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【第33話】私と、二人のイケメン

感想ありがとう御座います!

凄くうれしいです!!

33話お待たせしました( ˘ω˘ )



「お嬢様、こちらを」

「アニー……貴方って最高だわ!」


 

アニーが私の心を読んだかのように、タオルを差し出してきた。


(ふ、拭いてあげたいけど、流石に変態な気がするから渡すだけにするけどっ)


「お兄様、お疲れ様です!休憩ですか?アイスティーがありますので、水分をとってくださいませ。ウェイバー卿もいかがですか?」

「ありがとうアメリア。いただくよ」

「アメリア嬢有難う御座います。頂きます」

「ウェイバー卿はこちらへどうぞ」


そしてアニーがウェイバー卿を案内しお茶を注いでいる間に、ドッキドキでタオルを持っていく。


「お兄様、こちらをお使いください。お身体が冷えてしまいますわ」

「ありがとう。ん、手が砂だらけだ。アメリア、少しだけ拭いてくれるかい?」

「はひゅいっ!」


(神はいたっ!……やっぱり神は居るンだわ!)


目を閉じて顔が低くなるように屈んでくれたお兄様の前に立ったが、若干膝が笑っているのはご愛嬌ということで。

両手にかかるようにタオルを開いて、頬を挟むようにして、揉み上げから耳の裏や首の裏の、汗が流れ落ちて来ているところを拭く。

子供の頭を拭いてあげる体制に近いけど、頭を抱きしめているような感じになるので、ニマニマする。


(ウフフフッウフウフウフッ!イケメンをヨシヨシしてしまった!……ゴシゴシとも言うけどねっ!うひゅひゅ!)


それから、タオルの使っていない真ん中を片手に被せて、額の生え際を拭う。


(これでかなりサッパリしたのでは?!)


「どうですか?多少はサッパリしましたか?……はわぁ?」


閉じていた目をゆっくり開けるのを至近距離で見てしまい、神秘的と言ってもいいようなアイスブルーの瞳に声を漏らした。


(こっちが逆に目を閉じたくなったわ!)


いつもの如く脳内が変態である。


「うん、アメリアは拭くのが上手だね。ありがとう。タオル、肩にかけてくれる?ちょっと手を濯いでくるよ」


肩にタオルを掛けてから気づく。


「……あっ!アニーに言えば、手を濯ぐ程度の水はこちらに持ってきているかと思いますわ」

「そうなの?助かるよ」


振り返ると、水差しを抱えたアニーが居た。

この侍女はどこまで優秀なのだろうか……

いっそ自分には勿体無いレベルの先回りの出来るアニーに、心の中で全力でサムズアップをした。


ウェイバー卿はと言うと、既にアイスティーを手にして腰掛けていたが、きょとんとした顔でこちらを見たまま、動きを止めていた。

どうしたのだろうかと、ウェイバー卿の様子を見に行く。


「あの、ウェイバー卿?ご気分でも悪いのですか?……ウェイバー卿?」


近寄って行っても、ぼんやりと私を目で追うだけなので、どうしてしまったのかと、もう一度呼びかけながら深緑色の瞳を覗き込むと、ハッとしからババッと立ち上がった。


「わっ!」


丁度至近距離になったところで、ウェイバー卿が立ち上がったので、驚いて小さく飛び跳ねてしまった。


(めっちゃびっくりした!どしたん?!)


「あっ!申し訳ありません!大丈夫でしたか?!」

「は、はい!少し驚いただけですわ。あの、それより……ぼうっとなさって、ご気分が優れないのではありませんか?」

「あぁ、いえ……あまりにも仲がよろしいので、少々眩しく感じてぼんやりしてしまっただけですので」

「まぁ……」


(ンッフッフ!そうでしょう、そうでしょう!美男美女が仲睦まじ……あれ?それは私だけに見える世界か……)


「アメリア、ありがとう。手を流して貰えたよ」


土が水でぬかるまないよう、芝の生えた場所まで行っていたお兄様とアニーが戻って来た。


「いいえ。お役に立てたなら良かったです。アニーご苦労様」

「恐れ入ります。ユリシス様、どうぞ」


お兄様の分のアイスティーをサーブしてぺこりと礼をして下がるアニー。


「ウェイバー卿、アメリアが何かしてしまいましたか?」


(信用なさ過ぎでは?!我ながら何も言えないけども!)


何かあったなら、やらかしたのは私だろうという残念な方の信頼を勝ち取ってしまったようだが、今回は濡れ衣である。

 

(今回は、だけどね!)


