毒吐き君と天使ちゃん
コンカーンカーンカーン!
チャイムが鳴る。
「起立、気を付け、礼」
「「「おねがいします!」」」
授業が始まった。
今は1時限目。
みんな眠そうな顔をしている。
「それじゃあ、毒吐き君。ここの答えは?」
教師が黒板を刺しながら、男子生徒の顔を見る。
男子生徒は面倒という思いを隠そうともせず、ハァとため息をついて口を開いた。
その口から出たのは、
「2分の1です。こんなこと聞く必要ありますか?」
「この程度誰でもわかると思いますけど。もっとまともな問題を出してください」
答えと、皮肉だった。
教師は苦笑いを浮かべる。
怒らないのは、それがいつもの事だからだろう。
男子生徒の名前は毒吐き君。
口が悪く、皮肉ばかり言うのでみんなから嫌われている。
まさに、嫌われ者。
「じゃ、じゃあ、次は天使さん」
「はい!」
「2分のルート3です!」
「「「おお。さすが天使ちゃん!!」」」
周りから歓声が上がる。
毒吐き君の時とは大違いだ。
女子生徒は照れたように頭を搔きながら席に座った。
女子生徒の名は天使ちゃん。
態度が良く、親切で、みんなから愛されている。
まさに、愛され者。
コンカーンカーンカーン!
チャイムが授業の終わりを告げる。
「・・・」
休み時間になったが毒吐き君はしゃべらないし、立ち上がることすらない。
眠っているのである。
毒吐き君は休み時間には睡眠をとるのだ。
だが、その睡眠を妨げる者が、
「毒吐き君!」
「、、ん。僕の睡眠を邪魔しないでって言ってるでしょ」
天使ちゃんである。
嫌われ者と愛され者が会話をしているのだ。
嫌われ者はさらに嫌われ、嫌われ者に話しかけている慈悲深さを見せた愛され者はさらに好かれそうな光景である。
「いいじゃん別に。話そうよ!」
「そんなに寝てたら夜寝れないよぉ」
「ふぅ~ん。夜寝てなさそうな人に言われたくないな」
「うっ!」
天使ちゃんが渋い顔をする。
どうやら痛いところを突かれたようだ。
それを見た毒吐き君は薄く笑みを浮かべ、また顔を腕に埋めた。
「くぅ!次の時間覚えててよ!」