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君に愛を乞う  作者: 京町ミヤ
第1部
66/204

第66話

「何処に行きたい?」


幸雄に聞かれ、しばらく頭を悩ませる。

実を言えば特に行きたい所はないのだ。幸雄と共に回れればどこでも楽しめるはずだ。


「先にお昼、食べちゃおうか」


「構わない。何にしようか…」


ランチコーナーへ移動し、店を一軒ずつ見て回る。ランチを担当するのは主に三年生で、宵や美里、侑も担当しているとの事。


順番に教室内の様子を覗きつつ歩いていると、三年三組の所で足を止めた。


「あ、オムライスだって」


「ここにするか?」


「うん…!」


三年三組は宵のクラスだ。中に入ると、時間帯がまだ早いためか、結構空いていた。


店の奥からクリーム色のふわふわの髪をした生徒がパタパタとやって来る。


「いらっしゃいませ…って長月君と陽羽ちゃん!」


「宵さん!」


「来てくれたの?ありがとう」


案内された席に座り、メニューを開く。品数が多い、という訳ではないのだが、それでもやはり迷ってしまう。


他の人が何を食べているのか、辺りを見渡そうと視線を隣に移すと、スマホを操作している竜の姿があった。


「や、弥生さん…!?」


「あ?あぁ…アンタ等か。デート?」


「違う」


竜は運ばれてきたオムライスを食べながら、陽羽を見る。


眠そうなたれ目をじっとりと細め、一笑した。


嘲笑でもなければ朗笑でもない。ただただ可笑しそうに、小さく笑ったのだ。


何故笑われたのか分からないが、少しだけ胸が痛む。その後竜は何も言わず、ひたすらにオムライスを食べていた。


すると、メモを持った宵がやって来た。


「注文決まった?」


「あ、えっと…ケチャップで」


「デミグラスで」


「はいはーい。少々お待ちくださーい」


宵は奥の方へメニューを持って去って行く。


「楽しみだね…」


「あぁ」


「………」


竜は椅子を陽羽の方へ寄せ、こっそり耳打ちした。


「あんた長月に惚れてるでしょ」


「!?」


今まであまり関わりがなかった竜にそう言われ、一気に顔を赤くさせる。それを見た竜はふっ、と口の端を上げた。


「長月は鈍いなんてレベルじゃねぇしな。感情の件を差し引いても天然な方だ」


「うっ…」


「…だが、あいつもお前に惚れてるかもなぁ?」


ニヤニヤとしながら紡がれる言葉に、陽羽は一瞬幸雄の方を見た。視線に気付いた幸雄に見つめ返され、恥ずかしさのあまり顔を逸らした。


「くくっ、あんた等面白すぎ…。期待しときなよ」


「き、期待って…?」


陽羽が聞き返すと、竜は椅子を戻し、今度は立ち上がって幸雄の横へ移動して何かを耳打ちする。


(ま、まさか言ったりしないよね…?)


若干の焦りがあったものの、幸雄の表情は変わらないままで、一体何の話をしているのか分からなかった。


「………本当なのか?」


「間違いないだとよ」


竜は幸雄の肩にポンっと手を置いて、席に戻って食事を再開した。すると陽羽達の席に注文したオムライスが運ばれてきた。


「お待たせしましたー」


「あ、どうも…」


「ありがとう」


出されたオムライスを食べるものの、竜が幸雄に言っていた内容が気になり、食べたオムライスはあまり味がしなかった。


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