表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/38

2



藤原路雅。


どっかの巳と並ぶ好色家である彼は荒ぶる三位だ。

路上で喧嘩をして見世物になったり、口説けなかった女を殺してみたり…とその荒ぶれように歯止めは利かない、全く。


そんな路雅に恥をかかされた宮仕え人は後を立たず、どうにかしてやりたいと思う日々である。

だが実際問題、滅多なことをしてみたらそれこそ家ごと潰される。

ついでに妻も娘も奪われる。


ならば、もういっそ誰かあいつをこっそり殺してくれ。


正直、自然消滅でも構わない。

頼むから死んでくれ。



そうなる訳で物頼まれたのが、忍びを生業とする蒿雀一族だった。



そこの当主、不知火は仲の悪い姉と罵りあいを日常的にしていて、常に力を見せ付けなければならない状況にあった。

が、近しい存在の呪のせいで寝殿に踏み込んだだけで終わった。

姉に散々馬鹿にされる、どうしよう。

とにかく、継続中のこの呪をどうにかしろ。





「って、ことです。蛇殿様」



蒿雀の愚痴から聞き出した情報を伝える吹雪。



「ふむ、つまり私はやはり悪くはないのだな」



大白蛇は得意げににやりと笑む。

大人しく座っていた蒿雀は、辛抱ならんと立ち上がって地団駄を踏んだ。



「蛇に耳はないってマジなのね…どう聞いたってあんたのせいでしょ!?」


「そうか?吹雪、お前はどう思う」





「兄上はどこに行ったのか、と思います」



何かを察したのか、吹雪はすっと立ち上がると別室に消えた。

口ぶりからすると舞雪を探しに行ったのかも知れないが、ただこの場から逃げたかっただけなのかも知れない。


二人っきりされた室内は静かになるはずもなく、蒿雀の責める声だけが延々と響く。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