【第7話】私の決心と、神頼み
第七話です。
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重く感じる足を引きずるようにして、どうにかガゼボから自室に戻った。
柔らかなソファに沈み込むと、さっきのお兄様の事を脳裏に反芻させた。
お兄様の震える腕を思い出すと、ぎゅっと胸が引き絞られるように痛む。
絞られた胸に連動して涙が出そうだ……
あんなお兄様の姿を見ると、この世界は美醜感覚が違うだけではないように思える。
容姿を気にして、ああも怯えるのは……かなり極端だし、深刻な事態なんじゃないだろうか?
……それも“話したこともない妹”に対して、である。
私が暮らした日本では、容姿だけのせいで、見も知らぬ人からの酷い差別や、軽蔑に怯える、ということは、そうそう無かったことのように思う。
私が漫画を描いて引きこもる事が多く、無知なだけなのかもしれないが……
主観で言えば、”知らない人に対して“というのは、死ぬまでの間に、目にした覚えがない。
まず、共に長く過ごす仲でもない限り、迫害するほどの興味を他人に向けないのが、普通だったように思う。
ーーーもし、この世界が、美醜の逆転だけではなく、”醜い”と分類されてしまう人たちが、極端に酷い扱いを受けてるのだとしたら………
美しいと評される人の前に立つことは、言葉にならないほどの恐怖なのでは無いだろうか?
だが、我が家は侯爵家である。
上位貴族は、当たり前のように、権力も財力も持っているのだ。
そうそう手を出せる相手では無い。
養子ということが公言されていたとしても、侯爵家の長男が、あんなに怯えているのは異常だ。
もしかしたら、直接手を出されるのではなく……心を殺されるような目にあって来たのかもしれないー………。
ーーーお兄様の心が……震える嗚咽をもらして居たの!!!?
そこまで考えて、私に湧いたのは、どうしてなのか、燃えるような怒りだった。
勿論、お兄様に、では無い。
お兄様に降りかかる理不尽に、だ!!
(なんだこの世界は?!!)
今日初めて瞳を見た、声を聞いたお兄様に、どうしてこんなに感情が振り回されてしまうのか、自分でもわからないけど……。
イケメン好きーだから、好きな人を侮辱されて駄々を捏ねているだけなのかもしれない。
オタクの本能が推しを守れと、叫んでいるだけなのかもしれない。
しょうもない、薄っぺらい理由かもしれない!
でも……。
(ーーーうん、それでもいい!)
お兄様にとっては、ただの余計なおせっかいでも、私はお兄様と会いたい。
会って、私がいるぞ!と主張したい!
お兄様と一緒にいられる事を想像してみると、元気とやる気が湧いてくるっ!
怒りを感じた事で、変な火がついたのかも知れない!
(ふっふっふ!)
私はソファから身を起こして立ち上がり、叫んだ!
「神様!私の、『お兄様を愛でつつ、イケメンウォッチングしたい』と言う、オタクの本能を!願いを!叶えてください!!!転生特典とかそんな感じでっ!お願いしまっす!じゃなきゃ、理不尽世界を嫌いになるぞっ!」
神も何も居ないのに転生するなんて、オタクの辞書には無い。
きっとどこかに居るのだ!
魔法もあるしねっ!
そんな風に、久しぶりに熱く燃え滾っていたら、控えめに私室のドアをノックされた。
振り返ると、アニーが目を泳がせながら、「お嬢様、何事でございますか?」と、言いにくそうに訊いてきた。
(あらら、失敗失敗!私ってば美幼女侯爵令嬢なのに、雄叫びを部屋から漏らしちゃったわ!)
「なんでもないわ、アニー。ちょっと気合いを入れていたのよ!」
「き、気合い……でございますか?」
(や、やばい……流石のアニーも、私がちょっと変な子だって気がつき始めてしまうかもっ!……ええい、ままよ!ここは敢えての自信満々作戦だ!)
「えぇ、そうよ!お兄様と、なかよくなろうっていう気合いをねっ!」
美幼女はキリッとドヤ顔まで披露して見せた。
「それは、よろしゅうございますね。ふふふっ」
アニーは美幼女のやる気満々アピールに、ほんわり頬を染めて、微笑んだのだった。
(さっきは、お兄様との事で心配かけたから、これで少しは安心もしてもらえたかなっ)
ーーーはっ!
容姿は武器になるのでは!?
私が、多少・・・いや、結構オカシなことをしようとも、この美幼女の全力を奮えば、いろんな事が有耶無耶に……もしくは良い方向に持っていけるのではないだろうか?!
容姿に起因する理不尽に、容姿で対抗するのは、何か悪いことのような気もするが……今の所、私には容姿しかない。
その上、この世界にとっては強い武器になるはずだ。
ーーーよし、まずは近く誕生日パーティーがあるので、美幼女の実力を試してみようではないか!!!
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