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chapter2,いつかの思い出を掘り起こせば・・・

1,#幼なじみってどういうこと!?


時刻は夜の十時、俺と姫香は、自室にいた。

・・・顔を赤く染めて、ベッドの上で正座。

加えて向かい合ったまま下を向いて、黙り込んだ状況だ。


「あの・・・さ・・・」

「っ!?」


先に口を開いたのは姫香だった。


「あ、あの。とっても申し上げにくいんだけど・・・、よろしいでしょうか?お兄様・・・」

「その、申し上げにくいこととは・・・、なんであろう?妹よ」

「その・・・」


妹は顔を上げて静かに言った。


「なんでこういう状況になったんでしたっけ?」

「・・・・・・」

「お、お兄様?」

「思い出せぇー!!アホ姫香!!いや、バカ妹よぉー!!!」

「ひえぇぇぇっっ!!」


何を言い出すのかと思えば、それかよ。






遡ること、六時間前。


「ちょっ!?姫香!やめろ!!」

「無理」

「無理じゃないってば!!」


放課後、姫香に呼び出された俺は、何かしらの方法で眠らされ、保健室のベットの上で仰向けの状態で拘束されて、姫香に「私の初めて奪って」と言われ、姫香自ら上着を脱いで俺の胸元を弄ってきた。

ここまででも、色々ヤバい事になっているのは分かる。

だが、ここからが問題だった。


「ちょっと!?アンタたちなにしてんのよ!?」

「「へ?」」


そこに現れたのは、白髪の少女だった。

俺はこの人に見覚えがあった。

彼女の名は雪代杏花(ゆきしろきょうか)

この学校の、というか俺らの一個上。

つまりは俺らの先輩に当たる人だ。


「なんか保健室が騒がしいから見てみたら・・・、何がどうなったらこうなるのよ!!」

「そう思うのも無理ないっすよ。ていうか、恐縮ですがこれ、ほどいてくれませんか?」

「そもそもほどかないと話が見えてこないわよ!」


とまあ、彼女にお願いをしてなんとか自由の身になった。

これで見逃してくれるのが一番良かったんだけど・・・。

「さて・・・。何が!どうなったら!こうなって!ああなって!どうやったら!?そうなって!!!」

「ちょっと!?落ち着いて!!!」

「あちゃー、暴走してる・・・」


暴走してる杏花さんを止めて、落ち着かせるのに、結構な時間を費やしたのは、言うまでもない。

(体感で10時間ぐらいだ、それだけ暴走してたってことだ。ちなみに言うと現実では30分だったという事実は、しばらく俺らの頭から離れられなかった)




「・・・ってことがあったんだよ!覚えてる?」


そして現在、最近できた義理の妹、星見姫香(うちの名字に直すと亀村姫香)と回想を終えて今に至るのだが・・・。


「いや、そこじゃなくて」

「ん?()()()()()()?」

「そう、()()()()()()

「えっと、他になんかあったっけか?回想すべきとこ」

「あの先輩だよ!面識どころか、()()()()()()()()()()()()ってどういうこと!?」

「あ、あれ?言ってなかったっけ?」

「この・・・、バカ直樹!」

「うわっ!?ごめんごめん!説明するからぁっ!」


こうして、バカ兄貴こと俺、亀村直樹は

妹に枕でボコボコにされたのだった。



2,#あの日から少し経った頃の話


小3の頃に、俺たち一家は引っ越した。

生まれ育った町から離れることになるのは、正直辛かった。

馴染みの場所から新天地へ行くという不安もあったが、一番の不安というのは


「いやだいやだ!直樹と離れ離れになるのいやだーー!」


駄々をこねてた姫香だった。

近所の幼なじみという理由もあって、俺たちはある意味親友のようにお互い仲が良かった。


「僕だって姫香ちゃんと離れ離れになるの嫌だよ。でも」

「でもじゃない!!離れ離れになったら私どうしたらいいの?」

「どうしたらか・・・あ!そうだ!」

「な、何?」

「ちょっとうち来て!」

「え?う、うん」


大急ぎで家に着いた2人は、そのまま直樹の部屋へ入った。

そこから俺は、勉強机の引き出しの中にしまってある宝箱を取り出し、あるものを取り出した。


「これ!」

「えっ?これって・・・」


彼女に渡したもの、それはペンダントだった。

ペンダントと言っても、宝石の類が入っているものではなく、2人のツーショット写真が入っているものだった。


「これ、去年の夏に作って姫香にあげようとしたんだ。でも、あんまり上手に作れなかったんだ。だからずっとしまってたんだけど、お互い離れ離れになって顔を忘れないように、このペンダントを受け取って欲しいんだ!」

「・・・うん!ありがとう!絶対に忘れない!」


そして引っ越しの日。

お互いに別れの言葉を伝え、「またいつかどこか出会おう」と誓い合い、この町を去った。




そして引っ越してから数日後、俺は新しい学校に入り、すぐにその環境に慣れた。

特に、ある子から好かれていた。


「直樹くーん!遊ぼ!」

「うん!今行く!」


その子こそが、雪代杏花だ。

知り合ったきっかけはというと、俺の父親が杏花さんの父親と同級生で、よく父親同士で思い出話やら世間話などでよく家で盛り上がっていた。

たまに、娘(杏花さん)を連れてきて俺と遊んでいたのがきっかけだった。

当時お互い何したらいいのかわからない状態でギクシャクしていたが、2週間も経てば仲良しになっていた。

父親が、「幼稚園児の頃から初対面の人でも普通に話しかける性格らしいんだよな。そう言えばお前が5歳の頃に隣町のでっかい公園連れて行った時にその場にいた同年代の子供たちと全員仲良くなって友達になってたの覚えてるか?」と、言ってた。

