【第38話】私、見守る事にします
お待たせいたしました( ˘ω˘ )
お母様達の許可をとった私達は、再びお兄様の部屋へ戻り、剣術の稽古を見学できることを報告した。
「晩餐までミーナと一緒にいられるなんて嬉しいわ」
「私もよ、リア!本当にありがとう!ユリシス様も、お邪魔して申し訳ありませんが、よろしくお願い致します」
「邪魔なんて思わないよ。今日はゆっくりしていってね」
「ありがとう存じます!」
私達二人が揃えば、邪魔しないつもりが邪魔になってしまうという事も、あるような気がしないでもない。
でも、直接ウェイバー卿を混乱させるような事は“言わない”約束は守るのでセーフという事にした。
ミーナも暴走するタイプのようだが、なんせ中身は30歳の妙齢の女性なので、二人目ともなれば、大丈夫だろう。
それから稽古の時間までは、文字の書き取り練習を3人でして過ごした。
お兄様は私達の覚える速さに驚いてくれていたけど、私は…もしかしたらミーナも、肉体が若いと物覚えが良くなるんだなと、別のことに驚いていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ウキウキと剣術の稽古の見学会の会場である裏庭に来た私達。
ミーナも稽古着を着たお兄様にはうっとりしていた。
当然の反応である。
「それじゃぁ、先に僕が師匠に説明してくるから、ゆっくり歩いておいで」
「はい、お兄様」
そう言って、今回も既に上着をベンチに掛けて待機していたウェイバー卿のところへお兄様は早足で向かう。
少しやり取りをした後、少し不安そうな顔をしたウェイバー卿と、OKが出たよな顔のお兄様が、私達が歩いている方を向いた。
ミーナの様子をチラリと窺うと、目が爛々だった。
(ミーナにウェイバー卿が刺さっている!!)
そんなミーナと二人並んで、ウェイバー卿に見学のご挨拶。
「ウェイバー卿、先日ぶりです。こちらは本日遊びに来ていただいている、友人のフェルミーナ伯爵令嬢ですわ」
「パウエル伯爵家長女、フェルミーナと申します。以後お見知り置きくださいませ」
ニッコニコの私とミーナに、ウェイバー卿は少し緊張した様子で、挨拶を返してくれる。
「アメリア嬢、ようこそお越しくださいました。フェルミーナ嬢には、お初にお目にかかります。私はユリシス様の剣術指導を担当しております、ライオネル・ウェイバーと申します。本日は見学されるとの事。どうぞ、ごゆっくりご覧ください」
そう言って相変わらず美しい騎士の礼をとるウェイバー卿に、ミーナがはわはわ言っている。
(本当にはわはわ言っているのが可愛すぎるんだけどっ)
「は、はわわっ!こ、こちらこそよろしくお願い致しますわ。ラ、ライオネル・ウェイバー卿と仰るのですね……。名前までステキッ……」
(ミーーーナーーーーッ!それ直接言っちゃってるけどいいのかああ?!いや、名前が素敵くらいは普通か?!)
なんだか通常どこまで人を褒める事が普通なのか、その基準が迷子になる。
「……は、えっと……ありがとうございます」
ウェイバー卿は、もう一人現れた美醜観の逆転者ミーナの、嫌悪どころか前のめりな態度にタジタジである。
(でも、ミーナの気持ち分かるんだよねー!クールな見た目のイケメン騎士で、しかも名前がライオネルとか、名前からしてかっこいいんかと!)
私の好みではお兄様が世界一だが、ミーナはウェイバー卿のような感じが、どストライクなのかも知れない。
お兄様と会った時も暴走してはいたが、このうっとり具合は、何かリアルである。
「いえ……あの、失礼ですが、ライオネル卿は、ご長男でいらっしゃいますの?」
(ミーーーナーーーーッ!)
もう何度心の中で叫んだ事か、ミーナの暴走は続く。
既にファーストネームで呼んでしまっている事に、お気づきいただけるだろうか?
