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君に愛を乞う  作者: 京町ミヤ
第1部
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第15話

ズキズキと痛む左耳を抑えて、地下に続く階段を下りる。


(ピアス開けたとこ…まだ痛いな…)


添人の証を耳に付けたのはいいものの、ピアスなんて生涯開ける事はないだろうと思っていた陽羽にとって、予想だにしなかった事だった。


前を歩く宵はピアスを開けた事は気付いていたが、話を振る事はしなかった。


「地下に訓練場があるんだけど、しばらくの間は私と一緒に来てね。魔力コントロールとか色々教えるから」


「は、はい…!」


宵が扉を開け、電気を付けるとそこは真っ白な部屋だった。

部屋の隅に置かれている石に陽羽は視線を向ける。様々な色が混じり、綺麗な虹色をしている。見る角度によって色が変わるからこれまた面白い。


「…宵さん。これは…?」


「それは陸さんが開発した魔力石。魔石とは少し違って…これに触れた人の魔力の性質を教えてくれるの」


「性質…?」


たとえば、と宵は魔力石に触れる。すると様々な色が混じり合っていた魔力石はすぅ、と濃いめの黄色に変化した。


「!」


「私は濃い黄色。私と確約してる異人の人は黄色だから…相性はかなりいい方。って分かるの」


「はぁ…」


宵が手を離すと、先程と同じように虹色に戻った。


「触れるだけで大丈夫よ。触ってみて」


「は、はい…!」


宵に言われ恐る恐る魔力石に触れる。すると魔力石は何の色も移さず、魔力石が置かれている向かいの壁が見えた。透明になったのだった。


「え?」


「これは…どういう事…」


「やっぱりか…」


二人の後ろから、空が目を細めて頷く。陽羽と宵は驚いて肩を震わせた。


「!四季さんいつの間に…!?」


「二人が入るのが見えてね。驚かせてごめんよ」


笑って謝罪する空に、宵は慌てて問いかける。


「やっぱり…ってどういう事ですか?どうして陽羽ちゃんの魔力…」


「…たしかに珍しいけど…透明でも問題は無い。むしろいい事だよ。

透明、それは白や黒と同じで相性の善し悪しがないんだよ。そして透明とは無色。どの色の魔石も使えるんだ」


「なっ!」


宵の目が驚きに満ちる。陽羽は不安げに空を見上げた。


「そんな凄い事…私にやりきれるでしょうか…」


「…大丈夫だよ。ゆっくりでいい。失敗しても、元々訓練も何もしていない君を誰も咎めないよ」


「そうよ。一緒に頑張りましょう?」


空と宵に励まされ、なんとなくだが勇気が湧いた。


「はい…!」


「それじゃあ、僕は奥で仕事してるから…何かあったら呼んで」


そう言い残して空は奥の部屋へと入っていった。


「…じゃあ、始めていこうか。戦闘においてこの役割がいいとかある?」


「うーん…あまり俊敏な動きが出来る訳ではないので…出来れば援護とか…?」


戦いのイメージがつかないので、頭の中のぼんやりとしたイメージを率直に伝える。ふむふむと頷いて宵は棚を分厚い資料をパラパラと捲る。


「そうねぇ…長月君が前衛だから…遠隔操作で防御…?」


宵の隣で黙って待っていると、うん、と納得したような声が聞こえる。


「陽羽ちゃん。まずは遠隔防御魔法を覚えましょう」


「え、遠隔…?」


「何色の魔石が使えるなら、大いに使いましょう。時間はかかっていいから、いくつか覚えて同時に使えたらいい感じ、ってな具合で」


(たしかに…そっちの方がお得感はある…)


とはいえ、やってみないと分からない。ここは先輩の宵の判断に任せよう、とゆっくり頷いた。


「これがまた難しいんだけど…。まずはこれを持ってね」


宵は棚から取り出した、白色の魔石を陽羽に手渡す。


「いい?目を閉じて全身に魔力がある事を想像して。そのまま少しだけ、ゆっくりと魔石を包み込むように…」


目を閉じて言われた通りにやってみる。


今まで感じた事のない、違和感が全身を襲う。全身が水に浸かっているような、覆われているような、そんな感覚だった。


(これが魔力…?)


その水を魔石に集中させる。


「…ちょっと弱いわ。もう少し流す魔力量を増やして」


「は、はい!」


「………そう!その強さをキープして。目を開けても大丈夫よ」


恐る恐る目を開けると、右手に握られている魔石が光っている。


「手を離して」


「え…」


今ここで手を離したら魔石が地面に落ちてしまう。戸惑ったものの、手を離してみる。すると、魔石は落ちる事無く、その場に留まり続けていた。


「!?」


「集中を乱さないで!今、魔石の周りに魔力を集めた状態。そこから一気に魔力を魔石に押し込むイメージで」


「押し込む…イメージ…!」


ギュッ、と力を込めるイメージをするが、どうも上手くいかない。


「………」


やがて宙に浮いていた魔石が、光を失いコンッと音を立てて地面に落ちた。と、同時に軽い疲労感と脱力感が陽羽を襲う。


「はぁ…」


「…まさか一発目で魔力操作が出来るなんて…陽羽ちゃん、何者?」


宵が落ちた魔石を拾い上げ、引きつった表情で問う。


「宵先輩が分かりやすく教えてくれるからですよ。でも…結局失敗しちゃいました…」


「まだ一回目だもの。普通なら、魔力を操った事のない人がいきなり出来るなんてありえないもの」


「そうなんですか…?」


「手から離れるとイメージつかないものね。皆躓く所だから心配しなくて大丈夫」


「…もう一回やってみていいですか?」


「勿論」


宵から魔石を受け取り、先程と同じように魔石に魔力を集める。


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