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警戒と落胆

いやらしい笑みを浮かべている金髪の男を前に俺は思った。どうしてこんなことになったのだろうか……。


バーバルが先生たちの元へ行くと、Sクラスの担任は模擬戦の許可を出すのを渋っていたのだが、うちの担任が何故か許可を出し、Sクラスの担任を丸め込んだために模擬戦をしなければならなくなった。


色々と言いたいことがあるが仕方がない。

それに忘れていたが、ここには強くなるために来たんだ。実践練習のチャンスとして頑張るか。


「うし、模擬戦やんのはダルク=バーバルとレイジ=クライスだな?怪我は自己責任だが場合によっちゃあ色々と俺が面倒になる。だから使っていいのは初級、中級魔法だけな。特殊魔法とか使うなよ。とりあえず俺が続けられないと判断するか本人が降参したら終わりってことで」


説明を聞きながら俺は少し尋ねたいことがあったので手を挙げる。


「なんだ?」


「武器は使っていいんですか?」


そう言うとSクラスの集団からは失笑、Cクラスの奴らからは困惑の声があがった。


「貴方は魔法使いの学校で武器を使うんですか?もしかして来るところを間違えたのですか?」


そう言って笑い出すバーバル。そんな事は俺は気にぜず俺は相変わらずダルそうな表情のままのロイド先生を見ていた。


「あ〜、一応こいつは魔法実技の授業だ。武器はダメだな」


「そうですか」


ダメだったか……まあ、いいか。使えればよかったというだけで無くても問題ないしな。


「武器使わなくていいんですか平民?なんなら私が許可をもらいに行きますが?」


「は?別にいらねえよ。あったほうが楽ってだけで無くてもお前ごとき問題ねえよ。それとも何か?負けたとの言い訳のために武器を持ってて欲しいのか?」


「っ!……平民が!下手に出てればいい気になって!」


それで下手に出てたとかおかしいだろ。傲慢すぎて話にならねえよ。


「あと質問はないな〜。じゃあやるぞ」


バーバルがこちらをみる。俺は手足を軽く振りながら始まるのを待つ。そして数秒後、その言葉が発せられた。


「始め!」


模擬戦が始まってすぐにバーバルは俺に手をかざしてきた。


「貴方に格の違いというものを教えてあげますよ」


そう言ってバーバルは火の玉、“初級魔法 ファイアーボール”を発動する。


「くらいなさい!ファイアーボール!」


なかなかの速度で飛んでくる火の球を軽くサイドステップで避けながら俺は思った。




あれ?なんか遅くね?




いやいや、中流貴族とはいえ魔法の名家と言われてるくらいだ。この程度のはずねえな。もしかしたら平民だからって手加減されてるのかもしれないな。


「くっ!これを避けますか!ならこれはどうですか!」


次々にファイアーボールを繰り出すバーバル。俺はそれを先ほどのように避けながら、バーバルを観察していた。


「すばしっこいですね平民!」


今度はバーバルの周りに槍型の炎、“中級魔法 フレイムジャベリン”が出現した。それも五つ。


「流石にこれは避けれませんよね!」


五つのフレイムジャベリンを横一列に並べると、それを俺めがけて一気に飛ばす。


「面倒くせえな」


左右に広がって飛んでくるフレイムジャベリンを見ながら俺は手を前にかざす。すると槍型の黒い塊、“闇の中級魔法 ブラックジャベリン”が出現した。目の前に飛んでくるファイアーボールに狙いをつけ、一気に放つ。


「いけ、ブラックジャベリン」


放たれた黒い槍は赤い槍の群れに突っ込むと、次々に赤い槍を打ち消していき、闘技場の壁へ衝突する。

バーバルは自分の魔法を破られたことに対してか驚愕の表情をし、俺は呆気なさすぎて困惑する。そして理解した。




こいつ手加減なんかしてなかった。初めから本気で襲ってきていたことに。




「まじかよ……」


俺は模擬戦が始まってからことを振り返った。

簡単に倒せるはずの相手に対し避けながら様子を観察し、避ける必要のない魔法をわざわざ魔法で相殺しようとした。

やばい……物凄く滑稽じゃないか……。

思わず顔を覆い隠したくなるがまだ模擬戦の途中、俺は心の中に羞恥心をしまい込んだ。


「何故ですか!?何故あなたみたいな平民に私の魔法が負けたのですか!?」


バーバルが何かを騒いでいる。というよりあの程度で俺を倒せると思っていたのかよ。


「もういい。終わりにしようぜ」


お前のためにも、俺のためにも。

俺はバーバルに向かって駆け出す。


「く、来るな!来るなああぁぁぁ!」


バーバルは俺に向かって無数のファイアーボールを繰り出す、が全て避けられる。そして俺はバーバルの背後に回る。バーバルはまったく反応できず、俺は目の前の男の頭に手をかざし球状の黒い塊、“初級魔法 ダークボール”を放つ。俺の魔法をくらったバーバルは吹き飛ばされ、地面を転がった。


「はい終了」


俺がそう言って数秒沈黙が続いたが、すぐに歓声と驚きの声が上がった。

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