【第32話】私、イケメン鑑賞が生き甲斐ですので
ファンタジーといえば騎士な32話。
よろしくお願いします( ˘ω˘ )
お兄様と一緒に、裏庭の一角へ踏み入る。
少し離れてアニーも付いてきている。
(裏庭にこんな所があったのか)
ただ、裏庭の新たな発見より、声を大にして言いたいのが、お兄様の服装が最高だという事だ。
伸縮性のある、黒のハイネックの半袖に、黒の細身のパンツ姿である。
前世のスポーツウェアに近い感じのトップスが最高に似合って居るし、黒一色なのが、私の中二心を刺激する。
締まった腰に巻かれたベルトが色っぽい。
いくら貴族とはいえ、稽古でまで優雅な衣装は着ないようで、ジャケットは腕にかけているだけで、一応持ってきて居るという感じである。
(まだ10歳になるというところなのに、色気が出せるとはこれ如何に?!)
私はショタコンではないはずだが、お兄様の大人びた雰囲気と、年齢の割には高めの身長が、前世の小学生とは違って見せる。
人間、辛い目にあった分だけ、大人になるのが早いのかもしれない。
(是非ジャケットを預かる大役を任せて欲しい!)
稽古仕様のお兄様を堪能したところで、次の願望が湧き上がる。
師匠にご挨拶した後に、ジャケット預かり係に立候補してみようと決めた。
裏庭をキョロキョロと見回す。
既に師匠は来て居る時間らしいので、イケメン騎士に是非ご挨拶したいのだ。
「アメリア、あちらが剣術の師匠で現役騎士のライオネル・ウェイバー卿だよ」
お兄様に示された方を見ると、裏庭の隅のベンチに上着を掛けている男性が見えた。
(おぉおぉっ!遠目からでもわかるっ!イケメンの気配!)
「ウェイバー卿と仰るんですね。ご挨拶と、見学のお願いをしに行っても良いでしょうか?」
「あぁ、そうしようか」
近づくにつれ、ウェイバー卿の造形が見えてくる。
薄めのブラウンのサラサラストレートヘアに、透き通った深緑色の瞳。
ブラウンの髪は肩甲骨付近まで伸ばしてあって、後ろでスッキリと一つにまとめられている。
均整の取れた身体には、お兄様と同じような伸縮性の黒の半袖を着て居る。
ピッタリと身体に沿った服を着ているので、その筋肉質な上半身を際立たせていて、セクシーだ。
黒の細身のパンツを、彼の場合はブーツインしていて、猛者感が出ているのも得点が高い。
(かっこよ過ぎへんか?!)
「はわー……」
(やっば!声出ちゃった!)
「アメリア……」
「ひゃいっ!ごめんなさい!つい……」
(あぁん、そんなジト目もできるのね!)
イケメン好きなのだ、このレベルの大人のイケメンを初めて見たので許して欲しい。
本当に凄いイケメンなのだ。
お兄様が天使なら、この人はクールなナイト様である。
20代前半くらいなので、前世の私と同年代か少し下だろう。
子供のイケメンにキャーキャーするのは、実年齢では良いとしても、どこかで罪悪感がちょこーーーっとだけあるのだ。
いつも手放しなようでいて、どこかでコラコラと思う自分が居なくも無いのだ。
罪悪感なく、遠い存在として心置きなく憧れられるイケメンの登場に、私の心はスタンディングオベーションした。
「おや?妹さんですか?……連れてきて大丈夫なのですか?……その、私の造形とか……」
「はい。義妹のアメリアです。今日は見学をしたいそうです」
「お初にお目にかかります。ハワード家長女、アメリアと申します。今日は見学をお願いしたく参りました」
そう言ってカーテシーをすると、ウェイバー卿は胸に手を当て、騎士の礼をとった。
「お初にお目に掛かります。ユリシス様の剣術の指導をさせて頂いております、ライオネル・ウェイバーと申します。勿論見て頂いて構いませんよ。あちらのベンチからご覧になって下さい」
(かっこええええ!騎士の礼見ちゃった!本物だ!)
まるでアニメのヒーローにでも会っている気分になる。
頬に熱が集まるのがわかるし、ウェイバー卿から目が離せない。
「……あの?……ユリシス様、やはり幼いアメリア嬢には、私のような見た目の、初対面の男は刺激が強すぎるのではないでしょうか?兄である貴方とは違うのでは……」
「言っている事は間違っていないのですが、意味が全く違うのです……。アメリア、しっかりして!ダメだって言ったよね?」
(はっ……!)