その規模のコミュ力があったってことかぁ。


「直樹くん、ゲーム強っ!」

「そうっすかね?これでも普通ぐらいですよ?」

「ぐぬぬぬ・・・、なんか悔しい・・・」


とまあ、ゲーム(主にカート系のレースゲームよくやってたな)するぐらいの仲だけど、こう見えて今でもたまに(姫香が居ない時間帯に)来ていつもゲームしていた。




「・・・とまあ、これが俺が姫香と会っていない間にできた杏花さんの話ってことだね」

「ことだねじゃなーーーい!」


テンポよく話を進めていた俺に対して、姫香はブチギレた。


「もう、私のこととか絶対に思い出す必要ないくらい充実してんじゃん!バカ!女たらし!」

「女たらしではないぞ」

「ていうか、私というものがありながら何勝手に他の子に乗り換えてるの?バカなの?ねえ?」

「は?乗り換えた?どゆこと?」

「とぼけんな!!付き合ってるんでしょ!?そんな当たり前のことを私にわざわざ言わせるなんてどんだけ最低なの!?」

「いや、付き合ってねぇよ?」

「え?」

「えっ?」


付き合ってはない。

これは真実中の事実だ。

ただ仲が良いってだけで、恋愛感情の類はまったくない。


「もしかして、俺と杏花さん付き合ってるって勘違いしてた?」

「うん。・・・え?付き合ってないの?」

「うん、ただ仲が良いってだけ」

「へーーーーー」

「どした?」


長い『へーーーーー』を言いながら少しずつニヤけていった。


「ううん!なんでもない!さ、早く寝よ?お兄ちゃん!」

「おう?よくわかんねぇけど機嫌直ったみたいだな」


しかし俺はまだ知らなかった。

この笑みが翌日、とんでもない悲劇を引き起こすことを。



3,#あれ?デジャヴ?


翌朝、俺は朝から発狂してしまった。

目が覚めたとき、両手両足首を手錠で固定されていて身動きが取れなくなっていた。


「もう、兄さんうるさい!」

「平然とすんなや姫香!ってか昨日事情説明したよね?なんでこんなことすんの?」

「単刀直入に話したいことがあるから」

「ん?話したいこと?」

「そのまま何も拘束してない状態だと、その話の重要性とかわかってくれなさそうだからこういうことしました」

「それだけのために!てかそれってよっぽどのことなのか?」

「そりゃそうだよ」


何の話なんだ?

ていうか、今日が休みで良かった。


「・・・好き」

「ふぇっ?」

「私、ずっと昔から直樹のことが好きだったの。お願い、今は兄妹だけど、義理の妹になった今でも、直樹のことが好き」

「マジっすか?」

「マジです」


姫香、俺のこと好きだったの?

え?待って待って?


「冗談じゃないのは伝わった。けど」

「けど?」

「ぶっちゃけ言うとさ、俺の魅力なんてあるか?」

「は?」

「え?」


あ、このパターンってもしかして。


「無いよな?」

「あるに決まってるじゃん。それもたくさん」

「あるのかぁ?てか具体的にいくつ?」

「具体的にいうと?うーん、一京(いっけい)ぐらいだけど?」

「ごめん、全部聴いてたらキリないて」


一京って、恐ろし!



EPILOGUE,#無限の愛は時に、人の心すら病ませることがある


「じゃあ、早速」

「待て待て、聞くとは一言も言ってませんよ?」


さも当然のように俺の魅力を語り始めそうな妹を止めた。

流石に一京もの数を聴くのは、心がとんでもない事になりそうな感じがした。

なんというか、うん。

人格が変わるレベルの。

それぐらいの勢いで語りそうな予感がした。


「じゃあ、どうやったら私の『直樹くん愛』を伝えられるの?」

「なんだよその『直樹くん愛』ってのは?」

「え?単純に『直樹くんへの愛』ってことだけど?」

「そうじゃなくて・・・」


ここまでの流れを体感して俺はあることを確信した。

「なぁ、ひょっとして姫香って『病み落ち』してる?」

「何言ってるの?ずっと昔から、私の心は落ちてたよ」

「ずっと昔って、いつから?」

「小学一年からだけど?」

「さも当然のように言っちゃったよ」


あれ?

てか待てよ?

小学一年ってからってことは・・・


「なぁ、確か幼稚園からの付き合いだったよな?俺たち」

「うん、そうだよ」

「なんで幼稚園からじゃなくて、小学一年からなんだ?」

「・・・覚えてないの?」

「え?」

()()()()()()()()()()()()?」

「あの日?」

「この様子じゃ覚えてないみたいだね。まあ、いっか。じゃあ話すね、あの日のこと。私が直樹に病み落ちされたきっかけを」

「病み落ちされたって、なかなか聞かないぞ・・・」


こうして姫香は語り始めた。

俺を好きになった。

もとい、姫香が病み落ちするきっかけを作ったあの日の話を。

みなさん、お久しぶりです。

「義妹の在り方に決まりをつけて欲しい」ようやくchapter2が書き上がりました。予定してた8月中旬の投稿には間に合わなかったのはほんとにすいません!

本職の方(「俺バレ」)に集中してこっちのほうが全く手を付けられないという状態がずっと続いていたので本当に大変でした。

でも、なんとか投稿にこじつけることができて本当に良かったです。

次回でいよいよ最終回です。

最後まで読んでいただけると幸いです。


次回最終回は12月下旬投稿予定です。

お楽しみに!

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