chapter1,俺に妹ができたのはいいけど、ちゃんと素性を明かしてから紹介しろよ、親父
全三部構成で送る、「義妹の在り方に決まりをつけて欲しい」。
最初は短編小説で出そうとしましたが、
なかなか、これ!といった形にまとまらず、短い連載小説というのも面白いのでは?という感じで作りました。
ぜひ、楽しんでもらえれば幸いです。
1,#妹をつくるなよ、親父・・・
「なあ直樹、大事な話がある」
親父は、何やらとっても重要な話がある雰囲気化もしてそう言った。
とはいえ、うちの親父はいつもそういっていつもしょうもない話を無駄に期待させていっているので、正直いろいろ面倒に思っている。
そんな、この親父と二人暮らしをしている僕、亀村直樹は、仕方なく親父のいるリビングへ向かう。
「なんだよ、親父。またくだらねえ話か?」
「まあ聞け・・・」
「なんだよ」
親父は、一呼吸置いてこう口にした。
「実は・・・お父さん、再婚するんだ」
「再婚ねえ・・・・・・・・・・・・。はあ?再婚だとおおお!!!」
「そんなに驚くか・・・・・・・」
「当たり前だろ!なぜにそうなった!?」
「まあ、それは置いといて…」
「置いとくなあーーーーーー!!!」
・・・ったく、なんで急に再婚することになったんだよ・・・。
「ここからだ、重要な話というのは」
「さっきも十分重要だったわ!!」
「すまんな・・・」
「で?」
親父は、無駄にはきはきした口調でこう言った。
「お前になあ・・・・・・『妹』ができる」
妹ねえ・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・ん?・・・は?
親父、今なんつった?いもうと・・・「妹」ができるって言ったな。
よし落ち着けえ、なら言うことはこれしかない。
「なにしてくれてんだーーーーー!このクソ親父ーーーーーーー!!!」
「なんでだよ!?」
いや・・・そりゃキレるよ・・・。
何、再婚して妹つくってんの?
このあと、再婚相手の母親の連れ子だと知らされるのは、まもなくのことだった。
2,#妹がまさかの・・・
「それで昨日、そんなことがあって親父さんにブチギレてしまったということがあったんだね」
午後の教室で昨日のことを話す。親父に対する怒りが、まだ抜けていない状態で学校へ来てしまったので、友人へと
相談したというわけである。
こいつは、長戸勝生。
中学の時からの腐れ縁で、いろいろと互いに相談したり、
休日に遊びに行ったりとそういう友達である。
「別に、お前の親父さんの再婚で、俺がとやかく言う
必要があるのかい?」
「いやいや、そういうことじゃない。俺が言いたいのは
『俺に妹ができる』ってことを相談したかったんだよ」
「いや、それもさっき聞いたよ。ていうか、むしろ
おめでたいことだろ、それ」
「あのなぁ・・・」
駄目だこいつ、全然俺の言いたいこと理解出来てねえよ。
ていうか、俺も何が言いたいのか言ってなかったな。
「その妹ってのが、まさかの『海花』
だったんだよ」
「マリンフラワーねー・・・。・・・・・・は?今、
『海花が俺の妹になった』って言ったのか?」
「そうだよ、あのマリンフラワーだよ」
「よし、俺が言うことはただ一つ」
「なんだよ?」
「大問題だわ!!!それ!は?『高嶺の海花が俺の妹になった?』大事件だよ、それ!!!」
「オッケー、とりあえず混乱してるのはよくわかった」
あー、友達にバグが起きてしまったなぁ・・・。
どうしよっかな、これ。
3,#妹は、俺の・・・
勝生に相談する二日前、そして親父の「再婚したんだ騒動」
から一週間後。
今日は新しい母親と「妹」との初対面の日。
再婚相手との馴れ初めというか、きっかけは、親父の会社の上司からの紹介でお付き合いを始め・・・・・・そして今に至るというわけだ。(だいぶ、ざっくりした説明を親父がしてたので俺も詳細はよく知らない)
レストランで待ち合わせという、予定で、今は無事合流し、その相手二人との対面を果たしたのだが・・・・・・。
問題は、これから俺の妹になるという相手の女子にあった。
「え?・・・姫香ちゃん!?」
「ウソ・・・直くん!?」
妹のことは何も知らされてなかったから本当に驚いた。
なんとその相手が、昔近所に住んでいた幼馴染の
星海姫香だった・・・。