「も、申し訳ございません。ウェイバー卿、じっと見てしまってごめんなさい。つい見惚れてしまって……」
「……は?」
「アメリア……それは言わなくてもいいからね?」
どうやらまた余計なことを言ったようだが、許可は出たので見学出来そうだ。
「見学の許可、ありがとう存じます。お兄様、上着をお預かりいたします」
期待の眼差しでお兄様を見上げると、私が“それがやりたかったんだ”という事がバレていたのか、小さく笑いながら預けてくれた。
「うん、ありがとう。危ないから近付かずにベンチから見ているんだよ?」
「はいっ!それではウェイバー卿、ベンチから観させて頂きますね」
「……はぁ。ごゆっくりご覧下さい」
ベンチへ行くと、既に小さなテーブルにティーセットが準備してあった。
(アニー優秀過ぎない?さっきまで後ろにいたのに、テーブルまで持ち込んでるじゃん)
「ありがとうアニー。あ、後でアイスティーも用意してちょうだい」
「かしこまりました」
既に日は傾いていて、オレンジ色になる少し手間である。
だが、もう6月の手前なので動けば暑いだろう。
「お兄様が休憩されるようなら、お出しして差し上げてね」
「承知いたしました」
そんなやり取りをした後二人を見ると、何やら話し込んでいた。
(まだ始まらないのかな?……それにしても眼福である。ヤバない?大きいイケメンと小さいイケメンが向き合っているっ!これで手合わせとか始まったら声出そう!)
はぁはぁしながら見惚れていると、ふと二人ともがこちらを見たので、ニッコリして手を振っておく。
するとユリシスお兄様が両手で顔を覆ったので、何かがダメだったようだ。
ウェイバー卿はポカンとしてから、ぺこりと小さく頭を下げてきた。
(なんか知らんけど、かわいい!)
「アニー、今のは何かしら?お兄様はどうしたの?」
「おそらく、お嬢様がお手を振られたので、困ってしまわれたのかと……」
「困る?」
「お嬢様が少し特殊な感性の持ち主であることを、実感されたのではないでしょうか?」
「え?今?!」
「ウェイバー卿にも見惚れるのだとお分かりになったのは、今で御座いますから」
「なるほど……」
つまり、他のイケメンにもデレデレしてしまうのを知って、ガックシきてしまった……みたいなリアクションだったようだ。
(なんか、ごめん……お兄様も好きだけど、イケメン鑑賞も好きなの!だけど、世界最強のイケメンはお兄様だから!!そこは絶対だから!)
イケメン全てが鑑賞対象なオタクなのだ。
観るだけなので許して欲しい。
流石に肉体年齢10歳以上も上の人に、結婚を申し込んだりしないので。
お兄様とウェイバー卿の打ち合いが始まった。
「ひゃあぁーーっ!なんてかっこいいの?!」
剣の反射が閃くのが、イケメンを照らす。
キンッと響く甲高い音の緊張感に、胸が高鳴る。
「わぁ……!アニー、お兄様は本当に子供なのかしら?!背も高いから、子供の剣術には見えないわ」
「そうでございますね。同年代と比べると、段違いかと」
「そうよね?!ウェイバー卿もなんて素敵なのかしら?!お兄様だって弱くは無いように見えるのに、凄く余裕があるみたいじゃない?!」
「ウェイバー卿は、王国騎士団の第三騎士団団長でございますから。実際に余裕がお有りだと存じます」
(でっ、出たああああっ!騎 士 団 長 !!)
なんと、ファンタジー世界定番の騎士団長だった!
「だ……団長をされているの?!……凄い方に師事しているのね、お兄様は」
「はい。本来強さでいえば、ウェイバー卿が王国一番でしょう。残念ながら、見た目から第三騎士団に配属されているのでは無いかと」
(結局それか……)
「それで何が守れるというのでしょうね?私には理解できないわ」
「おっしゃる通りで御座います」
基本的にウェイバー卿は受けに徹しているが、「脇が甘い!」と言わんばかりに、たまに攻撃を入れる。
実際に言っているわけでは無いが。
まぁそんな風に見えるだけで、剣術のことはよく分かっていないので、アニメの聞き齧りの適当な感想を持つ。
暫くそんな打ち合いをして、お兄様の息が上がりきった所で、一旦休憩するようだ。
顎に伝う汗を、腕で拭いながらこちらに歩いてくるお兄様は最高だった。
少し後ろを歩いてくるウェイバー卿は、全く汗もかいていないし、息も上がっていない。
(お兄様はお兄様で、普段の優雅さからのギャップがたまらんし、ウェイバー卿は上級者感がかっこいいな……)
ハンカチでトントンではなく、煩わしそうに腕で拭っているのが、逆に好感度が高いのは、私だけの感覚ではないはずだ。
(わ、私が拭きたいっ)
結局そういう事である。
さて、おそらく小休止と思われるので、お迎えせねば。
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