「いえ。アメリア嬢は私がぼんやりしていたのを心配して下さったのですが、突然立ち上がった事で驚かせてしまったのです。申し訳ありませんでした」


お兄様から”そうなの?“と問う視線をもらったので、小さく頷いてから、ウェイバー卿に向き直る。


「いえ、先ほど謝罪頂きましたし、私が不用意に覗き込んで驚かせてしまったのです。こちらこそ驚かせてしまって、ごめんなさい」

「成程。ウェイバー卿は体調に問題は無いのですか?」

「ええ、それは問題ありません」

「それならよかったです。さぁ、アメリアもおいで」


私とお兄様も並んでベンチに腰掛けて、アイスティーを飲む。


「お兄様、先ほどウェイバー卿が、私達兄妹は仲が良いと仰ってくださいましたのよ!ふふふっ嬉しいです」


さっきのイチャこら汗拭きを思い出してニマニマしながら言うと、お兄様は「そう」といって満足げに笑いながら、人差し指の背で、にやけて持ち上がった私の頬をスルリと撫でた。


(ふぁああっ!それ、憧れてたやつ!貴公子の撫で方!)


どんどん夢が叶っていく事を、神に感謝したい。


(神様、お兄様、感謝しますっ!)


「本当に……こんなに仲の良い兄弟は、そうそう居ませんよ」

「ありがとうございます。アメリアが懐っこいので成り立つのです。妹には感謝しかありません」

「そんな……お兄様には面倒を見てもらってばかりですのに」


照れて下を向くと、ウェイバー卿がボソリと溢すのが聞こえた。


「先ほど伺ったのですが、本当にアメリア嬢は()()のですね……」


“違う”とは美醜の感覚の事だろう。

 

(それで気になってボケーッと見ていたってことか)


「あら、お聞きになられたのですね。この先多少は苦労しそうですが、私にとっては幸せな事ですわ!お兄様は私にとって、世界一の美貌なのです!」

「……はぁ。世界一とは、ユリシス様は幸せ者ですね」


感嘆の声をあげるウェイバー卿にお兄様は恥ずかしくなったようだ。


「アメリア、やめようね?流石に恥ずかしいからね?」

「むぅ……。あ!でも、ウェイバー卿も、暫定世界第二位ですよ!大人の魅力ですっ!」

「…………」


瞠目したまま声も出せずにいるウェイバー卿も、またイケメンだなぁと見ていると、突き刺さるようなお兄様からの視線を感じて、お兄様の方を向く。


「アメリア、本当に心配になるよ……」


仕方なさそうに眉を垂らして苦笑いするお兄様に、イケメンを愛でるのは脳内に止めねばならぬようだと、残念に思いながらも、それもそうかと納得する。


「はい。不躾なことを言わないように気をつけます」

「うん。そうして欲しいかな」


ウェイバー卿に視線を戻すと、ビックリするほど真っ赤になって、アイスティーのグラスを両手で握り込んでいた。


(ちょ、大人のイケメンの羞恥に震える顔とか、ご馳走様過ぎるっ!)


物凄い勢いでガン見していたら、突然視界が暗くなって、目の当たりに柔らかな熱を感じた。


(ふぁっ?!)


「……?!」

「アメリア、そんな顔をして見るんじゃありません」


「見ちゃいけません」と子供に言う主婦のようなテンションで言うお兄様にちょっと吹き出しそうになったのをグッと堪える。


どうやら私の視界は、お兄様の片手で覆われて塞がれていたらしい。

口には出していないはずだが、見るのだけでもダメ出しをもらってしまった。


(解せぬ)


「そんな顔ってどんな顔ですか?」

「……言いたく無い」

 

(なんそれ、かわいい……んーっ!許すっ!!)

 

「そうですか?わかりました」

「うん……」


ちょっと()()な表情のお兄様もキュンキュンくるので、ガン見しておいた。


「……コホンッ、ウェイバー卿そろそろ続きをお願いします」

「っ!あぁ、そうですね!」


お兄様を見る分にはお咎めが無かったので、今後もお兄様のウォッチングについては遠慮は要らないな!と、私は大きく頷いた。


こうして再び二人は稽古を再開したが、ウェイバー卿の先程までの圧倒的強者感はどこへ行ってしまったのか、たまに剣を取り落としたりしていて、居た堪れない空気になっていた……。


(も、申し訳ない……)


多分犯人は、ここに居る暴走美幼女な気がするので、心の中で再度謝っておいた。


練習後にお兄様と帰る廊下で、もう稽古を見に来てはいけないと言われたが、大人しくしているからと、断固拒否した。

イケメンウォッチングは私にとって、生き甲斐と言ってもいいので、必死に抵抗を試みた。

 

(オタクには負けられない戦いが有るのだっ!)




見事勝利をおさめ、大・小ダブルで観られるれる、貴重なイケメンウォッチングの機会を、無事死守出来たのだった。


読んで頂き、ありがとうございます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )


ブックマーク・評価⭐︎・イイね!して頂けると、大変励みになります( ˘ω˘ )g

書け次第投稿していきますので、不定期更新ですが次回もよろしくお願いします(*´꒳`*)


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