表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/57

【第39話】私、推しと恋愛は別だと思います

体調不良により、遅くなってしまいました。

お待たせいたしました(´;ω;`)



私はベンチに来てから、この最高の状況で固い言葉しか使えない事に、大変な歯痒さを感じていた。

そこで、思い切った行動に出る。

 

「アニー!私達はこれから、例の暗号を交えて話すから、多少おかしな言葉遣いや、よく分からない単語があっても目を瞑ってちょうだい。勿論、暗号なんだから他言無用よ?」

「!!承知いたしました」


アニーは、重要任務でも受けるかのような真剣な顔で頷いた。


アニーほど忠誠心の塊と呼べる人間を、私は他に知らない。

こんなこと言わなくても、他言無用と言うだけで、アニーは絶対にここでの会話を、他へ漏らしたりはしないだろう。

だから暗号云々は、前世の言葉を使う事への、ただの言い訳のようなものだ。


先日ミーナに送った日本語での手紙に、「他の人に読まれても解らないよう、暗号代わりに日本語で書きます」と書いておいたので、暗号(イコール)日本語だと言う事は、ミーナにも伝わる。


ミーナは目を見開いて、やがてなるほど…とばかりに頷いた。


「口調は今までのままで、用語だけでも()()を使うようにすれば、多少不自然でも、私達にとっては話しやすくなると思うわ!」

「そうね…それなら言いたい事が伝えやすくなるかもしれないわね!」


ミーナにも私がやりたい事が伝わったようだ。


「ええ!では、お兄様達が休憩に入るまでは、暗号表現ありで行きましょう!」

「うん!」


こうして、我慢の足りない私の提案で、オタ用語や現代日本語を交える、令嬢口調のオタクが二人誕生した。



「ミーナって、結構リアルにウェイバー卿狙ってる?」

「うん。初対面だけど、わりとマジよ。だって、私ってリアよりも()()()()でしょう?だから、20歳より上で30歳に近い年齢の方が、気持ち的にもねぇ……」


前世で私より5つ年上だったミーナは、今の私達の同年代よりも、転生前の年齢に、より近い男性の方が違和感なく恋愛対象に出来るという事だろう。


「……わかるわ」


実際の恋愛対象と差異のないキャラクターや芸能人しか推さない人は別だが、確かに推しと恋愛対象は別物だ。

自分よりも圧倒的に年下だろうとカッコよく見えたり、好きになったり出来るのは、二次元限定だった。


25歳だった私も、漫画やアニメなどでは、高校生位の年齢のイケメン登場人物に、ときめいたり憧れたりした。

でも、実際の高校生と付き合いたいと思ったことは、一度もない。

実際の高校生なぞ、25歳からすれば、犯罪という壁すら有る“子供”という認識だった。


余談にはなるが、私の場合、二次元での設定だからこそ推せる性格設定もあったくらいだ。

どSとか、ヤンデレとか、リアルに居たら()()レベルのナルシストなどが、それにあたる。

リアルでそんな性格だと、実際の私とは全く合わないだろう。


少々脱線したが、そう言う事なのである。

いくら身体が6歳児でも、精神年齢の主張の方が圧倒的に強い私達は、恋愛対象がそちらに引っ張られるので、“今既に大人”だと言うことは大きい。

精神的な罪悪感がないから。

だだこれには、相手にとっては逆に、私達が“小さな子供”という落とし穴があるけども。


「私達の同年代が大人になるまで待とうと思ったら、10年以上かかるわ……それまで待ってたら、とっくに望まない婚約をさせられて、なんなら結婚してるなんて事もあり得るのよ……」

「そ、そうよね……特にミーナは今のところ後継ぎだから、婚約の打診も早いでしょうね」


多少は駄々のこねやすい私の立場とは違って、後継ぎという立場のミーナには残された時間が短い。

ミーナは私よりも精神的に大人なので、後継ぎに対する責任も重く受け止めているのだろう。

その中で、好きな人と結婚したいという希望を叶えるなら、実年齢の差よりも“すぐにでも恋愛対象に思える”相手が望ましい。


「ライオネル卿は20代前半に見えるから、かなり無理ゲーかもしれないわ。だけど、すっごく好みのタイプなのよ!彼を逃したら、また次いつ好きになれそうな人に出会えるか分からないわ」

