第一章 クーデター編 1話 不毛の大地
私が生まれた家は貴族だった。てか貴族なのかよ!この家は。
貴族らしい調度品もなく、家もまさかの木造建築。まさかの特産品は近くの森から運ばれた薪!それ以外は何も作れない(この文明レベルではの話だが)とゆうまさしく不毛の大地という言葉がとても似合う土地となっていた。
そして私は11歳となり、この国では12歳から政治に加わることも出来るため、それまでの実地見聞として街を訪れていた。
「ここは本当にこの領地最大の都市なのか?」
それが始めの感想だ。本当に、何も無いのだ。家はあるには有るが、全てボロ屋敷。人は1000人近くいるが、全員が痩せこけている。当然だが、活気がある街とは言えない。
「何故この領地はここまで貧しいのか?貧しいなら貧しいなりに税を軽くするとか、その場所でも作れる作物を栽培すればいいじゃないか。」
そう執事に聞くと、
「それがこの土地の問題なのです。まず、土地が完全に痩せこけているのです。そのおかげでまず何も作れません。そしてその上圧倒的な重税です。」
なんと、名君と聴いていた父が重税を敷いているとは。これまで母からも
「あなたのパパはこの国1の名君よ!」
と教えられて来たので、
「父は名君と聴いていたのだが…。」
と執事に話を聞くと、
「ここでは大きな声では言えないのですが、他の領地の税が年間で1銀貨なのに対し、この領地は年間4銀貨と、かなりの重税です。しかもあなたの父、レックス公爵は、前の領地で反乱を抑えられず、もうあとがなく、このような重税を強いているとの事。しかし王都の舘には金銀であしらわれた椅子やベット、当代1の職人に作らせた机など、大量に金をかけているようです。」
まさかの見立てをかなり気にするダメ貴族なのかよ…。と実父に呆れていると、
「レックス第一子息様、どうにか私たちに食料と職を…。」
とボロを着た青年が話して来た。執事は
「このように、農民は食べるものもなく、職もないため、皆痩せこけており、貴方様のような貴族がいらっしゃると食料と職を願いに来るのです。」
執事がそう説明しているうちにも
「俺にも食料を…」
「小さな子供が…」
と、農民がぞろぞろとやってきた。
どうすればいいかと悩んで居ると、
「税を減らせ!!」
と、農民が殴りかかってきた。しかし
「筋がいいね。これだと、レックス領軍に入れば一旗上げれるんじゃないの?だけど」
そう言い、相手の殴りかかってきた手を掴み、その瞬間に鳩尾へと1発叩き込み、
「僕の敵じゃないね。」
と、一瞬であしらった。なんせ私は毎日この領地最強の兵士に稽古を付けてもらっているのだから。
「で、要件は?」
と殴ってきた男に聞くと、
「税を減らしてくれ…」
と言ってきたので、
「だったら父に掛け合って見るよ。それとあと1、2年すればこの重税からは必ず解放するよ。」
「どうやって…?」
と農民の男が聞いてきたので
「奪うのさ、父から、この領地をね。」
そう、もうこの時点で決めていたのだ。父にクーデターを起こす、と。だって父に任していたとしてもこの領地はさらに貧しくなるだけだしね。
「あの鬼から、領地を…?分かった。手を貸すぜ!俺はケインズ!この街のトップだ。形だけで実際は鬼…お前の父から派遣された役人に全て決められてしまっているからな。だが俺が言った言葉、税を減らす、それがこの街の総意だ!頼む、どうにかこの環境を変えてくれ!」
ここまで言われるとしかたがない。それで、父と直接喋ることが出来るのはここから約半年後のため、
「父には必ずこの話をする。しかし、私が父と話しが出来るのは残念ながらあと半年後だ。だからそれまでに飢えて死んでしまわないように。こんな土地でも育てれる植物を探してケインズたちに渡すよ。だからそれまでは待って欲しい。そしてその後、税が減らなければ、私が12歳になった瞬間にこの領地を奪う。それだけさ。それと執事。」
「はい。」
「この話は他言厳禁だよ。この話が父方に流れたら私は終わるからね。」
「わかりました。」
こうして、私のこの不毛の大地での「政治」の1歩が始まったのだ。
不定期投稿となるので、そこのところよろしくお願いします。
あと、この世界では名前が12歳の成人の時に決まります。