【第35話】私とミーナの新事実
先程も書きましたが、もう一度お知らせです。
第30話の小話抜けがあり、改稿致しました。
物語の流れには影響有りませんが、未定のちょっとしたネタには関係して来るかもしれません。
もう一つ、27話のsideアニーの冒頭の自己紹介を、正式名に改めました。
後から後からミスが見つかり、大変申し訳ございません。
今後出来るだけ改稿のような修正をしなくて済むよう頑張ります。
遂に、ミーナがハワード家に再びやって来る日が来た。
ミーナがお兄様に会える日でもある。
お兄様には、“誕生日パーティーで話した私と同じ美醜観の友達と会いに行きたい”と話し、事前に許可を取っている。
(フフフ!抜かりはないぞ!ミーナ!)
無事ミーナは、日本語の手紙を受け取って読んでくれたようで、“リアのお兄様に会いたいし、全然大丈夫やで!” と返事を貰っている。
直接もう一度謝るつもりだが、手紙の段階でも許してもらえてホッとした。
今日の会場は、庭園に面したガーデンテラスだ。
6月に入っているが、よく晴れてくれていて、少しだけ湿度を感じるが、過ごしやすい程度だ。
私とお母様は、既にパウエル家の馬車が侯爵家の門をくぐったという知らせを受けて、玄関ホールで到着するのを待機しているところだ。
(うおおお!早くミーナと、お兄様のイケメン具合で盛り上がりたい!!)
ソワソワと玄関の先のロータリーを見ていると、馬車が着いて、ミーナ達が降りてきた。
「ようこそパウエル伯爵夫人、フェルミーナ嬢。本日は足を運んで頂きありがとう存じます。フェルミーナ嬢にはアメリアとお友達になって頂いたようで、感謝申し上げますわ」
「とんでもない事でございます。ハワード侯爵夫人。こちらこそ、お招き頂きありがとう存じます。アメリア嬢にはフェルミーナがよくして頂きまして、お礼申し上げます」
うふふとおほほの保護者の挨拶が終わったところで、おチビな我ら“転生ガールズ”もご挨拶。
適当な命名には自信があるのだが、大体がダサい。
「パウエル伯爵夫人、フェルミーナ様、本日はお越しいただきありがとう存じます。フェルミーナ様、お友達として遊びにきていただけて、嬉しいですわ!」
「こちらこそ、お招き頂きありがとう存じます。ハワード侯爵夫人、アメリア様、本日はよろしくお願いいたします」
「今日はよく晴れましたので、テラスに席をご用意いたしましたの。庭園へもそのまま出られますので、楽しんでいただけると嬉しいですわ」
お母様の誘導で4人揃ってガーデンテラスへ移動だ。
自称転生ガールズ1号の私は、生涯の心の友ミーナと、早く二人きりになりたいが、そうも行かないのが貴族同士のお付き合いである。
今後気軽に行き来出来るようになればいいが、今日は初回なので、まずは4人でお茶だ。
穏やかにお茶をしているお母様とパウエル伯爵夫人をよそに、私とミーナは二人とも笑顔の下で、“早く二人で話したいね”と目配せし合って居た。
以心伝心とはこの事だと思う。
(さて、そろそろ動こうではないか!)
「お母様、伯爵夫人、そろそろフェルミーナ様を庭園へご案内してもよろしいですか?自室へも遊びに来ていただきたいですし!」
「そうね、二人で遊んでいらっしゃい。夫人もよろしいかしら?」
「勿論ですわ。アメリア様、フェルミーナをお願いいたしますわ」
「はい!では行ってまいります!行きましょう!ミーナ!」
「はい!リアっ」
思わず勢いづいて愛称で呼んでしまったが、ミーナも乗ってくれたし、「あらあら仲がいいのね」と両婦人も好感触だったので、結果オーライである。
少し歩いて、お兄様と出会ったガゼボへ向かう。
勿論、少し離れてアニーが付いてきているので、完全な二人きりでは無いが、小さな声なら届かないだろう。
「ミーナ、まずは勝手にお兄様に話した事、ごめんなさい」
「なんや、まだ気にしとったん?!手紙にも書いとったやん?全然かまへんって!寧ろ、言うてもらわな始まらへんやん?ウチもリアのお兄様に会いたいねん!せやからほんま、気にせんとってぇ!」
ミーナは器用に小声で勢いづいている。
久しぶりに会えた関西弁のミーナは、相変わらずミスマッチ感がくっそかわいかった。
「うん、ありがとう!……それでね、お兄様だけど、なんと……今日……………会えますっ!!」
「マジかあああああっ!!!?」
感動の対面を演出するかのように、無駄に溜めた言い方をしたら、ミーナも乗ってくれた。
そんな二人のノリが災いし、「マジか」が割と大きな声だった。
(ミーナもリアクション大魔王だな!好きっ!)
