【第37話】私、原動力はイケメンですので
お待たせしました( ˘ω˘ )
脱字報告有難うございます!
脱字、申し訳ありません。
「本当に二人は色々共通点があって、気が合いそうだね」
お兄様はそう言って微笑ましそうに笑ってくれたので、セーフという事にする。
私とミーナの、“大人のような”と言われる、実際中身が大人な事実を誤魔化せたかは分からないが、お兄様が転生にたどり着くことは流石に無いので、うやむやには出来た。
「そう言えばアメリアは最近文字を習い始めたんだけど、もしかして、フェルミーナ嬢も色々と勉強しているのかな?」
「まぁ!そうなのですね?!」
「えぇ、と言ってもまだ家庭教師をお願いしただけで、今はお兄様から習っているの」
「な、なんて羨ましいのでしょう!」
お兄様には、“ただ文字を習い始めた事”や“兄弟に習える事”が羨ましいという意味に聞こえただろうが、私にはミーナの発言は、正しく“イケメンに手取り足取り教えてもらえる状況”が羨ましいという意味に聞こえた。
(ミーナの気持ちは手に取るようにわかるぞっ!)
「フェルミーナ嬢も文字の勉強に興味があるんだね。本当に君たちは、こんなに小さいのに勉強熱心で偉いね」
本当のところ特に私は、“イケメンへの情熱”しかないのだが、知らなければ勉強熱心に見えるらしい。
義務教育を終え、社会人をしていた私たちに、恐らく純粋な学びに対する意欲はほぼないのでは無いだろうか。
ミーナはもしかしたら、純粋な学習欲が有るかもしれないが、今に限ってはイケメンに教えてもらえることを羨んでいる様子だ。
「でもお兄様も既に領政のお勉強もしているし、剣術まで習ってらっしゃるでは有りませんか」
「け、剣術ですか?!」
(ふっふっふ!やはりそこに食いついたかね、ミーナ!)
「あぁ、アメリアが継ぎたいと言えばアメリアに任せるのだけれど、今のところは僕が後継者だから、簡単なことからね。剣術は学園でも科目にあるし、一つくらい取り柄が欲しいからね」
「既に才能の塊のようですのに、凄いのですね!はぁ……剣術のお稽古、見てみたいですわ……」
(絶対今の、顔が才能の塊って言ったわ!)
お兄様は私が希望すれば任せると言っていたが、私にそのつもりはない。
侯爵家当主って絶対に面倒臭いし、イケメンが関係していないことには、注げる情熱が少ない。
私の原動力がイケメンであると言うことは、紛れもない事実である。
貴族家に生まれたからには、義務を受け止めろと怒られるかもしれないが、適任者がいるならぜひお任せしたい。
何よりも、イケメン侯爵家当主を推したい所存。
(はっ!お兄様が当主の頃、私はどうしたら?!イケメン貴族の嫁ぎ先を見つけないと、私もミーナと同じく大変な事になるのでは……)
まだまだ先ではあるが、今更大変な事に気がついた。
そう、私も腐っても貴族令嬢なので、恋愛結婚したいと思っていても、いつまでもモタモタしていたら、望まぬ結婚でも流石に呑まざるを得ない。
当主になりたく無いというのとは訳が違うだろう。
「ふふふっ、本当にアメリアと同じ事を言うんだね。時間が許すなら、見ていっても良いのだけれど、剣術の時間には帰る時間なんじゃないかな」
それを聞いて、見てもいいのに帰らなければならない事実に、絶望の表情を浮かべて打ちひしがれるミーナ。
「そ、そうですわよね……」
(ああああ!ミーナが萎れていく!そりゃそうだよね?!目の前にイケメンぶら下げられたのに、お預けだなんて、私なら耐えられないっ!)
「ミ、ミーナ!急ではあるけど、晩餐にご招待したら、パウエル夫人は受けて下さらないかしら?!」
この提案に、ミーナの瞳に希望の光が灯る。
「急な事で、ハワード夫人に申し訳ないわ……だけど、もしお誘いいただけたら、お断りはしないのではないかしら」
「そんな顔したミーナをほって置けるわけないわっ!こちらこそ急なお誘いで、パウエル夫人を困らせてしまうかも知れないけど、お母様にお願いしてみるわ!」
「リア……っ!」
ミーナは目をキラキラさせて、私の手を握った。
そんなミーナに私も力強く頷く。
善は急げである、一度お母様のところにお願いしに行こうと席を立つ。
「お兄様、一旦私たちは席を外しますわ!晩餐の許可が取れたら、剣術の訓練を見せてくださいませっ」
私達の勢いに目を点にしていたお兄様に、そう宣言すると、ハッと我に返って「あまり夫人に無理を言ってはいけないよ」と言いつつも、剣術訓練の見学の事は約束してくれた。
(生き甲斐のためならば、幼女の我儘を利用することも辞さないっ!)
わりと最低な発言を心の中でしながら、ミーナを連れて、お兄様の部屋を出た。
「リア、ありがとう……無理してない?つい、見てみたいなんて言って、迷惑かけちゃってるよね」
「全然よっ!その気持ちすっごくわかるし、何より……ミーナ、剣術の稽古を見せたい理由はもう一つあるの!いい?心して聞いてちょうだい……」
「な、なにかしら?」
そこでミーナの耳に私は口を寄せて囁く。
悪魔の囁きを。
「お兄様の師匠は、イケメン騎士団長ですっ!」
ビダリッと硬直してから、顔の穴という穴を全開にして私を見つめるミーナ。
(流石リアクション大魔王……しゅごい)
「リア……ありがとう。感謝しても仕切れないわ……」
「いいのよ。私たち、心友でしょ」
流石イケメン好きの心の友ミーナ、晩餐招待に対してとは思えない感謝っぷりである。
瞳をウルウルさせて感動してくれていた。
そして私達は、希望という名の欲望を胸に廊下を進み、お母様達の居るテラスへと向かった。
お母様にお願いしてみたところ、パウエル夫人が困らないなら招待したいと同意してくれて、爵位的にも断り辛かったのかも知れないが、パウエル夫人も快く突然の招待を了承してくれた。
(パウエル夫人、申し訳ないっ!我らには、なすべき事があるのですっ!!)
こうして、イケメン好きによる、イケメン好きの為のお兄様お披露目会は、更なる展望を迎え、ダブルでイケメンを鑑賞する会に移行していくのであった。
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