姫香は、俺が小学三年のときに親の都合で引っ越して行ってそれ以降もう何年もあっていなかったのだが。
まさか、今日ここで再会できるとは・・・。
「どうだい?びっくりしただろ?直樹」
「いや、なんでこうなったの?」
「いやー、相手がたまたま星海さんとこの奥さんでさあ」
それに続いて姫香の母親が
「そうなの、偶然お見合いの相手が亀村さんだったのよ」
「もうー、お母さんてば、なんで私にそのこといってくれなかったの?」
「だって・・・ね?」
「そう・・・だね」
そう言うと二人は、
「「黙っといておいたほうが二人の反応いいと
思っちゃって」」
ハモってしまった。
とりあえず、ここ最近で結構仲良くなっているのが
わかった。
「それにしても、二人の再会がかなって
よかったわね、姫香」
「ちょっと!お母さん、それ言わないでよ!!」
何か今、すごい重要なことを姫香の母親が言った気がするが
そんなことをお構いなしに、俺は黙々と運ばれてきた料理を
無言で食べていた。
(その時、姫香の顔をチラッとだけ見たが、どこか安心した表情をしていた)
4,#家族構成の変化+妹の今
二人が入居して変わることがある。
「家族構成」だ。
姫香の母親が俺の「母さん」になり、俺の親父が
「姫香の父親」になることは、大体だが、予想は
ついていた。
しかし、ある問題が発生した。
それは
「は?俺と姫香が一緒の部屋になる?」
「そうなんだよー」「そうなのよー」
結構ショックというか、びっくりというか・・・
というか、忘れていたことがあった。
「ウチの部屋が少ない」ということを。
ああ、もっと早くその事実に気付けば良かった・・・。
「待って、姫香は、そのこと知ってんの?」
「知ってるよ。というか」
「すごい乗り気だったよねー、あなた」
なんかもう、「バカップル」ならぬ「バカ夫婦」が
誕生したのは、気のせいだろうか・・・まあ、いいか。
「って、『まあいいか』じゃねーよ!なんで俺の部屋に
顔見知りの女子がいる状態になってんの?俺の理性が
持たねーよ!!」
「まあまあ、大丈夫大丈夫。限界迎えたらヤッてもいいからね」
「親父がそれを言うなよ!普通こういうの母親が
言うもんでしょ?そうですよね?」
「うーん、私は正直に言うと・・・」
「正直に言うと?」
「「二人が幸せなら、それで良いよって感じかな!!」」
「なんでだよ・・・」
もう疲れた。
まだまだ言いたいこととかあるけど、これ以上何言っても
無意味な感じを悟ったので、これ以上の文句をやめた。
「へー、そんなことがあったんだ」
俺と姫香がいるのは、俺の部屋兼、姫香の部屋。
つまりは、「二人の部屋」ということになる。
「というか、姫香ってもしかして、俺と同じ高校通ってる?」
「うん、そうだけど。それがどうかしたの?」
「そのまさかだけどさ、もしかして、男子の間で『高嶺の海花』って言われてたりする?」
「あ、えーと・・・。その・・・」
「妹よ、『はい』か『いいえ』で答えろ」
「あ・・・『はい』。そうです、私があの『高嶺の海花』です・・・」
「やっぱりか・・・」
離れ離れになった幼馴染が、『高嶺の花』になっちゃってるのは無理もない。
「お前、可愛いしな」
「ひゃっ!?」
なんか褒めたら、急に変な声出したなとか思っていると、
姫香は顔を赤く染めていた。
「いや、なんで恥ずかしがるんだよ。他の男子とかによく言われてるだろ、『可愛い』とか」
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私は、今とっても恥ずかしい気持ちです」
「はい」
「なので、責任取って今夜一緒に寝てください」
「うん、なんで?」
「もし断ったりしたら、お母さんに『姫香の初めて、お兄ちゃんに奪われたー!!』って、泣きついちゃうよ?」
「ずるいぞ・・・それは・・・」
仮に断ったとしよう。
あの二人が、ウソでも信じたとしてたどり着く先は。
「あの二人に言ったら、『結婚しなさい!!』って
本気で言いそうだな」
「け・・・」
「け?」
「けけけけけ、けっ『結婚』!?」
「いや、だってあの二人のノリを考えても、ゴールが
それしか見えないんだが」
「それも・・・・・・アリ・・・かも・・・」
「え?」
「なんでもない!!でも、今夜は一緒に寝るからね!!」
「あ・・・はい」
結局、その日の夜、妹と同じベッドで
