第52話
夏季休暇中の登校日の日の学校帰り。陽羽と幸雄と凛子、昼はファーストフード店で課題をしていた。
しかし、開始早々に飽きたのか、凛子はスマホをいじり始めた。
「…連続無差別殺人事件…やっぱりニュースになってる」
「…そう…」
連日ニュースで放送されている、連続無差別殺人。
幸雄曰く、犯人は魔物らしく、早急に討伐するように言われているそう。
それでも犯人の足取りはおろか、情報も掴めていないらしい。
「陽羽ちゃんも昼ちゃんも気をつけてね」
「うん。ありがとう」
「そういう凛子ちゃんもね」
「うん!」
「それもいいが、葉月。課題はいいのか?まだ半分も終わっていないだろ」
幸雄に言われ、凛子はぐぬ、と頬を引き攣らせた。
「分かったよ〜…」
大人しくスマホを鞄にしまい、再びペンをとる。それと同時に幸雄のスマホが鳴った。
「…長月〜」
「すまん。待っててくれ」
スマホを持って店の外へ出る。ねぇ、と昼は陽羽の腕を小突く。
「長月って…よく見たらそこそこイケメンじゃない…?」
「え?」
「アイツ、顔はいい方なんだよね〜」
「無愛想だけど、時たま陽羽ちゃんに見せる柔らかい表情…!」
昼は店の入口に立って電話している幸雄を見つめる。つられて陽羽も視線を向ける。
「…陽羽ちゃん。ぶっちゃけ長月の事…どう思ってるの?」
「へっ…?!」
昼と凛子に期待の眼差しを向けられる。気恥ずかしくて頬をかく。
「そ、その…。う、うぅん…触れられると…ドキドキはする…」
「きゃーー!可愛いー!!」
「いいないいな〜!」
陽羽は教科書で赤く染った顔を隠す。
「で、でも…好きかどうかはまだ…!」
「分かったよ!誰にも言わない」
「私達三人の秘密ね!」
昼が人差し指を唇に当てて、笑いかける。
「でも、自覚したら教えてね!」
「う、うん…!」
陽羽が頷いた所で幸雄が帰ってきた。
「悪い、招集がかかった。葉月、陽羽と宮下を頼むぞ」
「了解!」
「それじゃあ」
荷物をまとめて幸雄は駆け足で店を出た。店の壁にかけられている時計を見て、凛子は外を見た。
「でも暗くなってきたね。危ないし、私達も早めに帰ろうか」
「そうね…」
十分程勉強してから、三人も店を後にする。しかし、店を出てしばらくした時、急に昼が倒れた。
「!?昼ちゃん!?」
「!陽羽ちゃん!危ない!!」
凛子が陽羽の背を押す。陽羽はその場に倒れ込む。驚いて凛子の方を見ると、凛子は腹部から血を流して膝から崩れ落ちた。
「っ凛子ちゃん!」
凛子に駆け寄ろうとしてハッとした。おそらく、人間ではなく魔物の仕業だろう。
陽羽は凛子ではなく、昼に寄り添い防御魔法を発動させる。
「っ長月君に連絡しないと…!」
スマホを取り出そうとすると、急に視界が暗くなる。だんだんと意識が遠のく。
「あ…どう、し…よ…」
暗闇の中手を伸ばすが、空を掴む事も出来ずに身体の力が抜けていく。
そしてとうとう、意識を手放した。




