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笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第2部:才能の値段 第1章 輪を広げる 高等学校二年生

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第87話 私なりの戦い方

「では、今回はマリーナとカリウスの企画で行くとする」


 レオニス先生の判定で『美しさ』勝負はマリーナ&カリウス組の勝利となった。


 マリーナたちは光るネックレス。

 ちょうどデコルテに当たるあたりに薄い灯りが灯るように仕掛けを入れることで、色の白さや顔の明るさ補助に繋がるというもの。


 リディアたちはドレスの裾に這わせる刺繍の中に光る石を配置し、不定期に光らせるというもの。


 どちらも「光」のアプローチだったが、光が主役になるリディアたちよりも、光を補助に抑えて本人を輝かせるという理由からマリーナたちに軍配が上がった形だ。

 そして……。


「お前は生意気な口をきいた割に、テーマから逃げるとはどういうことだ?」


 はい、言い返す言葉もありません。

 だって『美しさ』なんて、まだよく分かんないんだもん。

 私だって本当は……。

 膝に置いた手を握りしめ、なんとか言い返したい気持ちをこらえる。


 レオニス先生はそんな私をじっと見つめていたが、ふっと視線を切り、


「お前は罰として自分で考えたものを形にしろ。マルクスたち四名の手伝いは認めない」


 そう言って机に戻った。

 すかさずマリーナが私に駆け寄ってくる。


「セレナ、せめて相談くらい……」


「ううん、それじゃ私のアイデアじゃなくなっちゃう。今の私にはこれが精一杯だった。それが知れただけでも良かったよ。でも気持ちはありがとう」


 そう伝えてマリーナを軽く抱きしめる。

 マリーナの気持ちはとても嬉しい。

 だからこそ頼れなかった。

 もう手を引いてもらう年じゃないから。



 あの冬、王都の美術館でアミーカに大泣きさせてしまった後悔が蘇る。

 もう二度とあんな間違いは犯さない。

 マリーナが私よりも先にいるなら、追いつくよう努力するだけだ。

 それでこそ初めて「親友」と呼べると思うから。



「みんなはそっち頑張ってよ。それに……言っとくけどテーマが違っただけで、支持されるかどうかなら負けるつもりはないからね?」


 そう強がりを言って、私はみんなに笑顔を見せる。

 みんなも私の心は分かってくれたのだろう。

 仕方ないなぁといった笑顔を返し、


「分かった。セレナさんに負けないような仕上がりにして見せるよ。どっちが勝つか勝負だね!」


 とマルクスが珍しくそんな気遣いを見せた。

 その時レオニス先生がこちらを向く。


「お前たち、魔導具も必要だが、肝心の『ミラビリア』の企画を進めるのも忘れるなよ」


 その言葉に私たちは


「あ……」


 と顔を見合わせる。


「まったく……。集中するのは良いことだが、常に頭の片隅に冷静な自分を置いておけ」


 と、かなりの呆れ顔で私たちを見下ろす。


 ◇◆◇


 そこからの二ヶ月はまさに研究室総動員といった様相だった。


 平日はマリーナたち四名はネックレスの回路を詰めたり、実際に女性教師に付けてもらって具合を確かめたり。


 私はひとり寂しく……なんてね。

 レオニス先生の言葉を思い出して欲しい。


『自分で考えたものを形にしろ。マルクスたち四名の手伝いは認めない』


 つまり一人でやれとも言われてなければ、手伝いを認めてないわけでもない。

 というわけで。


「セレナさん、ここは風の回路の起点でいいんだよね?」


「シルヴァーノくん、この中の耐水付与についてなんだが……」


 私たち以外の同学年魔導具科、全員に協力を仰ぎ、だいたい一日十人くらいが手伝いに来てくれている。


 私は『ミラビリア』の企画を進めつつ、たまにみんなの作業を見て回り、質問や相談に答える。

 まるで研究室の中に私の研究室が出来たようだ。


「ねぇ、あれズルいよね?」


「セレナらしいといえばらしいけど」


 リディアとマリーナのそんなひそひそ話が聞こえても聞こえない振りだ。

 ちなみにレオニス先生は私たち以外にはあの厳しい顔は見せていない。

 要するに、


「レオニス先生、この前の授業で分からなかったところがあって……」


「先生、今度みんなでお出かけしませんか?」


 ご覧のとおりだ。

 ここのところ素顔を出すヒマがなく、こめかみがピクピクしてるのをよく見るけど、きっと好かれて嬉しいんだよね?


 ……魔導具作り終わったらしばらくここ来ないようにしないと命が危ないかもしれない。


 ちなみにティミナとクーラも同級生に混じって私のお手伝いをしてくれている。

 何せ普段から私たちにも鍛えられている。

 その腕前は同級生にだって引けは取らない。

 先輩たちから褒められ、可愛がられ、彼女たちも嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった感じだ。


(なんかサークルみたいで楽しそうだねー)


(……あんたはその前に言うことがあるはずでしょ)


(ご、ごめんって。次はちゃんとドアを作るからさ)


 サークル。

 確か澪の世界で、なんとなくみんなで集まって一つのこと楽しんだりする集団だっけ?


 確かにこの状況はそう言われたらそうなのかもしれない。

 魔導具を作るのが好きな子たちが集まって、授業とは別の一つの目的に向かって協力していく姿は、見ていてとても嬉しい光景だ。


 こんな風に楽しんで魔導具を作れるみんながいるなら、この国の魔導具師たちの未来は明るいのかもしれない。



 柄にもなくそんなことを考えた自分に苦笑し、私はあらためて企画書に目を落とした。


出来ないものは出来ない、でも孤独にはならない。セレナが誘い、クラスのみんながノッてきたのも、学校の雰囲気が変わった証拠ですね。


次回、第88話「動き出す舞台」


参加する高等学校がいよいよ決定。約束の三校は確保できたのか。また会のテーマはどうするのか。色々なことが動き出す回となります。



自分がクラスや部活、サークルの主体になって、みんなを動かしたことってあります?

私はだいぶ昔ですが、ネット上のサークルみたいなものを立ち上げて、それを運営してたことがあります。

その程度でもいいので、もしあったら教えてくださいね♪

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