寝てしまった。
(というか、これを想定してなのか、俺の部屋のベッドを売り払って、わざわざ
『ダブルベッド』を購入した理由が大体だが、わかった気がする)
それにしても、なんで俺を後ろからハグしたまま寝るのだ、妹よ・・・。
5,#三種属性の俺の妹 パートⅠ
「なにーーー!一緒に寝てしまっただとー!?」
昼休み、大声で勝生が叫んだ。
なぜってさっきの話に続いて
「昨日、妹と寝た」と言ったら、そりゃキレるだろうが。
こいつの場合、「マリンフラワーに添い寝してもらった」と、聞こえたらしい。
(ちなみに、『さっきの話に続いて』というのは、『俺に妹ができた』という、話をした日の続きの出来事だ。したがって、その日の続きということを了承してくれ)
「ん?なんか言ったか?さっき」
「いや?なんも」
「ていうかお前、ぶっちゃけどう思ってんの?」
「あ?何が?」
「妹もとい、『マリンフラワー』のことだよ。好きなの?」
「ああ、もちろんだよ。『妹』として、だけどな」
「よかったーー」
「いや、なんでおまえがホっとしてるんだよ」
「いやだって、仮に両思いだったら、俺の勝ち目ないからな」
「安心しろ、『同学年の高嶺の花』と同居しても、『義妹』という関係になってるから、そもそもそんな感情なんて無いよ」
「・・・・・・おい・・・」
「どしたん?そんな急に固まって」
「う・・・後ろ・・・」
怯える勝生に言われて後ろを向くと、
そこには、涙目の姫香の姿があった。
「姫香?いつの間に居た?っていうか、どした!?なんで涙目に?」
「お兄ちゃんが・・・」
「へ?」
「まあいい、とにかく今日の放課後、
保健室来て」
「いや、なんで?」
「いいから来て。来ないと・・・わかってる?」
「ひ・・・ひゃい・・・」
妹、もとい姫香は、去っていった。
その一部始終を見ていた勝生は、すごく羨ましそうな顔でこっちを見ていた。
EPILOGUE,#三種属性の妹 パートⅡ
放課後になり、姫香に言われて保健室に来た。
あんまり考えたくはないのだが、実はここの保健室「保健室担当の先生はおろか、保健委員すら来ない保健室」と言われている。
つまり、ここは「唯一の無法地帯」のような存在になっている。
一瞬、入るのを戸惑ったがここでくよくよしてたら意味ないと思い、意を決して入ろうとした。
その時、急な眠気が俺を襲い、保健室前で倒れてしまった・・・。
「で、今に至ると」
「至るとじゃないよ、姫香」
今俺たちがいるのは、例の保健室。
しかも両手両足を鉄の金具で固定されていて、その状態でベッドに縛り付けられるという体制で、俺は目を覚まし、
今さっき起きて姫香の回想を経て、
今に至る。
つまり、今のこの状況は、大変なことになっていることは間違いなかった。
「姫香、なんで俺を拘束するんだ、早くほどいてくれ。というか、解放してくれ」
「どうしても?」
「そりゃあもちろんだとも」
「じゃあ・・・」
そう言うと、姫香は俺の上に乗り、
甘く、トロンとした目で衝撃の一言を口にした。
「お兄ちゃん・・・私の初めて・・・奪って・・・・・・」
あー・・・ウソだろ。
今さっきとんでもないこと言ってしまったよ。
ていうかヤバいな、このままじゃ俺の貞操が危ういことになる・・・。
そう考えてると、姫香はおもむろに自分の上着を脱いで、俺の胸元を弄ってきた。
「ちょっ!?姫香!やめろ!!」
「無理」
「無理じゃないってば!!」
あー、終わったな・・・俺。
まさか俺の初めての相手が、姫香だとは思わなかったな。
よし、一連の行為が終わったら、親父を改めて叱っとこう。
いや、もう法を味方にして裁判でもおこすか。
そう考えながら、俺は必死に抵抗するのだった。
いかがでしたでしょうか?
今回は主人公、直樹がなかなかの修羅場になってましたねー。残り二部でどうなるのか?
そして、直樹は無事なんでしょうか?
そこは、chapter2をお楽しみに。
余談ですが、同じ「小説家になろう」で連載小説
「俺の秘密が転校生女子にバレたら同居することに
なりました」を現在連載中です。
(『俺の秘密、転校生女子、バレたら同居』で検索すると出てきます。)そちらも、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
chapter2は、8月中旬頃投稿予定です。お楽しみに。