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笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第2部:才能の値段 第1章 輪を広げる 高等学校二年生

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第84話 定まった舞台

 結局魔導具の全国イベントは、当初考えていた通り、全国魔導具品評会『ミラビリア』でいくこととなった。

 校長によれば、うちを除いた全五校のうち、二校なら特別な賞金などがなくとも参加してくれるアテがあるとのこと。


 どうやらどちらの学校にも奇人・変人がいるらしい。

 その話を聞いた瞬間、私だけがレオニス先生を見て、他全員が私を見つめたのには暴れだしそうになったけど。


「高等学校の半分が参加するイベントだ。人の口にはのぼるだろう。すると今度はこう話が出るはずだ。『何故他は参加していないのか?』とね。そこに対して説得力のあるものを用意できれば君たちの勝ちだ」


 参加してないことへの説得力ってなんだ?


「つまり、参加しないのは私たちほどの魔導具を作る自信がないからでは? と煽るためということかしら?」


 この間の温泉以来、頑張って口調を整えているリディア。

 たまに地が出ちゃうことはあるけど、私から見てもとても頑張ってると思う。

 恋に恋する乙女はすごいね。

 いや、からかいじゃなくて、本当にそう思うよ。


「その通り。その状況が作れたら他の高等学校は出てこざるを得なくなるわけだ」


 さすが校長。

 人をハメるための悪知恵がすんなり出てくるところを見ると、この間の枯れ具合は演技だったんじゃないかとすら思える。


「とは言えこんな無謀な策は、レオニスくんと君たちが揃っていなければ、即ゴミ箱行きだ。いや、揃っていても相当難度は高いが……出来るかね?」


「やるしかないならやるまでよ! ねぇ、みんな」


 振り返ってみんなに呼びかけると、誰もが気合に満ちた顔でうなずく。


「あ、あと先生は今回魔導具開発では出張ってこないでね」


「ああ、最初からそのつもりだが?」


「なっ! それで本当に出来るのかね!?」


 私とレオニス先生のやり取りに、驚愕の表情を浮かべる校長だが、


「「これが普通ですから」」


 奇しくも私とレオニス先生のハモった返事に、校長はヨタヨタと後ろに下がり、そこにあった椅子に座り込む。


「てっきりレオニスくん指導の元動いてるかと思っていたが……ハハ、強いわけだな、君たちは」


「このサディストが素直に教えてくれることなんか、そうそうないけどなぁ……」

(先生はいつも温かく見守ってくれてますよ)


 クイッ、クイッ。


 マリーナが私の制服の裾を引っ張る。


「何よ、マリーナ?」


「セレナ、心の声出ちゃってる……」


 あ、あれ? 逆になってた?

 レオニス先生を見ると、眼鏡をクイッと上げて、とてもいい笑顔で私に笑いかけている。

 私はもう苦笑いで誤魔化すしかなかった……。


「何も一つをみんなでやる必要はないなぁ。よし、セレナ一人と他の四名で予選をやろう。どちらか優れた方の企画を進めることにしようじゃないか」


 あー!

 やっぱり誤魔化しきれなかったかぁ。

 それにしても一対四って酷くない?


「せ、先生、それはいくら何でも酷いです。それなら僕たちも一人一人で企画を作らせて下さい」


「ふむ、確かに一対四はバランスが悪すぎるか。ではこうしよう」


 そう言うと先生はマルクスとリディア、カリウスとマリーナのペアを組ませ、三組での企画発表とした。

 結局私は一人なのね。

 こうなったら……。


(澪、二人でやろう!)


(いーよ。さすがにセレナだけ一人じゃ可愛そうだし。でも方向性くらいは考えといてね)


(OK!)


 よし、これなら不利は補える。

 レオニス先生すら知らない、私のとっておきの隠し玉だ。


「ところで何の企画やればいいの? さすがにそこまでフリーとは言わないでしょ?」


「ん……、そうだなぁ」


 レオニス先生が悩んでいると、校長が横から入ってきた。


「出来ればで構わないんだが、最初の一回は王都の高等学校を引き出すために、ある程度貴族もターゲットに出来るものを作った方がいいかもしれんぞ?」


 なるほど、校長の対応できる中に王都の高等学校は入ってないんだな。


「貴族ですか。となるとあまり生活に根ざしたものではない方が良さそうですな。……よし、お前ら『美しさ』をテーマに企画を考えてみろ」


 う、美しさっ!?

 レオニス先生の口から、とても似合わない言葉が飛び出し、私は思わず笑いそうになり口を抑える。


「まだまだペナルティが欲しいのか? いくらでもやるぞ?」


 冷えたその言葉にピタリと笑いを止めるが、腹筋は今にも爆発しそうだ。


「あー、別に俺の趣味ではない。貴族でお前らにも分かりやすいテーマとしてはこれくらいしか思いつかなくてな」


 そういうとレオニス先生は本棚から一冊の本を取り出し、私たちの前に広げる。

 そこには貴族の、特に女性の様々なドレスが紹介されていた。


「貴族も庶民も女性の輝きは一つのステータスだ。貴族は特にそれが顕著だがな。女性自身が光り輝くことももちろん、女性を光り輝かせられる男性の器まで図られる」


 するとレオニス先生はマルクスとカリウスを見て、


「お前らもせいぜい気をつけろよ? 愛だの恋だのだけで結婚やら付き合いやらなんかすると、失敗してきたやつを俺は山程見てきたからな」


「うちのパパとパステルさんとか?」


「あぁ、あれは酷かったな」


 …………


「おいセレナ、お前そんなことまで聞いてるのか?」


「っていうか会ったよ。――ママも一緒に」


 するとレオニス先生は眉間を揉み、


「そ、そうか。元カノと妻に挟まれるとは、ルキウスも大変だったな。今度酒でも贈っておこう」


「案外楽しそーだったけどな。主にママが」


 やれやれと首を振るとレオニス先生はみんなを見回す。


「さて、話を戻そうか。女性を輝かせる『何か』を考えてこい。期間はとりあえず五日やる。あぁ、言うまでもないが魔導具だぞ?」


 手早くそれだけ言うと先生は机に戻る。


「お、おいレオニスくん。それだけか? もっとヒントとかなんとか……」


「あー、校長。これが普通だから大丈夫ですよ。五日後、腰抜かすほどの企画見せつけてやるんですから。ねぇ?」


 私のセリフに笑ってうなずくみんな。

 そう、一年もここに慣らされたらこんなもんである。

 きっとティミナとクーラも来年には立派に図太い二年生になってることだろう。



 しかし……『美しさ』ねぇ。

 最近マリーナとリディアにあれこれ服の勉強させられた私にはある意味ハードルが高いな。

 ちょっと明日街の高級服飾店に行って話を聞いてみよう。



 ……その夜、高級服飾店に行くための服がないことに気付き、マリーナに泣きつくハメになるとは、この時は思ってもいなかったんだけどね。


誰かセレナに「口は災いの元」という言葉を教えてあげてください(笑)

昔もこれでママにやられそうになったというのに……


次回、第85話『美の違和感』


マリーナから服を借り、マリーナ&カリウス組と一緒に街の服飾店へお勉強。その中でセレナは気になることがあったようですが……



セレナへの罰はレオニス先生と仲がいい証しでもありますが、先生や上司と仲良過ぎて逆に損したっていうことありますか?

もしあったら教えてくださいね♪

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