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笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第2部:才能の値段 第1章 輪を広げる 高等学校二年生

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第85話 美の違和感

 マリーナから服を借り、さらにアイデアもバレたのでマリーナ、カリウスと共にウルヴィスの街の高級な服飾店に赴く。

 とりあえず学校の課題で、大都市で扱っている女性を美しく見せるための服や化粧について調べてるということにした。

 ……うん、そんなに間違いじゃないよね?


「珍しいわね、高等学校ってあまり街に出て何かを調べたりとかはしてなかったはずなのに」


 店員さんにそんなこともツッコまれつつも、あの『光るオルゴール(ムジカルーチェ)』の生徒たちと分かったことで、学外と積極的に繋がろうとしてると信じてもらえたようだ。

 この店員さんも講座の参加者で、しかも午後の方に来ていたらしい。


「あのオルゴールね、旦那の誕生日にあげたのよ。そうしたら毎晩の晩酌の時に流すようになってね、すごく素敵な夜を過ごせてるわ。本当にありがとうね」


 そう言ってシレッとカリウスの手を握るあたり、店員さんもやるなぁといったところである。

 当のカリウスは表情一つ変えず、


「ありがとうございます」


 と答えるが、それもまた良かったようだ。

「あと十年若ければ……」という言葉が漏れ聞こえた。


 結局そのお店では貴族用のドレスのことや、今王都で流行っているメイクのことや、お肌の手入れなど、たくさんのことを聞けた。

 入れ替わり立ち替わり店員さんが代わって教えてくれたからだ。

 学生に教えるのはよほど楽しかったらしい。


 なんか知らないけど挙句の果てにはお店の店員さん三人くらいと一緒に夕ご飯でも……という話になったが、私とマリーナが寮に用意されてるからと断ったため、また今度となった。

 その時はカリウスも一緒にとなったので、店員さんが楽しかったのはこいつのおかげかと思い知らされたけど。


 カリウスと別れ、寮に戻ってきた私たちはご飯だけ食べて部屋へ戻ると、それぞれの机に突っ伏した。


「マリーナぁ、疲れたよぉ……」


「あれはきつかったね。私はああいう人との相手もしたことあったけど、それでもきつかったもん」


 そう言いながらもすぐに起き上がって歯磨きを始めるあたり、きっと言うほど疲れはないんだろう。


「セレナはどうするの? 何書くか決めた?」


「ヒミツ……って言いたいところだけど、正直まだかなぁ。ドレスだのメイクだの言われてもピンとこなくてさ」


 口をゆすぎ終わったマリーナが、タオルで拭きながら


「そうしたら何か一緒に考える? カリウスくんとは別に考えるからさ」


 と助け舟を出してくれる。

 あー、すごく助かる。助かる……けど。


「ありがと。でも一人でやってみるよ。マリーナとリディアにもこの前少し教えてもらったし、出来る限り頑張ってみる!」


「ふふっ、セレナならそういうと思った。じゃあ一つだけ。貴族はすみずみまでピン! と張り詰めたところに美を感じることもあるからね」


「え、痛そうだけど、何、ピン! って?」


 するとマリーナは制服のスカートの折り目を軽くキュッとスジをつけ直す。


「ほら、こうすると他の折り目よりピン! と立ってキレイに見えるでしょ? これを保つのは大変だけど、だからこそそういう一瞬の儚さみたいなところに美を感じたりするの」


「でも全部これだと変じゃない?」


 そう言うとマリーナは笑って


「そうだね。だから全部じゃなくてちゃんと周りとのバランスはとってね」


 そう言って顔を洗い始める。

 先に歯ブラシだけ濡らさせてもらって、私は歯を磨きながらボーッと外を眺めて考えていた。


 ピン! にバランス、ねぇ……。

 そう言えば今日見せてもらったドレスの絵は、どれも生地がたくさん使われてて、すごく豪華だったけど、重くないのかなぁ?


 私は口をすすぎ終わると、マリーナに、


「ねぇ、マリーナ。ドレスってあんなに布使ってて重たくないの?」


 と聞いてみる。

 顎に人差し指を当てながら、マリーナは


「うーん、確か重たいらしいよ。だから本当に重いやつは、舞踏会の時だけ軽量化の魔法をかけてもらうとか言ってた」


 そう言ってパジャマに着替え始める。


「そんなの付与したらよくない?」


「なんかね、すぐ抜けちゃうんだって。一ヶ月もしたら駄目になるから、都度魔法かけてもらうほうがいいらしいよ」


 マリーナが言うには、軽量化の付与の定着液と、ドレスをふわっと広げるためのパニエってやつによく使われる素材とが相性悪いことが多いらしい。


 パニエが変に硬くなって動きづらくなるとか。

 だから付与できないことはないけど、定着液がないから厳しいそうだ。

 あちらを立てればこちらが立たず。

 まるでちょっと前の『ミラビリア』で悩んでた私たちみたいだな。


「変に膨らませることこだわらないで、スッとしたドレスもキレイだと思うんだけど、貴族のこだわりは私にも分かんないね」


 マリーナはそう言ってベッドに潜り込む。

 私も顔を洗い終わり、パジャマにも着替えた。


「眠いねー、早く寝よ」


 そう言うマリーナに「そだね」と応えて、私もランタンの灯りを消してベッドに潜り込む。

 五分もすると、あっという間にスー、スーというマリーナの寝息が聞こえてきた。

 疲れてたのは本当だったのね。


(さて、澪。作戦会議始めるよ)


(なんか考え固まった?)


 うーん……


(まだ。でも少し見えたものはあるよ)


 OKということなのだろう。

 私の意識はあっという間に闇に引きずり込まれ、遠くから澪の呼ぶ声が聞こえてきた気がした。


カリウスのお姉様キラーなところはもはや罪ですね。何が罪って、これ本人、自分の顔は気に入られると知っていながら、やってますからね(笑)


次回、第86話『美しさの土台』


今日の勉強でセレナが感じたことを、澪と一緒に形にしていきます。澪と会う場所は、最初は花畑、次は闇の中、桜の園に海と来て、明日はどんなシーンでお話をするか、予想しながらお待ちください(^O^)



今日は疲れ切って二人ともすぐ寝ちゃいましたが、寝る前はホットミルクかココア飲んで寝てます。みなさんは寝る前に必ず何かすることってありますか?

もしあったら教えてくださいね♪

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