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君に愛を乞う  作者: 京町ミヤ
第1部
75/204

第75話

最後の方に、人によっては不快に思われる部分があります。

ご注意ください。

「!」


部屋の入口には漆黒の髪に緑色の鋭いつり目、尖った耳にはピアスが沢山開けられており、威圧的な雰囲気を纏った男性が立っていた。


その後ろにはヤーレスツァイトも立っている。男性がヤーレスツァイトに手で何かを合図すると扉が閉められ、男性と陽羽の二人だけが部屋に残される。


「名乗れ。女」


静かな空気の中、見下し気味に低い声を響かせる。冷たい目で見下ろされ、背筋に冷たいものが流れるのが分かる。陽羽は恐る恐る、口を開いた。


「…師走陽羽です…」


「良い。我が名はアルター。魔界の王だ」


言われてみれば、アルターの放つ威圧というものは、王の威厳なのかもしれない。アルターは陽羽にゆっくりと歩み寄り、顎を掴んで無理矢理目線を合わせた。


「っ」


「ほぅ。中々の上玉だな。……なっ!?」


アルターは何かに気付き、陽羽をきつく睨み付けた。乱暴に手を離し、声を荒らげる。


「何故だ女!!答えろ!!」


「えっ…?」


「何故忌まわしきその魔力を持っている!!」


アルターの魔力が放たれる。黒い靄のようなものが広がり、部屋を埋めつくしていく。


その威力のせいか、部屋の窓ががたがたと揺れ、部屋の端に置かれていた花瓶が音を立てて割れた。


だが、陽羽にはアルターが怒っている理由が分からない。ただ首を傾げる事しか出来なかった。


「ど、どういう事ですか…?」


「貴様の魔力は俺の兄…ディツェンバーのもの。ふざけるな!!!」


ビクッと肩が震える。真っ青になった顔でアルターを見つめる。気を抜いたら足の力が抜けそうな、強い怒りに満ちていた。


アルターはというと、ぎらりとした目で陽羽を見つめていたが、やがて何を思いついたのか口の端を釣り上げた。


抵抗する間もなく、陽羽の身体がふわりと宙に浮いた。アルターに抱き上げられ、乱雑にベッドに寝かせられる。上から覆い被さるようにしてアルターは陽羽の首筋をなぞった。


首を絞められるのかと思ったが違った。陽羽を睨み付けたまま、シャツのボタンが引きちぎられた。制服のリボンも破かれ、下着と豊満な胸が顕になる。


「きゃぁあっ!?」


「まぁ丁度いい。忌まわしきその魔力を持つのなら…女、貴様を俺で穢してやろう。その魔力、その身体、その精神。全て俺で穢し、壊してやろう…」


羞恥よりも、強い恐怖が陽羽を支配する。


アルターの言葉の意味が分からない陽羽ではない。震える手でアルターの胸板を押すが、その手をアルターに掴まれてしまう。


「抵抗すれば…命はないと思えよ?女」


「っ…!!」


冷たく鋭い瞳で、陽羽を見下ろす。


寒気が襲う。身体が震え、呼吸が上手く出来なくなる。内臓が掴まれたかのような、苦しい吐き気が込み上げてくる。


嫌だ。怖い。離れて。気持ち悪い。嫌だ。助けて。嫌だ!嫌だ!!


今すぐこの場から逃げ出したい。しかし身体は震えて動かない。そして抵抗したとしても、相手は男で魔界の王だ。殺されてしまうのは目に見えている。


嫌だ。死にたくない。嫌だ。受け入れたくない。嫌だ。"私"を殺さないで。


その思考が頭を埋め尽くす間も、目の前の男は行為を進める。


魔石を発動させて逃げ出そうか。今ならまだ間に合うのではないだろうか。出来る事ならそうしたい。けれど陽羽が感じるのは"生死をその手に握られている恐怖"だけ。


微かな希望すらも見えない。


ならば、陽羽がやるべき事はただ一つ。


ぎゅっ、と目をきつく閉じて、その行為が終わるのをただ耐えた。耐えるしかなかった。








命が消えてしまうよりかは───いいはずだから。






「………助け、て………長、月君………」


涙が浮かぶぼやけた視界で、血が滲んだ震える手を伸ばした。


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