表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に愛を乞う  作者: 京町ミヤ
第1部
97/204

第97話

幸雄、海と舞夜、と二手に別れて城に忍び込む。正門を開け、目に映った光景に海は目を見開いた。


「これは…!?」


大勢の使用人と思わしき魔物が、黒い靄に包まれて倒れていたのだ。


舞夜は近くにいた女性の使用人に近づき、そっと手を取った。


「…脈がない…」


「死んでいるのか?」


「いえ、魔石になっていないので、恐らくは仮死状態であるかと」


そうか、と短く返事をして、海は刀に手をかけた。


「霜月。アルターと娘を探してくれないか」


「畏まりました」


目と伏せて、舞夜は意識を集中させる。しばらくしてハッと目を見開いた。


「陽羽様が近くにいらっしゃいます。アルターは庭園の方です」


「よし、俺はアルターの元へ向かおう。霜月は意識のある魔物を探せ」


「了解しました」


と、その時だった。


「お姉様…?」


柔らかい女性の声がした。ハッ、と海と舞夜が声の方へ視線を向ける。


舞夜と同じ、艶やかな金髪をした使用人の格好をした女性。目を見開いて舞夜を見つめる。


「本当に…お姉様なのですか…?」


「…モーナト…」


モーナト、と呼ばれた女性は舞夜に駆け寄り、勢いよく抱きついた。


「お姉様…!!」


「久し振りね…」


そっと優しく頭を撫で、舞夜は目を細めた。怪訝な顔をしながら、海はこほん、と咳払いをした。


「霜月。こいつは?」


「私の弟のモーナトでございます」


「モーナトです。初めまして」


スカートを摘み上げ、美しく礼をするモーナトを一瞥して、海は問うた。


「…うん?弟?」


「私は男ですよ」


なんという事だ。モーナトは確かに女性らしい身体つきに声をしている。が、本人や舞夜曰く男だという。が、今重要なのはモーナトの性別よりも城内の状況だ。


「この状況はどういう事だ」


「…人間の娘が…突如、城の中を歩き出しました」


(人間の娘…師走の娘か)


モーナトは眉を寄せて、肩を震わせた。


「彼女の魔力に触れた者達は皆…倒れてしまいました…」


余程の恐怖だったのだろう。彼の表情から、その時の惨状が伝わってくる。


「私は何とか免れたのですが…」


「そうか。理由は分かるか?」


恐らく…、と一度言い淀んで、モーナトは口を開いた。


「人間の娘の魔力が…アルター様の魔力に感化されていました」


「陽羽様の魔力はディツェンバー様の物と同じです。強すぎる魔力が融合し、力が暴走しているのかもしれませんね…」


「ふむ…精神崩壊を起こしていても違和感はないな…」


顎に手を添えて海は頭を巡らせる。現時点で、暴走しているらしい陽羽を止める方法は無いに等しい。


「まずはアルターを狩る。それに変わりはない」


「…モーナト。城の中に動ける者は?」


「警備に当たっている者達以外は……」


ぎゅっ、とモーナトのロングスカートに皺が寄る。返事をして舞夜は海を見上げた。


「だそうです。私が陽羽様の元へ行きましょう」


「そうしてくれ」


頷いて、舞夜は陽羽の元へと駆けて行った。踵を返した海に、モーナトが声をかける。


「あの…!」


「…なんだ?」


「……ご武運を」


そう言ったモーナトに、海はふっ、と可笑しそうに笑った。


「自身の主を殺そうとしている男に、そんな事を言っていいのか?」


「…良いのです。どうか…」


モーナトは頭を下げた。海はそんな彼の頭をくしゃりと撫で、駆け足でアルターの元へと向かった。


その途中、城の警備に当たっていた魔物達が剣を抜き海を見据えた。数えきれない程の魔物達に怯む事なく、海は半身の体勢になる。


「…………」


刀を抜くと同時に、目にも止まらぬ早さで魔物達を切り捨てて行く。


「俺を殺したいか?ならば来るといい。魔物殲滅隊総隊長である俺が…貴様等の首を狩る…!!一人残らず、な」


ぎらり、と海の瞳と刀が光った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