「……そうねぇ。だけどミーナが20歳の時、ウェイバー卿は40歳手前よ?そこも大丈夫そうなの?」


そんな事は分かってるだろうが、一応聞くと、キリリと頷いてサムズアップするミーナ。


「イケオジも推せるわ!」


凄くいい顔だった。


「それなら私も応援する!できる事は少ないけど、ミーナが来た時は、絶対に稽古の見学にきましょうね!」

「リアっ……!貴女ってばなんていい人なの?!私頑張るわ!」


ヒッシと抱き合う私達。


「ウェイバー卿は結婚の予定もないって言ってたじゃない?だから、ミーナが婚約や結婚する年になっても、独り身の可能性は大いにあるわ!」

「いくら敬遠される見た目とはいえ、私達みたいな()が居ないとも限らないじゃない?だから、私がガードするわ!押して押して押しまくって、他の()が入る隙なんて与えないわ!」

「ミーナってば積極的ねぇ!」

「勿論守り切った暁には、責任を持って美味しくいただきます」


そう言ったミーナはゲス顔だった。


(ちょ、顔っ!)


「その顔でその表情はヤバイわミーナ」

「あ、あら!オホホホホ!」



そんなやり取りをしていると、お兄様達がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

すると、すかさずアニーは私にタオルを渡し、ミーナにはおしぼりを渡した。


(で、できるっ!流石アニー!)


ウェイバー卿は、相変わらず流すような汗はかいていないが、手を清めるためのおしぼりなら、使ってくれるだろう。

テーブルに置いておけば使うだろうが、ミーナに少しでも接点を持たせる為の心配りだった。


「お兄様、私が拭きますわ」

「う、うん。ありがとう」


(あーイケメンをタオルで包んでヨシヨシ最高っ)


私は、なし崩し的に恒例にした、お兄様の汗を拭うイベントを楽しみながらも、ミーナのやり取りに聞き耳をたてる。


(ミーナ、頑張って!)


「ライオネル卿、お疲れ様でした。こちらをお使いになって下さいませ」

「ミ、ミーナ嬢、ありがとう御座います」


敬称付きではあるが、ミーナと呼ばれて嬉しそうなミーナが可愛い。

だが、その攻めの手は可愛いを通り越していた。


「ライオネル卿は、手も綺麗なのですね。はぁ……バランスよく細長い指に整った爪。男性的な色気もお有りですわ。この、甲に浮き出た血管も素敵……」

「……………」


(セクハラじゃない??!それ大丈夫なやつ??!)


遂にウェイバー卿も、声がでない様子だ。


ウェイバー卿が手を拭くのをうっとり見つめながら、ミーナは褒め言葉を並べているようだが、少々官能的に聞こえてしまうのは、私が汚れた大人だからだろうか?

でも、褒められているだけにしては、ウェイバー卿反応が激しすぎる。


(人間、そこまで真っ赤になれるものなのか……!?)


ウェイバー卿は真っ赤になって俯いて、少し震えていた。

6歳児にセクハラされて震える20代男性という、なんとも言えない構図だ。


「アメリア、ウェイバー卿は大丈夫だろうか……」


やり取りが聞こえて、お兄様も気になったのだろう。


「大丈夫ではないかもしれませんが、ウェイバー卿も不快感を示されてるというより、羞恥に耐えているように見えますので、慣れれば大丈夫かと……」

「僕もいまだにアメリアの賛辞に慣れないのに……大丈夫だといいけど」

「ウェイバー卿も、大人の男性ですので、子供の言う事だと思ってくだされば、なんとかなりますわ!きっと!」


(無理そうだけどっ!)



ミーナの味方な私は、そんな無責任な事を言いつつ、お兄様とテーブルに着くのだった。


読んで頂き、ありがとうございます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )


ブックマーク・☆評価・イイね!して頂けると、大変励みになります( ˘ω˘ )g

書け次第投稿していきますので、不定期更新ですが次回もよろしくお願いします(*´꒳`*)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