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君に愛を乞う  作者: 京町ミヤ
第1部
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第26話

「あの…昼ちゃん。相談があるんだけど…」


とある日の昼休み。幸雄が席を外している間に、陽羽は昼に話しかけた。


突然の陽羽の切り出した話題にも、昼は笑って返事をする。


「私でよければ!」


「その…ね。私、長月君にお礼がしたいの」


「ほぅ…長月にお礼…」


興味深そうに聞き返しながら、昼は昼食のクロワッサンを一口食べた。


「いつもお世話になってるから…」


「ふむふむ。でも、どうして私に?男子の欲しい物とか、あんまり詳しくないんだけど…」


「あ、たしかにそうね…。ごめんなさい。忘れて…」


「詳しくないとは言ったけど、協力しないとは言ってないよ?」


昼はにっこりと笑って陽羽の手を取った。


「協力させて?友達なんだからさ!」


友達、という言葉に胸がじんわりと熱くなる。


「昼ちゃん…ありがとう」


陽羽が微笑むと早速…、と昼は近くにいた男子生徒に声を掛けた。


「ねぇ、町田。プレゼント貰えるなら何が欲しい?」


「唐突だな。うーん…俺は財布かなー。もうボロいし」


そう言って町田と呼ばれた男子生徒はポケットから財布をひらひらとして見せた。たしかに年季が入っているようで、糸が解れていたり、布が破れかかっていた。


「あー…男子ってポケットに財布入れるもんね〜」


「そーそ。ま、一番欲しいのは彼女だけど」


「まーたそういう事言うんだから…」


呆れながらも昼は眉尻を下げる。


「男子共通の願望だよ」


「えぇ〜?」


「じゃな!」


元気に手を振る町田に軽く手を振り、陽羽は弁当を食べる。


「お財布かぁ…」


「まずは候補ね。色んな人に聞くのがいいと思う」


「…昼ちゃんなら…どうする?」


「私?」


うーん、と牛乳を飲みながら昼は頭を悩ませる。


「プレゼントは気持ちかな。やっぱり。私なら調子乗って手作りの物渡しちゃうかも」


「手作り…」


「どうしても迷うようなら、本人にそれとなく聞いてみるのもいいかもね」


「…もう少し、考えてみるわね。ありがとう」


「うん!私の方でも聞いとくよ」


その後すぐ幸雄が帰ってきたので、二人は顔を見合わせて話を切り上げた。







(プレゼント…どうしよう…)


屋敷の中を歩きながら陽羽は考える。

これといった用事はないのだが、いい案が浮かばないかと適当に歩いていたのだ。


すると前から美里の姿が見えた。相変わらず犬のぬいぐるみを大事そうに抱えていた。


「あ、美里先輩!こんばんは」


「こんばんは。何か用?」


「えっと…もし、男の子へプレゼントをあげるなら…美里先輩は何をプレゼントしますか?」


質問の内容に面を食らったような顔をしたが、美里は犬のぬいぐるみをぎゅっと握り締めて、口の端を上げた。


「ふぅん?へぇ?」


「………?」


「私なら…その子の好きな物、かな」


「その子の好きな物…」


美里の言葉を反芻する。美里はコクリと頷いて、去り際に一言残した。


「紅茶、とかね」


「…!?」


ばっ、と美里の背を見つめる。美里は少しだけ振り向いてニィッと笑った。呆然と見つめ、陽羽は呟いた。


「ど、どうして…」


疑問は残ったままだったが、陽羽は再び屋敷の中を歩き始めた。


「財布…手作り…好きな物…」


「何呟いてるっスか?」


驚いて振り向くと、背後に蓮と侑が立っていた。


「さ、皐月君…水無月先輩」


「っス」


お互いに軽く会釈する。


「それで。何か考え事っスか?」


「えっと…」


(皐月君と水無月先輩に相談しようかな…同じ男の子だし)


陽羽は先程美里にした質問と同じ質問をする。悩む蓮に対し、侑は即答した。


「お菓子」


「お菓子ですか…」


「ゲームじゃないんスね」


「地雷だったりもってるやつと被ったりするかもじゃん。ゲームは自分で買って自分でプレイするのが楽しいんだよ」


(どうしよう…全然分からない)


侑の言っている事はほとんど理解出来なかったが、好きな物でも被るといけない、というのは頷ける。


「皐月君は何かある?」


「俺は貰えるなら何でも喜んで受け取るっス。でも使い勝手がいいのがいいっスかね」


(難しいなぁ…)


二人に礼を言い、一度自室に戻る。机の上に置いてあるメモを一枚ちぎり、今までに出てきた物をメモしていく。


(あとは…本人にさりげなく聞いてみる…?)


静かな部屋の中、はぁ、と息を深く吐いた。

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