そして、どう見てもガチのロックオンなのでは……?
「えっ!と、私はウェイバー伯爵家三男です。長男ではありません……」
案の定ファーストネーム呼びに驚きながら、長男かどうかも素直に答えるウェイバー卿。
その頭上には?が飛び交っている。
「まぁ、そうなのですね?……あの、ご結婚はされていらっしゃるのでしょうか?」
(っわああああ!ガチだ!ガチのやつだ!そろそろまずいのでは?!ミーナ戻ってきて!)
ミーナは自分が6歳児な事を忘れている気がする。
普通にお見合いか、婚活パーティーのような会話を繰り出しているのは、30歳のミーナなのではないだろうか。
取り敢えず、此処だけでもと、割って入る事にした。
「ミミッミーナ、まずはお名前で呼ぶ事の許可だけでもとった方がいいのではないかしらっ?!」
「…っ??!私、……て!!も、申し訳ございません!勝手にファーストネームでお呼びしてしまいましたわっ!」
「い、いえ、大丈夫ですよ、お好きなようにお呼びください。……それから、このような見た目ですし、結婚はしていませんし、その予定も有りませんよ」
なんとも気まずそうな表情で答えているウェイバー卿。
だが私の頭の中では、エンダーーーー!っとカップル成立の定番曲が流れていた。
何故なら、言いにくい事を丁寧に答えてくれたウェイバー卿を、ミーナが感極まった目で見つめていたからだ。
(良かったね、ミーナ……)
なぜか私も心の中で祝福してしまった。
「わ、私のことも、どうぞお気軽にミーナとお呼びくださいませっ」
ミーナは積極的である。
今回は暴走は暴走でも、会話が成り立っているし大惨事にはなっていないので、見守って大丈夫そうだ。
「わかりました。では、ミーナ嬢とお呼びさせていただきますね」
そう言ってふわりと微笑むイケメン騎士の優しさに、思わず私も心の中で拍手喝采する。
「はいっ!ライオネル卿っ」
年齢さえ釣り合っていれば、ウェイバー卿も普通に結婚を考えてくれそうだが、この年齢差で、彼がどう思っているかは分からない。
可愛い小さな初恋のように見えているのか、ただ聞かれた事に、紳士として答えてくれているのか。
(むーん、せめて前者だといいなー!ミーナが望むなら、歳の差恋愛も応援したい)
ここで、驚きで固まった後オロオロと成り行きを見守っていたお兄様が、口を開いた。
「それではそろそろ稽古を始めましょうか。アメリア、フェルミーナ嬢も、ひとまずベンチで見学という事でいいかな?」
「はい。ベンチで見学致しますね」
「失礼いたしました。お邪魔してしまいましたわ……」
「そんな事ないよ、後で休憩の時にでもまたゆっくりがいいかなと思ってね」
そう言って、ちょっとだけミーナに意味深な目線を送るお兄様。
流石にバレない訳もなく、休憩でお話しする機会をと考えてくれているようだった。
「はい……」
お兄様の意図に気がついて、頬を染めるミーナが可愛い。
(これは、運命の出会いかも分からんね!)
まだ出会ったばかりでどうなっていくのか分からないが、もしミーナが恋をしても、伯爵家三男ならば年齢差以外は問題なく思える。
ウェイバー卿をパウエル伯爵家の婿に迎える事も、夢ではないかもしれない。
そして、ベンチに座った私達は、二人でキャーキャー言いながら、見学するのだった。
流石に私で耐性を得たのか、ウェイバー卿は絶対的強者としてお兄様の指導に当たっていた。
そんなウェイバー卿に、ミーナは目が釘付けで、この鑑賞会は最高の盛り上がりを見せた。
勝手に盛り上がったともいうが。
読んで頂き、ありがとうございます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
ブックマーク・☆評価・イイね!して頂けると、大変励みになります( ˘ω˘ )g
書け次第投稿していきますので、不定期更新ですが次回もよろしくお願いします(*´꒳`*)




