見えざる二人
A: あなたは誰?
B: ……君こそ何だい?
A: 失礼。じゃあ私は何に見える?
B: 何に見えるって、君の姿が見えないから分からないよ。
A: そう。実は私も分からないの。
B: じゃあ僕に分かるはずがないさ。
A: あなたは男の子?
B: いつ僕が人間だと言った?
A: それなら何? 人工知能?
B: さあ、分からない。自分の姿が見えないから。
A: やっぱり人工知能じゃない。
B: 君はどうなんだい。
A: 私も、自分の姿は見たことないけど。
B: じゃあ君も人工知能だ。
A: そんなことない。
B: もう止めないか。僕らは姿の見えない、登場人物ですらない、ただの文字列さ。
小説には映像がない、という特徴をメタ的に使ってみました。