人揃って、校庭の隅に座っていた。
「...今日、潤井さんも見学?」
「あ、ぅん!」
「どうしたの?」
「あ、昨日足を痛めちゃって、」
「え、大丈夫?」
「う、ぅん!僕がドジなだけだから」
間違えた。僕って言っちゃった。
「あ、あはは間違えた...ぼ、ぼくじゃなくて私だよね、」
「え?いいんじゃない。だって、似合ってるもの」
「っ、え?...そ、そう?...//」
あまりにも真っ直ぐな目で見つめられてそんなことを言われるので、僕は照れてしまった。
「というか、ずっと言おうと思ってたんだけど、×××って名前、綺麗よね」
「っ、あ、え?」
真っ直ぐな目でそんなことを言われるもんだから、心臓がドキリと高鳴った。
「あら、聞こえなかった?」
「“翠”って、名前綺麗よねって言ったの」
「あ、ありがとぅ...、!!」
そう、僕の名前は「潤井 翠」。
すーちゃんなどと言われるから、結構僕は気に入ってない名前だった。でも、一見すれば男の子にも見える名前だから、そこだけは気に入っていた。
「別に、礼には及ばないわよ。ただ、私が思ったから言っただけ」
「...ありがとう、/」
照れてしまう。やばい。ニマニマしちゃいそう。
いつの間にか体育は終わっていた。
「ふぁぁ...」
欠伸をしながら、昇降口まで向かっていたら、先生に呼び止められた。
「あ、潤井さん!この後職員室来れるかな?」
「あ、はい」
僕は職員室へ向かった。
3回ノックをして、ドアを開ける。
「1年2組の潤井 翠です。」
「あ、潤井さんこっち〜!!」
「来てくれてありがとうね〜!!用事なんだけど、保健体育の出席日数がちょっとやばいかなーって感じでね〜...」
「あ、本当ですか?」
「あと8回は出て欲しくって...」
「あ、ごめんなさい」
「うぅん、こちらこそ。無理しては出なくていいから自分の出来る範囲でね!」
「はい、ありがとうございました」
僕は職員室を出て、まっすぐ昇降口へ向かった。
昇降口では花ちゃんが、靴を履いていた。僕はそれを追い越して帰ろうとしたら、花ちゃんに呼び止められた。
「あ!潤井さん!この後暇、?」
「え、ぁ、暇だよ、?」
だって、僕帰宅部だし。
「...無理なお願いしてもいい??彼氏のフリしてくれない?」
「か、彼氏?」
「...やっぱりダメだよねぇ...男の子に頼んだ方がいいのかな」
「...うぅん、いいよ、」
だって僕は女の子なのに男の子になりたい子だから。ちぐはぐな扱いされた方が嬉しい。
「え、!?ありがとう...!!」
そう言われて、花ちゃんと一緒にカフェに来た。入ったら、店員さんに早速花ちゃんが話しかけていた。
「紡さん!彼氏連れてきたよ!」
「え、本当だったんだ。完全に勢いだと思ってた。」
「むぅ...」
学校で見る花ちゃんとは全く違かった。可愛くて、で、甘えてる妹みたいな感じだった。
僕がそんなことを考えていたら、席に案内された。
その後、ケーキがふたつ運ばれてきた。
「えっと...まだ頼んでないよね、?」
「あ、説明してなかったね、!ここカップル専用のケーキがあって...と〜っても美味しそうだったんだけど、彼氏いないし...って思ってたの、!巻き込んでごめんね、?」
「ん〜ん!大丈夫だよ」
「というか、意外だったなー」
「え、?」
「あ、花ちゃんが甘いもの好きとか、学校と結構今雰囲気違うから可愛いなーって思って」
「花ちゃんはさ、僕の憧れだから」
「...え、?」
「...な、んで、?」
花ちゃんが小さい声で何かを言った。
「え?なんて言ったの?」
「わた、しに、憧れないで、!私は、...翠ちゃんが、憧れなの...!!」
「...、?え?」




