第7話
新しい屋敷は祖父母にお譲りしました。
そのまま叔父夫婦に譲られることでしょう。
私は夫と国外に据えた本店に移りました。
貴族の権力を笠に無理矢理結婚させようとしたからです。
支店を一時的に閉鎖したところ、国が荒れたそうです。
……ちゃんと国には連絡してたんですけどね。
「ある国が自然災害で荒れたため、当商会はしばらくその支援のために支店を閉めます」って。
時期が重なったのは仕方がありませんね。
ですが、よその商会もその自然災害によって流通が止まったのは知りませんよ。
こちらは正式な申請で国より許可が下りての休業です。
流通が止まって……云々による休業では国民も許しませんよ。
そのうち、国内では噂が流れたそうです。
デイジー商会が店を閉めたのは、ある貴族が結婚を迫ったからだ。
そして断ったデイジー商会の営業を妨害した。
デイジー商会のおこぼれに預かって図に乗っていた商会も販路拡大のために加担したため、結局商売が成り立たなくなって廃業したのだ、と。
私たちの商会が再開をしようとしたところ、そんな騒ぎになっていました。
さらに「その貴族よりうちの方は爵位が高い」だのと言い出すバカ貴族まで出る始末。
「私には夫がいます」
「だったら離縁しろ。その慰謝料くらい払えるだろ」
その貴族はサクッと訴え、国に「このまま貴族を野放しにするならこの国から撤退するぞ、オラオラー!」と脅した。
すると今度は王弟が「夫と離縁しやがれ! そうじゃなければ国内の営業を認めんぞ」と脅迫。
「だそうですよ」
「滅ぼしていい?」
「滅ぼしちゃった方がいい」
商会の支援によって国を立て直すことが出来た隣国が「オラオラ、うちの恩人になに言ってくれちゃってんだー、あああ?」と国王を脅迫。
「詫びいれんかい! ちょいと話し合いしようじゃないかぁ」と手紙を送ると同時に、『国の代表』を先頭に護衛を連れて…………ズラズラと…………
「国内屈指の軍隊を連れて話し合いに行くバカがどこにいるんですか!」
「あれは護衛だ、護衛」
「たしかに、帝国の皇帝が動くなら軍隊も必要だよね」
結局、対面と同時に話し合いをすることもなく国王は非礼を詫びた。
無血譲国で国は滅び、隣国が国土を広げることに。
もちろん、国王以下貴族も全員が平民落ち。
ちょっとでも後ろめたいことや疚しいこと、仄暗い過去をお持ちの方々は全員が檻の中。