「……やってもた」
「……ね」
二人してアニーを振り返ってみたが、アニーは「気にしてません」な微笑みの後、スッと小さく礼をしてくれた。
「あんたの侍女さんめっちゃええ人やな」
「せやろ!」
「うん。って、やめぇや!っはははっ」
「ついねっ!へへへっ」
私は文章で“草を生やす”タイプのオタクなので、ネットスラングを使うようなノリも普通に嗜んでいる。
草を生やすというのは、wwwみたいな感じだ。
転生前も、同級生などには隠して居たが、SNSではネットスラングを常用していた。
そんなんなので、エセ関西弁も出てしまう時がある。
今後ミーナと二人きりで話すときに、素が出てネットスラングが出ちゃって通じないなんてこともあり得そうだ。
(まぁ、アニメ好きって言ってたから、ワンチャン通じそうだけどね)
ガゼボでは、前世の言葉遣いで最近会った事などをお互いに話した。
ミーナの方の話は、パウエル家は子供がミーナだけしかおらず、このまま弟が出来ないと、ミーナがお婿さんを迎えて、伯爵家を継ぐ事になってしまうという話だった。
ミーナはまだ美醜観を両親に話して居ないらしく、持ち込まれる縁談に不安しかないとの事だった。
どう見ても由々しき事態なので、協力できる事はしようと誓った。
イケメン貴族を見つけても、取り合いにならないようにしたいものである。
(イケメン貴族といえば、ウェイバー卿のご実家の爵位はなんだったんだろ?……まぁ流石に歳が離れ過ぎてて、伯爵家と釣り合ってもダメかぁ)
私の方は、二人きりの誕生日パーティーについて話し、二人でキャーキャー言って盛り上がった。
その流れで、私のアトリエへ行こうと言う事になり、ミーナを私室横のアトリエに案内する。
「……………」
「ど、どうしたの?ミーナ?」
アトリエに入って、お兄様のイラストを見た途端、ミーナが無言で固まっていた。
「どうしたもこうしたもないで……リア、あんた茉莉花先生なんちゃうん??」
「え?!!」
「花宮 茉莉花先生なんちゃうんかって!?この絵、どう見ても茉莉花先生やろ?!」
「うっそ……ミーナ、私の漫画読んだことあるの?!」
(ええええっ!凄くない?!読者さん?!)
まさか、前世の漫画家としての名前を、この世界で耳にすることがあるとは思わなかった。
「読んだこと有るどころか、めっちゃファンやったっちゅーねん!この前、買い物帰りに事故った言うてたやん?それもな、あんたの漫画買うた帰り道やってんって!」
「……マジか。あー…確かに!5月20日は新巻発売日だったわ……」
ここに来て物凄い新事実が発覚した。
ミーナは前世で、漫画家:花宮 茉莉花の漫画の読者の中でも、発売日に買ってくれるようなコアなファンだったのだ。
(こんな事ありゅ?!)
「うわぁ!先生、何死んでくれてんねん?!困るわーっ!続きどうしてくれるん?!」
「いや、ミーナだって死んでるんだから、私が生きててもミーナは続き読めないでしょうがよ……」
「……!!ほんまや!!」
「っはっはははっ!」
なんだか、凄くあったかい気持ちになる。
死なないで続きを描いて欲しかったという、読者さんの声が直接聞けるだなんて、私はなんて運がいいんだろう。
ミーナは前世からも、ある意味心の友だったのだ。
読者さんと繋がっていると言うことが、私の支えだったのだから。
「はははっ!ほんまや、わろてまうなぁ!まだこっちで一緒に居ってもらった方が、読める機会も有るかもしれへんよなぁっ」
「いや、画材的に同じようには描けないんだけどね」
「うーわー!せやんなぁー!パソコンもなければ、アナログでもシンドイよなぁ!まぁ……私だけ読むんも、ちょっとズルイかぁ。しゃーないなぁ」
ちょっとミーナがしょんぼりして来たので、話題を変えるか、とお兄様の話を振る。
「ねぇ、ミーナ!それより、絵のモデルのお兄様に会いたくなぁい?!」
「え……!ほんま?!ほんまに会えるんっ!?」
「そらそうよ!ちゃんと許可を取ってありまあっす!」
えっへん!と胸を張る私に、ミーナはキラキラした目を向けて、「流石リアっ!」といって、ガッツポーズで喜んだ。
ついに、イケメン好きによる、イケメン好きの為の、お兄様のお披露目である。
(絶対最初無言になるね!一拍遅れてリアクションするに一票!!)
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