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【第30話】私のお願いと、お母様の答え

お待たせ致しました( ˘ω˘ )



「アメリア?アメリア……なんて顔をしてるの、この子ったら……アメリア!戻ってきなさいっ」


お母様が私の肩を揺さぶって現実に引き戻した。


「ご、ごめんなさい。お母様!ついっ……」

「気持ちは分からないでもないけど、貴女ったら本当に朝からずっとこの調子なんだから……ぼうっとしていたら危ないわ?」


今は午後のティータイムの礼儀作法を習う時間である。

お母様が言った通り、私は朝からふやけた顔で上の空。

お父様の圧迫ハグにもされるがままだったほど、昨日のお兄様を思い出して呆けてしまう。


朝起きて受け取った、お兄様からの渡しそびれていたという招待状の返事も、私のボケ具合を助長した。

とても綺麗な字で書かれていて、初めてのお兄様からの品だと、舞い上らずにはいられない。

お兄様グッズ一号である。

特に私の心に刺さったのが、手紙からもなんか良い匂いがしたことだ。


(お兄様っぽい香りがして、とっても良きでした)


貴族は手紙にも香りを付けるのかもしれない。

いつか私も礼儀作法として習うのだろう。



「あ!本当にボケっとしている場合ではありませんでしたっ!お母様にお願いしなければと思っていた事が有ります!」

「あら、なぁに?何でも言ってちょうだい」

「パウエル家のフェルミーナ様と仲良くなって、また遊びましょうねと約束したのです!それで、フェルミーナ様に我が家に遊びに来て下さいって招待状を出したいのです。お手紙も添えたいのですが、送って下さいますか?」


今日のこの時間にお母様に頼もうと思っていたのだ。

ミーナには招待状も贈りたいが、美醜観の話をお兄様に伝えた事を、早くお詫びもしたかった。


(そうだ!お兄様に、ミーナが遊びに来た時にひと目だけでも会ってもらえないか聞いてみよう!会えたら絶対喜ぶよね!)


「まぁ!アメリアもお友達が出来たのね?嬉しいわ!手紙を持ってきたら、招待状と一緒にパウエル夫人宛に送ってあげるわ」

「ありがとうございます!」

「お茶会に夫人とフェルミーナ嬢をお招きする形で良いかしら?私も夫人に改めてご挨拶したいわ」

「はい!フェルミーナ様とは、一生のお友達になったので、気軽に遊びに来てもらえるようになりたいですから!」


これできっとお母様が、パウエル夫人に”いつでも娘さんを遊びに来させて下さいね“的な話を振ってくれるはずだ。

それはそうと、問題は手紙である。


「お母様、実は私、まだ自分の名前以外文字が書けないのです。今回はまた代筆をお願いしますが、早急に覚えたいのです!」

「あら、そうね。あまりにも流暢に話すものだから、文字を書けないと言う事を失念していたわ。すぐに手配はするけれど……それまでは、そうね、この際だからユリシスに少し習ってみるのはどうかしら?」

「……!!い、良いのですか?!」


朝食の時に、あまりにもぼんやりする私に、昨日のお兄様との誕生会について、お母様から事情聴取を受けたので、お兄様との関係が前進したことを、お母様も知っている。


「ユリシスは普段、朝食前に鍛錬、朝食後は領政のお勉強をして、午後は空き時間があったはずよ。晩餐前の夕方には、騎士の方に師事して剣術を習っているわ」

「そ、そうだったんですね?!け……剣術も習ってらっしゃるなんてっ」


(知らなかった!!っていうか、イケメン騎士的な?!え!やだ、絶対見たいっ!)


流石侯爵家、部屋に籠ると言っても限界があったようで、朝の鍛錬と、夕方の剣術では外に出ていたらしい。


(まぁ籠り続けてたら身体にも良くないから、それもそうか)


それでも会わなかったとなると、コッソリ見られない所でやっているようだ。

これは、午後にお兄様に文字を教えて貰うようお願いして、その流れで夕方の剣術の授業を見学させてもらうのが良いだろう。


(これは行くしかない!)


