表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/28

スライム

「なあ女神。スライムのレベルはいくつだ?」

『ナナオさんと同じくレベル1にしておきました』

「だったら……」


俺はスライムを左手で掴み上げると右手で殴りかかった。

「おらぁっ」

にやにやしているだけのスライムの顔面をこれでもかと殴り続ける。

「おらおらおらおら…………おらぁっ!」


『ナナオさん。なんだか弱い者いじめに見えるのですが』

「いや、そんなことはないぞ……はぁ。これはレベル1同士の正々堂々とした対等な勝負だ……はぁ」

『そうですか』

呆れたような女神の声。

それはいいのだが……。


「こいつ、はぁ。結構タフだな……」

俺は殴り疲れてしまった。

スライムの体は弾力があってパンチが跳ね返ってくるので手応えがない。

そのためダメージを与えられているのかいまいちわからない。


「おい、女神……こいつ俺の攻撃効いてるか?」

『すみません、わたくしにはわかりません』

スライムってたしか最弱モンスターのはずだよな。

それなのにこっちが疲れるほど殴っても倒せる気配がまるでないんだが……。


すると今まで受け身一辺倒だったスライムが突如動いた。

ぐにゅ~っと体を変形させ、口をカバのように大きく開けたかと思うと次の瞬間俺をばくっと飲み込んだ。


「ごぼっ……!?」

スライムの体に全身が包まれてしまった。

なんだこれっ!? 息が出来ないっ!!


手足をばたつかせてもがくが、スライムは俺の体をすっぽり覆いつくして離れない。


女神っ、なんとかしてくれっ!

俺は心の中で叫ぶ。が、

『そう言われてもわたくしにはどうすることも出来ませんので』

淡々と返す女神。


やばいっ。このままだと死ぬっ!!

『言い忘れていましたが、この世界ではナナオさんはたとえ死んでも最初からやり直せるので安心して死んでくださって大丈夫ですよ』


なんだとっ! 安心なんて出来るかっ、くそ女神っ。駄目だマジで限界だ頼むなんとかしろっ!!

「ごぼごぼっ……!!」

『すみませんナナオさん』


死っ……。

「ごぽっ…………」





次の瞬間どさっと地面に落ちた。


「いってぇ……って。はっ、ここは……?」

「きゃあっ!」

すぐそばから女性の悲鳴が聞こえた。


「マ、マジかよ……」


俺は全裸でさっきまでいた町の往来に寝転がっていた。

お読みいただいてありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