表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

7 援軍と決着と

 突如現れたあおいに混乱しつつも、繊華は隊長へと通信を繋いだ。

 

「何を考えているんですか! あおいちゃんはまだ戦闘をしたこと無いんですよ! それをこんな相手のときに出撃させるなんて!」

「あおい君は優秀だ。訓練でも十分以上の結果を出している。今日届いたばかりの魔導杖もすぐに手足の様に扱ってみせた。それに、実際役にたっているだろう?」

「でもっ……」

「先輩。ここへはわたしが来たいといって出させて貰ったんです。わたしだってガルダンジェロの一員ですから!」

「あおいちゃん……」

「ほらほらふたりとも、そういうのは後にして。ドラゴン、まだまだ元気そうだよ」


 美月の言葉で気持ちを切り替える。あの高さから落ちたというのに、弱る様子もないのはさすがはドラゴンといったところか。先に傷をつけた肩付近は衝撃で傷が深くなっていることだけは朗報といえるだろう。

 

「まずは状況確認。あおいちゃんは魔法でどんなことができる?」

「一度見せて貰えれば、みなさんと同じことをだいたい7割位の力で再現できると思います。変形みたいにそもそもニューロマンサーの構造的にできないことは無理ですけど。あとは、あのドラゴンの真似もできます! さっきはそれで飛びました!」

「OK。それじゃあ作戦会議といこうか」

 


 ドラゴンの攻撃をいなしながら話し合い、勝利への糸を紡いでいく。実際のところあおい参戦の影響は大きく、先程までの絶望が嘘のように簡単に作戦は決まった。


「これで大丈夫。必ず勝つよ! それじゃあ改めて。ガルダンジェロ行くよっ!」

「はいっ!」


 一度地上に落とされてから、飛ぶのを止めていたドラゴンだったが、こちらがあおいを下げたのを見て早速空へ舞い戻った。


「はいはーい。それじゃあ、おねえさんも空まで攻撃できることを見せつけてやりますかー」


 美月はレールガンを構えると、ドラゴンに向けて発射していく。今回は何度も撃てるよう意図的に威力を抑えて貰った。それに少しでも銃身の負担を減らすため、溜まった熱は順次繊華の魔法が拡散させている。当然ドラゴンには大きなダメージを与えるには到らず、躱されたものも多くある。しかしこれは狙い通り。今撃っているのは、いわば見せ玉。本命の弾が来るまで存分に油断しておいて欲しい。


 次にあおいに空中へあがって貰う。するとドラゴンはまた地面へ降り立った。最悪もう一度撃ち落とすことを考えていたため、好都合。そして、あおいはそのまま空で待機だ。


 ちなみにこの浮遊は、ドラゴンのもつ【飛翔】に加え【熱操作】により髪の毛のようなケーブルの先にある魔法発射口をスラスターとして使うことで行っている。……首の負担が大きそうだが、そこはきちんと対策がされているそうだ。


 ドラゴンが降り立った地面は先程までと違い、大きめの岩や瓦礫が転がっている。リリィに周囲から集めて来てもらったものだ。その気になれば弾き飛ばされる程度のものだが、動き回り辛いのは確かだろう。


「次は私の番! エアバーストォォ!」


 最初にドラゴンへダメージを与えた場面を再現するように、急接近し、ランスを投げ、離脱する。


 ランスはドラゴンを掠め、横に突き刺さる。だがいい、これも予定通り。動く方向を制限さえできれば。


「そろそろ終わりにしましょう。弱体化(レデュースパワー)


 リリィの魔法で、更に動きが鈍くなる。周りの岩も相まって、これでもう横へは逃げられまい。


「それじゃあ、行くよー。レールガン。最大出力!」


 轟音を置き去りにレールガンの弾がドラゴンへ向かう。







 ――躱された。







 ドラゴンは死力を尽くすように、上へ飛び上がったのだ。






 作戦通りに(・・・・・)






「あおいちゃん、お願いっ!」

「はいっ! 任せてください!」

 

 レールガンは原理的には極めて単純な構造だ。それこそ弾とレール2本で成り立つほど。


 だから、サブアームをレールとしてニューロマンサーでも十分再現できる。


 そして、それを【発電】、【拡散】、【強化】、さらにドラゴンの【熱操作】と【飛翔】で無理矢理成り立たせる。

 

「いっっっけぇぇぇぇーーーー!!」


 真上からの攻撃を避けることはできず、その身に受けたドラゴンは再び地上に落ちた。





 レールガンが立てた砂埃が晴れるとようやくドラゴンの姿が見えてきた。 


 生きている。だが、満身創痍といった様子で翼も片方が無くなっている。


 こちらもニューロマンサーとブレードランナーはレールガンの反動で中破。ディアスポラは主武装のランスを失い、アルジャーノンは目立った損傷はないものの一番走り回っていたリリィの体力が限界だろう。

 

 お互いに苦しいなか、ドラゴンはよろよろと飛び、逃げて行く。

 

 倒しきれなかったのは、残念だがここは仕方ない。そう思っていたとき、隊長から通信が入った。

 

「隊長、何とか勝ちまし『総員、すぐに伏せてくれ』」


 隊長の指示に従い、伏せたのとほぼ同時。


 基地から発射された光線がドラゴンを貫き、今度こそ絶命させた。


 こうして、ガルダンジェロとドラゴンの戦いは思いがけない終わりを迎えることとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