「そうよ。ユリシスは剣術の才能があるようで、かなり上達してきていると聞くわ。せっかくアメリアとユリシスが仲良くなれそうなんだもの、ここが攻めどきよね?語学の教師が手配出来るまでの間は、ユリシスに午後の空き時間でアメリアに文字を教える時間を作るようお願いしてみましょう」

「……お母様っ!ありがとうございますっ!」


お母様という強い味方に、両手の指を組んで祈るようなポーズでお礼を言う。

 

(神様、お母様!!ありがとうございますっ!)


「あらあら、そんなに瞳を潤ませて!でも、こんなお願いを出来るのも、貴女の気持ちが伝わったからよ?昨日はよく頑張ったわね!」


(っ!ママーーーーーンっ!)


準備段階から張り切っていたのを知っているお母様は、自分の事のように嬉しそうに褒めてくれる。


「元々お兄様が優しかったからです!……えっと!早速今日お兄様にお願いしに行くことは出来ますか?!」


はやる気持ちが止められず、前のめりな私。


「そうね、行くだけ行ってみましょう?既に何かある様なら、後日からの予定で組んで貰いましょうね」

「はいっ!お母様、いつもありがとうございますっ!」

「ふふふっ!これからはハワード家も賑やかになりそうだわ!アメリアのお陰よ!」

「いいえ!お母様のお陰です!」

「まぁっ!ふふふふふっ」


その後、扇子の扱いの基本と、カーテシーの復習をして授業を終え、早速お母様とお兄様のお部屋を訪ねた。



◇◇◇◇◇◇◇◇



(そう言えば、私にはお兄様の周りの使用人に目を光らせる役目もあるのだ!)


勝手に自分に課した役割りを思い出して一つ頷くと、一緒に歩いていたお母様を呼び止める。


「お母様、もう一つお願いが有ります」

「ええ……まぁ?!怖い顔をしてどうしたの?」


足を止めて向き合ったお母様は、私の決意に満ちた顔を見てちょっと驚いていた。

これからお願いする事は、本来私が直接関わるべきことではないかもしれないが、大切なお兄様を守るためには、必要な事だと思い、思わず顔に力が入ってしまったようだ。


「出過ぎた真似だとは思うのですが、使用人達への人事権を頂きたいのです!いくら私達がお兄様を気にかけても、実際にお兄様のおそばにいる時間は、侍従や使用人には敵いません。お母様達が采配してようとも、多く居る使用人全てがお兄様に尽くして居るとは限らないと思うのです。なので、私もまた使用人に目を光らせる一人になりたいと思います!」


そう一気に捲し立てると、お母様はとてもビックリした顔をして、その後ふわりと微笑んだ。


「まぁ、当然よ?いくら幼いといえど、貴女は侯爵家の長女なのだから。当然、無礼な使用人が居るのなら、解雇をする権利があるわ。……貴女がそんな事を言い出すなんて、何か心当たりがあるのね?」

「……いえ、ハッキリとは分かりませんが。今後の為に必要だと思いました。私達の侍女は信頼出来るのですが、末端の使用人までが信用出来るとは限りません。……使用人とは噂好きなものでしょう?」


私が赤ちゃんだった頃から、お兄様の事情を分かるほどに噂話をしていたのだ。

そんな使用人達が、お兄様にどんな態度で接して居るか、全く信用できない。

お兄様はきっと遠慮して、無礼な態度を取られても黙認して居るだろう。

 

(だから、私がお兄様の快適な日常を守る!)


「なるほどね。子供達の前だと油断して怠慢な態度を取る者も居るかもしれないわね……いいわ。正当な理由があれば、その場で解雇しても構わないわ。貴女を信じてるから」


(お母様かっこえぇ……一生ついていきますっ!)


すぐに一生ついていきたくなりがちな私は、お母様からの許可を無事取り付けられたことに、ほっとした。


「ありがとうございます!絶対に不当に解雇などしないと誓います!」

「ええ。さぁ、ユリシスの所へ行きましょう。剣術の時間が迫ってはいけないわ」

「はいっ」



お兄様の部屋の前に着くと、お母様の侍女のマーサがお兄様に取り次いでくれた。


(よっしゃ!夕方の剣術まで絶対離れないっ!)


そんな熱い決意を胸にお兄様のお部屋へ通された。

読んで頂き、ありがとうございます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )


ブックマーク・イイね!して頂けると、大変励みになります( ˘ω˘ )g

書け次第投稿していきますので、不定期更新ですが次回もよろしくお願いします(*´꒳`*)


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