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目覚める恐怖

「隊長、爆破の用意が整いました!」

作業服を来た男はピシッと敬礼をしながら言った。

「よし、いよいよか・・・。」

隊長と呼ばれた男は顎に蓄えた髭をなでる。

「私も立ち会おう。」

安全帽をかぶると呼びに来た部下を伴って歩き出す。

カツカツカツ・・・

後ろに続く部下に話しかけた。

「これでこの3ヶ月間の苦労が報わればいいんだがな。あのドラゴンもどきを始め、本当に苦難の連続だった。おまけに掘っても掘っても真新しいものは出てこない。まったく割に合わん。」

「ですが、今度こそ当たりだと、分析チームも言っておりますしデータからも十分に期待できるかと・・・。」

「ふん、やつらのそのいい加減な言葉は聞き飽きたよ。この前、未知のレアメタルがあるとかなんとかいって、化けミミズの巣をぶち抜いて、何十人もの作業員が犠牲になったしな。

今回もまたハズレだったら、外をうろつく猛獣どものえさにしてやるわい。」

「まぁでも、数週間前に到着したアレで外敵からの被害は減りましたし、これからすべてがうまくいきますよ。」

といって空を見上げる。何もないように見えるそこにはバリアシェルと呼ばれるもので覆われていた。バリアシェルは主にコロニーで使われているもので、電磁場の膜を発生させすっぽり覆うことで

万能ではないものの、外部からの脅威を退けることが出来た。

「まったく、政府の連中も対応が遅いんだよ!」

そう愚痴っているうちに現場に着いた。

少し離れた場所ある、ぽっかりと空いた洞窟からは一本の銅線がこちら側に向かって伸びていた。

「隊長、いつでもいけます!」

「よし、カウントダウン20で開始!」

「了解、カウントダウン20で入ります!20、19、18、・・・」

復唱後、爆弾のスイッチを持った係りがカウントダウンを開始した。

「5、4、3、2、1、爆破!」

ドォーン

篭ったような爆発音と共に洞窟から爆風と共に砂煙が飛び出した。

「うまくいったようだな。」


煙が晴れ、洞窟の中の確認をしに入っていった先行隊に、しばらくして無線を入れた。

「どうだ、何か見つかったか?」

「隊長、それがその・・・なんといったらいいか・・・。」

いいよどむ先行隊に業を煮やし

「はっきり言わないか!もういい、私も今からそっちに行く!」

と部下を引き連れ洞窟の中に入っていっく。穴に入り100メートルほど行くと先行隊と合流すた。

どうやらそこで行き止まりらしい。

「一体どうしたというんだ。」

前にいる先行隊を押しのけ前に出ると、安全帽についたヘッドライトをオンにしてその行き止まりを照らした。

「な、なんだこれは・・・」

ヘッドライトの光に映し出され目の中に飛び込んできたものは、ヌラッとした赤い壁だった。

近寄って触ると、それは弾力があって生暖かかった。

ドクン、ドクン、ドクン

よく見ると脈を打っている。

「生き物なのか?鉱石ではないよな、ええい、分析チームのやつらめまたしくじりおって!」

驚きと落胆、そして怒りの声を漏らした。

・・・また変なものを掘り当てしまったー。・・・

そこにいる全員がそうおもったときだった。

グラグラグラグラ・・・

突然洞窟全体が揺れ始めた。

「地震か?!、全員今すぐ洞窟の外へ出るんだ!」


洞窟の外に出ると、待っていた部下達が駆け寄ってきた。

「隊長、この地震はいったい何が起こったんですか?」

「私にもわからん、と、とにかく地震が収まるまで避難だ!」

「隊長!大変です!」

部下の一人が手に持ったモニターを覗き込みながら声をあげた。

「今度はどうしたんだ!」

「いま震源地を割り出そうと、衛星からのデータを受信したんですが、ここ半径1Kmの範囲を含む一帯が移動しているんです。」

「な、なんだって?そんなバカなことが・・・」


ドカーン


突然後ろの岩肌が炎に包まれた。

「次から次へと、今度はなんだ?!」

「あ、あ、あ、」

脇にいる部下が空を見上げ、指差しながら口をパクパク開いた。

それにつられて上を見上げると、無数の影が宙を舞っている。

それはドラゴンもどき・・・ディノサウルだった。

「どうしてあいつらがここにいるんだ?バリアシェルは一体どうなってる!」

「どうやら今の地震でバリアシェルが故障たようです、」

「なんだと、ええい、さっさと駐屯しているTB部隊に応戦するように伝えろ、あと大至急この事態を惑星中央政府の本部に連絡するんだ!」

そうこうしているうちに、空からディノサウルの大群が降下を始めた。

「わぁあああああ!」

「たすけてくれぇぇ!」

「こっちにくるなぁぁあああ!」

逃げ惑う人々、そしてそれに襲い掛かるディノサウル。

惨劇の宴は始まったばかりだった。




「なんだって!採掘所が壊滅・・・・?!」

ロイドが依頼品のタケキノコを持ってギルドにいくとすでにその話題で持ちきりだった。

「ああ、今さっき惑星中央政府から入った確かな情報だ。何でも襲撃を受けたらしい。」

ファン爺はタケキノコの報酬をロイドに手渡しながら言った。

「襲撃って・・・ドラゴンか?」

ロイドの頭に一瞬、フリューレのことがよぎる。

「いや、そこに以前から住み着いていたディノサウルとかいうドラゴンもどきらしい・・・、その襲撃の直前に起こった地震でバリアシールドが壊れたのが運の尽きだったらしい。」

「ディノサウルが?」

「何だロイド、ディノサウルのことを知っているのか?」

「ああ、実は・・・」

そういいいながら小脇に抱えていたクーラーボックスを差し出した。

「これは・・・?」

「これは俺が倒したディノサウルの肉片だ。たまたま出くわしたんだ。ここら辺では見かけないやつだろ?サンプルとしてもって帰ってきたんだ。」

「う~む。」

ファン爺はじっとロイドを見つめ、そして口を開こうとしたときだった。


「た、たいへんだ!」


ギルドの中央にある情報管理担当の職員が叫んだ。

「どうしたんだ?」

ギルド中の全員が注目が集まる。

「み、みんな、聞いてくれ。今惑星中央政府から入った情報なんだが、北東の山脈地帯に巨大生物が出現。その大きさ、推定、高さ800メートル、最大幅2キロ!」

「なんだその馬鹿でかい大きさは!山じゃねぇかよ、」

「何かの間違えなんじゃないのか?」

「北東山脈ってって言えば今日壊滅した鉱山発掘場があったとこじゃ・・・!なにか関係があるのか?」

やんややんや、取り巻きが騒ぎ始めた。

「みんな、静かにしてくれ、まだ続きがあるんだ。その巨大生物をデータベースと照合したところ、昔の文献からテラメノムと判明。今現在、『ドゥム・スピーロー』方面に向かって南下中。だが方向を変える可能性もあるため、追って連絡する・・・。」

みんな自分の耳を疑い、一瞬にしてシーンと静まり返った。

そして、

「い、今、なんていった?」

「『ドゥム・スピーロー』方面って・・・、こっちに向かってきてるんじゃんかよ!」

「そしたら、あそこのコロニーもやばいじゃんかよ、」

「やべぇ、逃げないと!」

「おい、逃げるっていったって、どこにだよ!」

ギルドの中はもう収集がつかないくらいに騒がしくなる。

「こいつはえらく大変なことになったな・・・。」

ファン爺は禿げた上げた頭をなでながら深くため息をついたのだった。




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