【第25話】私の話と、お兄様の理解力
前回投稿時のミスタッチで、完結表示になってしまっていたようで・・・確認不足、申し訳ございませんでした(´;ω;`)
そして、誤字報告有難うございます。
誤字申し訳ございません。
また見つけたら、お願いいたします。
では25話をどうぞっ!
一口飲んで落ち着いたところで、話を切り出す。
「お兄様を美しいと私が言うのは何故か、ということでしたよね」
「……うん。信じられないって言いたいけど……だけどアメリアが嘘をついてるようには見えないんだ。だから、どうしてかなって気になってる……」
なんと私の天使は、怯えながらも私の事を信じようとしてくれているようだ。
(お兄様マジ天使!)
今まで沢山酷い目にあっていても、ちゃんと私を見ようとしてくれることが嬉しい。
もう、意地でも私の話を信じてもらえるように話す!と心に誓う。
「はい。嘘や、気を遣って言っているのではありません。本心から、心の底からお兄様はかっこいいし、美しいと思っていいるのです。……これは言いにくいのですが、お兄様がそう見えるのとは逆に、他の人が美しいとか、かっこいいと評価している人のことがそうは見えないのです」
ただお兄様にかっこいいと言うのではなくて、”私がどういう美醜観なのか“を伝えるべきだと思った。
他に信じてもらう方法が分からない。
「え……?醜くても気にして無いんじゃなくて……まさか、アメリアにはお父様のような人が……その、逆に醜く見えてるって……そういうこと?」
「……はい。多分産まれた時から……小さい時からお父様も、他の同じようにふくよかな人たちを、美しい容姿だとか整った造形だと思ったことはありません。私の場合、”容姿を気にしていない“という言葉は、そういった方々にむけた言葉……という事になります」
できれば、人の美醜について褒め言葉以外は口にしたくは無いが、ここは大事なところなので、避けて通れない。
「……アメリアにとっては美しくなくても、嫌悪はしていないってこと?」
「はい。造形や見た目で嫌悪ほどの強い拒否感はありません。外見での第一印象は多少あるにはありますが、私にとって、それが全てでは有りません。会話や自分との関係で、好き嫌いが出てくる感じですね」
「……なるほど。美醜観が逆というのもだけど、造形に対する嫌悪が湧かないのも、珍しいね」
「そうかもしれません……あ!特にお父様は美醜関係なく大好きですよ!」
「うん、仲がいいと聞いているよ」
見ているから分かるではなくて、「聞いている」というのが、私たちの距離を物語っているようで、悲しくなる。
(絶対縮めてみせるっ!)
そう言えば、女性の事も一応言っておくべきかもしれないなと思い至る。
「それと、男性がふくよかだと美しく見えないと言いましたが、女性の場合は他の方と同じような感覚だと思います」
「うーん。つまり男性だけが、美醜逆転して感じられるということだね?」
「そうです!見えている景色や人の見た目は、皆さんと同じように私の目にも映ってると思うのですが、それを美しく思うかどうかの感覚が逆なんです!」
お兄様の理解が早い。
心情的には、混乱しているかもしれないが、私の言いたいことは完全に理解してくれている。
(天才かな?)
「……だから、僕の見た目が細くて目が女性のように大きくて……他にも色々と悍ましく見えるところがあっても、それがアメリアにとっては、美しく感じるということなんだね?」
「その通りです!!でも、見た目は第一印象であって……確かにお兄様は第一印象すら超越するようなイケメン…美しさですが、それだけではなくて、今話していても好ましく思っています」
これも大事な事なので伝えておく。
「……ありがとう。僕もアメリアのこと、大事に思っているよ。言えてなかったけど、最初に会った時は怒鳴ってごめんね」
(うぅううううっ!)
”大事に思ってる“いただきました!
「いいえ。……あの時お兄様の瞳に、きっと一目惚れしてしまったのです。話した事もないのに、瞳を見た時から……そこに私も映っていたいって思ったし、とにかくお兄様に会いたい!一緒に居たい!って自分でも抑えられないような気持ちになったのです」
「……一目惚れ……?」
「はい、お母様にも言われましたよ!お兄様とお会いした時の話をしたら、”一目惚れでもしてしまったのかしら“って。ふふふっ」
あの時お母様に「ユリシスはお嫁にでも行くのかしら?」とも言われたが、そこは秘密にしておこう。
(嫁とり貴公子発言は流石に恥ずかしい!)
お兄様はまたビックリしたような顔をしていたが、もう目があっても、恥ずかしそうに目を逸らすだけで、顔ごと逸らすようなことはしなかった。
「こほんっ!……あまりに聞いた事もない感覚だから、僕がそれに慣れるまでは時間がかかると思う。……だけど、アメリアの前でだけは、顔を隠さないように…努力する。まだちょっと怖いけどね」
「……!!!」
(流石天使!!)
「本当ですか?!ありがとうございます!嬉しいです!」
思わず立ち上がってぴょんぴょんすると、お兄様は頬を染めて、「こちらこそ」とふわりと微笑んだ。
(ピギャアアアアアアア!)
初めての笑顔は、初恋の味がしましたーーー……
なんて、また頭がおかしくなって思っただけだから許して欲しい。
今回は暴走しても仕方がなかったのだと、誰にともなく言い訳する。
(味って何だ、味って!……それにしても……)
お兄様はきっと、見られて嫌われるのも怖いけど、見た私が怯えたり、嫌悪感で気分を害すんじゃないかってことも心配していたんだと思う。
そんな風に考えられるのは、お兄様が優しいからってのもあるけど……もしかしたら、”その顔のせいで気分を害された“と、言われたことが有るからかもしれない。
直接でなくとも、うちの噂好きの使用人の事だ、十分あり得る。
(お兄様が部屋から出る機会が増えたら、使用人にも目を光らせるとしよう……容赦はせん!)
その後は、お菓子を摘みながら、今日のパーティーで有った事や会った人のこと……特にミーナの事を話した。
ミーナには申し訳ないが、ミーナも同じような感覚の持ち主で意気投合したという事も、転生のことは伏せて話した。
ミーナも会いたいと言っていたので、感覚の話を話した事で抵抗が減り、すぐに会えるかもしれないという意図があったのだ。
でも、私以外に言ってない事を勝手に話したのは事実なので、事後報告になる上に、直接会って謝るのが後からになるのがまた申し訳ないが、先に招待状に付ける手紙で謝って、遊びに来てくれた時にまた改めて謝ろう。
そろそろいい時間なので、お開きにしなければ……。
「お兄様、来て下さって、お話を聞いてくれてありがとうございます。名残惜しいですが、今日はもう寝る時間になってしまいました。……もしお持ちになりたい絵があれば!是非選んでくださいませ!」
「うん。せっかくだから……一つ気になっている絵もあるし、もう一度よく見せてもらおうかな」
「はい!」
持って帰ってもらえそうな返事に舞い上がりながら、お兄様と二人でイーゼルの前に移動した。
立ってお兄様に並ぶと、こちらを見下ろして優しく微笑んでくれた。
早くも私の為に微笑んでくれるなんて……そんなお兄様のご尊顔は、天使通り越して悪魔的破壊力だった事を、ここに報告しておく。
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