【第22話】私の理解者、ミーナの事情
設定が渋滞してきました:(;゛゜'ω゜'):
「リ、リアこそ……知ってるの?!!」
(やっぱり!)
悲壮から驚き、今度は期待に満ちた顔へとクルクルと表情をかえるミーナに、私も期待の眼差しを向ける。
ミーナは本当に元日本人……つまり、転生仲間なんだ!
「私、日本人だった頃の記憶が、わりとしっかりあるんだっ……」
「え!!う、私もっ!私も日本人やってん!多分死ぬ前って事で良えんやと思うけど、それも覚えてる!買い物帰りにトラックにっていう、良くあるアレ!」
元日本人だった記憶があると告白すると、ミーナは身を乗り出して自分も日本人だったと大興奮。
ミーナの場合は、異世界転生あるある第一位と言っても過言ではない切っ掛けだった。
「………」
「………」
お互いの告白が終わると無言で見合わせ、どちらからとも無くヒッシと抱き合う。
「仲間が居たんだがああっ!」
「ほんまやんなぁ!まじ嬉しいっ!」
「…ミーナって元関西人なの?」
「えへ、バレた?」
日本人なら誰もが知ってるイントネーションで、懐かしさが増す。
「リアは関東なん?」
「うん!といっても上京したくちなんだけどね」
誰も居ないのを良い事に、完全に二人してウフフなお嬢様喋りを放り出して話し込む。
ドアの外には使用人が控えているが、大声を出さない限り聞こえないだろう。
「……ほんでリアは前世何歳やったん?」
少し聞きにくそうに上目遣いのミーナ。
「25歳。自宅で多分だけど急病で死んじゃったんだと思う」
「まじかぁ。若かってんなぁ……。私は30歳やってん」
案の定ミーナは私よりも人生経験が豊富だった。
しかも、ふと出る仕草も可愛らしくて、中二病オタクの私とは女子力が違いそうである。
「え!ミーナの方がおねーさんじゃん!いや、どおりで気の回し方が完璧だと思ったんだよねぇ!ついていきますって思ったもん!」
「ははっ!ああゆう咄嗟の時って素が出てまうやんな」
「わかる!あの時ブチ切れて“おまえー!”って言いそうになってたもん」
「あぁ!あん時は転生者やなんて思ってへんかったから、”お言葉ですがー“言おうとしてはるんやと思っとってんけど、もっとヤバかったわ!止めて良かったわ」
「うん。ほんソレ」
(ヤバイ楽しい!前世の喋り方めっちゃ楽!5歳差だから、何言っても通じそうなんだけどー!)
「あれ、でも私達、25歳と30歳だとして、時代は一緒なのかな?」
「あぁ!せやんな!そこ一番大事なとこやんな!私は20××年の5月20日に事故に遭うてもうてん」
「あーーー!一緒っ!一緒おぉ!!!」
「ほんま?!ほんなら、全く同じ日に逝ったんやなぁ」
(これなんか作為を感じる)
感じたところで、全く予想すらつかないけど……。
「ねぇミーナ、ところでめっちゃ大事な質問が有るんだけど、聞いて良い?」
「当たり前やん!何でもきいてぇ!」
ミーナのイントネーションがそのうち移りそうな気分になりながら、大事な事を聞く。
「この世界のイケメンって、イケメンに見えてる?」
「っそれなぁーー!せやねん!それやねん!意味がわからへんわアレぇ!」
物凄い勢いのミーナに、おっふ!と仰け反ったが、正直そうであって欲しいと思っていた答えを聞けた。
(きたあああああっ!マジで仲間!マジっ!)
「同士よっ!!」
「心の友よ!!」
言って再び固く抱き合う。
「なぁ、言いにくいねんけどリアのお兄さんってアレやんな。こっちの世界でいう拒絶される容姿なんやんな?」
「……うん」
「いや、落ち込まんといてぇな!確かにこっちの世界やと散々な目ぇに遭うとるけどさぁ。そうじゃなくてうちが言いたいんは、リアのお兄さんはくっそほどイケメンなんちゃうんけってことっ!」
(お気づきになられましたかっ!)
初めて得た共感に鼻息も荒く、お兄様のイケメンを大肯定する。
「そーーーなのーーー!マジやばいよ!まだ私も会えないレベルで隠れちゃうから見せられないんだけど、まっじーでイケメンだよ!」
「うぅわ、めっちゃ見たいぃ!私な、アニメや漫画好きやったし、イケメン大好物やねん!うちらから見たらまだまだ小っさいけど、将来有望やんなぁ!目の保養なるやん!羨ましぃわぁ!」
どうやら、オタクとまではいかないかもしれないが、ミーナもアニメや漫画が好きだった模様。
しかも、イケメン好きである。
こんな事があっても良いのだろうか?!
(っくぅーーー!有ったんだなー!これが!)
「でしょー!……まぁでも、それだけイケメンって事はさ、つまり異世界では、かなり酷い造作に見えるみたいで、最悪人間扱いされない時も有るらしいから、前途多難なんだよね……」
「……そうやんな……。異世界きて、それが一番理解でけへん事柄やったわ。まだ会うてへんって言うてたよな?今晩会えるとえぇなぁ、ほんま」
「うん……」
お兄様を招待した話を覚えていてくれたミーナは、いたわるような顔で、エールを送ってくれた。
いつかミーナにもお兄様を会わせたい。
ミーナだって絶対お兄様と会いたいはずだ。
(イケメン好きなら間違いない!)
羨望の眼差しを二つも向けられたお兄様が、あわあわしたりなんかする妄想が過って、思わずニンマリ仕掛けた。
(……ーーーあぁ、早くそんな日が来ると良い)
「さて、ほな私はそろそろ帰ろかな!誕生日おめでとぅなっ!今日は運命の出会いやったわ!ほんま、ありがとう!また絶対遊んでなぁ!あ、送らんでええよ、このまま休んどき」
「そう?ありがと!是非遊びにきてね!絵も見てもらいたいし!すぐお母様に頼んで招待状送るから!」
「待ってるでぇ!ほななー!」
ひらひら手を振ってサロンを後にするミーナを、手を振りかえしながら見送る。
これからのミーナのいる未来を想うと、お兄様を絶対嫌悪しない人が現れたという希望で胸がウズウズする。
時計を見遣ると、18時……そろそろパーティーもお開きのはずだ。
ーーーさぁ!いよいよ最重要案件、“二人っきりの誕生会”が始まる!!!
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