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1 くまのぬいぐるみ ポープ

 くまのぬいぐるみ


 プロローグ

 

 ……ふぁ、おやすみなさい。


 本編


 夢の中へ


 くまのぬいぐるみ ホープ


「起きて、ふわりちゃん」

「うん?」

 誰かが自分の名前を呼ぶ声を聞いて、小鳥遊ふわりは夢の中で目を覚ました。

 すると、そこにはふわりのお気に入りのぬいぐるみである、くまの『ホープ』がいた。

 それは、まあ、いつものことだった。

(ずっと、ふわりは夜、眠りにつくときには、必ず、くまのホープをしっかりとぎゅっと抱きしめて眠りについていたのだから)


 でも、その夢の中ではちょっとだけ現実とは違っていることがあった。

 それは現実の世界では、絶対に喋ったり、動いたりしないただの(ふわりの七歳のお誕生日にプレゼントとして両親に買ってもらった)亜麻色の毛なみをした、くまのぬいぐるみであるポープが、勝手に喋ったり、動いたりしていることだった。(ふわりに、「起きて、ふわりちゃん」と声をかけたのは、ホープだった)


「うわ、ホープが喋っている!」

 最初、そんなホープを見て、ふわりはすごくびっくりした。目を大きく見開いて、信じられない、と言ったような顔をした。

 でもふわりはすぐに、あ、これは私の見ている夢の中の世界の出来事なんだ、ということに気がついて、びっくりすることをやめて、せっかくの機会なのだから、大好きなホープとたくさんおしゃべりをしようと思った。


 でもホープはそんなふわりに向かって、「そんなことをしている場合じゃないよ。ふわりちゃん。このままだと、世界は滅んでしまうんだ。早く、みんなを助けに行かないといけないよ」と手足を大きくばたばたと動かして、ベットの上で、そんなことをふわりに言った。


「みんなって誰? それに世界が滅んでしまうって、どういうこと?」

 首をかしげて、ふわりは言う。

「そのままの意味だよ。さあ、ふわりちゃん。すぐに出発しよう。みんなを、『友達』を助けて、そして、『僕たちの世界を救うんだ』」

 ふわりの手をぎゅっと掴んだホープはふわりの目を見て、そんなことを言った。ホープはすごく真剣な目をしていた。

 そんなきらきらしたホープの目を見て、ふわりは、「わかった。ホープ。なんだかよくわからないけど、私、みんなを助けに行く。そして、世界を救ってみせるわ」とにっこりと笑ってそう言った。


「ありがとう、ふわりちゃん。じゃあ早速行こう」

「行こうってどこに?」

「月に」

 そう言って、くまのホープはその丸い手を空に向かって、動かした。

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