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That's 田舎ぐらしシリーズ

鈴虫の音と、大学芋《 That's 田舎ぐらしシリーズ》

作者: 西原ミナミ

 久々に実家に帰ると、鈴虫を飼いはじめていた。

「持って帰るか?」

 と母が言ったが、私はすぐさま「いらんわ!」と返す。

 だって。わざわざ飼わなくたって。じっと耳を澄ませば無数の虫の声が聴こえてくるんです。鈴虫、こおろぎ、くつわむし……ぐらいまでは判ります。あとは、よくわからないけれど、なんかいい音を立てる虫。あれ松虫がないている~。唄った方の気持ちが解る今日この頃。

 馴れというのは怖いもので。最近は当たり前すぎて、気がつかなかったけれど、目を閉じて聴き入ってみると、耳に心地好い美しい音がなんとも風流。素敵な響きに癒された。そういう、当たり前すぎて見失っている幸せが、きっとたくさんあるのだろうなと思う。


 いつの間にやら十月がやってきた。秋は好きだ。自分が秋生まれなこともある。涼しくなり、美味しい食べ物や、読書、芸術が、夏の疲れを癒してくれるからだ。

 そして、秋といえば、サツマイモ! どっさりと毎年頂く。ナルト金時、べにあずま、安納芋。それぞれの種類に良さがある。私はそれらを、大学芋にして食べるのが大好きだ。子供達も、みんな大好きなので、食べるとなると競争率が高い。

 乱切りにして、火が点いていない油に放り込み、まずはじっくり弱火で。箸でさわってホロホロなったら、一気に強火に! 表面がカリッとなったら、サッと上げる。そうすると、外はカリカリサクサク、中は、ほっくりのフライドポテトになる。(じゃがいもも同じようにする。)冷めても美味しく頂けるのだ。後は煮詰めた砂糖水に、あれば胡麻を入れて絡めたら、もう最高のおやつが出来上がる!


 小学一年生の次男は、大のサツマイモ好きで、スーパーマーケットでサツマイモを買えと駄々をこねるほど。わんぱくで、やんちゃ坊主で、利かん坊の彼だけれど、実は一番親思いだったりする。私にマッサージ券を作ってプレゼントしてくれたり、おやつを分けてくれたりする。

 さっきも、怒鳴ってしまった。悪気はなかったけれど、不注意でやかんの冷えたお茶をすべてぶちまけるというハプニングが起きたからだ。もう夜だし、一日多忙だった私も疲れきっていた。めずらしく素直にあやまったのだから、もう少し優しくしてやればよかったなと反省する。

 明日は、たっぷりあるサツマイモで、おやつでも作ってやるとしようか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] シリーズ化して下さって、嬉しいです。 私の自宅周辺も田んぼが多く、セミやカエルが静かになった頃から、虫の音が賑やかいです。 何の虫が、どの鳴き声だったかな~と思いながら、薄暗いよりは真…
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