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笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第2部:才能の値段 第1章 輪を広げる

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第70話 深まる技術、動き出す世界

「あー、終わったぁ……えぇっ!!」


 研究室に入ってきたリディアは、私とマリーナの前にうずたかく積まれた魔導回路を見て、目をむいた。


「おかえりー。終わらせておいたよ」


 私とマリーナが顔を見合わせてヒヒッと笑うと、続けて入ってきたマルクスくんが、


「こ、これは。まさか本当に終わらせてしまったのかい?」


 と聞いてくる。

 カリウスくんも顔に軽い驚きを浮かべていた。

 よしよし、珍しいものが見れたから満足だ。


「ほう、だいぶ慣れたようだな」


 レオニス先生がさして驚くふうでもない感じで入ってきた。

 そして魔導回路をひとつ、ふたつ持ち上げて出来栄えを確認するかのように目を凝らす。


「ふん、まあまだ粗さは残るが、ここまで出来ていればいいだろう」


 そう言ってぽいっと山に放り投げる。


「ちょっ、もっと大切に扱ってくださいよ。私とマリーナの努力の結晶なんですから!」


「言ったろう、製作が苦手な俺でもこのくらいは出来ると。威張るほどのことではない」


 へぇ、そういう態度に出るなら見せてやる。

 マリーナを見ると、同じ気持ちらしい。

 私たちは同時にうなずいた。


「じゃあ、まだ未完成ですけど、これも威張るほどのことではないんですかね?」


 先程同様に机に素材を置き、対面からマリーナが監視の体制を取った。


「みんなも見てて。たぶん最後までは出来ないけど、次のステップだから」


 そう伝えて作業を始める。

 始めに六本の直線を一気に焼き付ける。

 それを見たみんなは


「なっ!」

「おおっ!」

「なにそれっ!?」


 と各々驚きの声を上げる。

 そしてレオニス先生は……

 あーあ、固まっちゃった。

 声すら出てないや。


 で、結果三分の二くらいで集中力持たなくなってやめたんだけど、その瞬間にレオニス先生が血相を変えて私の両肩をグイッと強く掴む。

 研究室にピリッとした空気が漂った。


「どうやってこの技を? 錬金術ギルドでも十年は経験を積んだ中堅が挑み始める技だぞ!」


「んー、才能?」


「そういうおふざけはいらん!」


 そう言って私を軽く突き飛ばす。

 今日三回目の同時制御の後で、身体にそうとう疲れがあったらしい。

 思わず二、三歩後ずさって耐えきれず、ペタンと床に座り込んでしまった。


「せっ、先生、セレナは病み上がりなんですから!」


 マリーナの非難にもレオニス先生は揺れる素振りはない。

 これは相当本気で知りたがってるんだな。


「そうですね、もう少し詳しく言うと、ママから習った回路図の分解と、魔導科で見た複数魔法の制御を見て、分解した回路を同時制御で一気に焼き付け出来たら……って思ったんです」


「でも見ての通り一回の疲労が激しくて、今の私にはまだ補助付きで一回成功するのがやっとですけど」


 そう伝えてみるが、レオニス先生の視線は相変わらず冷たい。

 しかし諦めてくれたのか、はぁ、と大きくため息をつくと


「ふんっ、まあいい。予想以上に早く魔導回路は出来上がった。他の三人も直接焼き付けはほぼ形になったしな。ならば貴様らにさらに課題を与えてやろう」


 と、恐ろしいことを言い出した。


 ゴクッ……

 誰かがつばを飲み込む音が聞こえた。

 直接焼き付けだってハードル高かったのに、さらに課題って何だろう。


「公開講座まであと一週間もあるな。当日、お前らだけで講座を担当しろ」


 …………


「えーっ!!」


 四人の叫びが一つになって響き渡る。

 もちろんカリウスくんはどこ吹く風だ。


「先生がやるっていうから許可をもらってるのに、生徒でまわすとかダメに決まってるじゃないですか!」


「もちろん当日は俺もその場にはいる。ただし最初と最後の挨拶だけで、他はお前たちに任せて会場の後ろで高みの見物としゃれこませてもらおう」


 この教師〜!

 わなわなと拳を震わせていると、


「面白そう! やってみようよ、みんな」


 と、マリーナがえらく前向きな反応を示してきた。


「どうしたのマリーナ。そんなにやる気になっちゃって?」


「え? だってみんないつかは誰かに『伝える』立場になるんだよ? しかもその時っていきなり本番だよ、きっと。先に練習出来るならこんな嬉しい機会ないじゃない」


 なるほど、そういう考え方もあるのか。

 私は初等学校で先生に、貴族当主に、そしてクラスのみんなにと伝えてきたからあまりピンとこない。

 いわゆる本番をいくつか超えてきてるのだ。


「もちろんもうやったことある人いるかもしれないけど、今回のシチュエーションは初めてじゃない? きっと新しいこと見つけられるよ」


 先程から珍しく熱っぽく語るマリーナの口調に、三人とも目が輝き始めてる。


 そっか、また頭でっかちになってた。

 まずは飛び込む。

 そこから何を掴み取るかは私次第だ。

 悪い癖が出てしまっていたことに、つい頬が熱くなってくる。


「よっし、じゃあやろう! いざとなったら失敗の責任はレオニス先生に被せて、私たちは逃げちゃえばいーよ」


 私の言葉に苦笑いを返すみんな。

 まあ当人を目の前にして大笑いは出来ないか。

 ほら、憮然とした顔してるし。

 すると一言だけ。


「いいか、公開講座は魔導具の「ま」の字も知らん者が参加してくる。今のような制御だの焼き付けだのとは別次元の話し方が必要になるので、そこだけは注意しておけ」


 そう言うと、壁にもたれかかる。


「とりあえず明日から当日どうやって進めるかしっかり話し合おう。じゃあ今日は解散!」


「なんであんたが仕切るのよ!」というリディアのツッコミをもらいつつ、この日はそれで終わった。


 ◇◆◇


 それから一週間。


 まず学生の責任者を決めようとなったが、全校集会のことを引っ張り出され、またセレナでいいんじゃん? という無責任なリディアの一言で私に決まった。

 同時制御を見せたことも手伝ったらしい。

 余計なことしなきゃよかった……グスン。


 当日のプログラム、誰がどのエリアを担当するか、トラブルが起きたときの対処の方法等を決めていくと、一週間なんてあっという間に過ぎていった。



 そして本番当日。

 次から次へと集まってくる参加者たち。

 大勢を相手に私たちの講義が果たして受け入れてもらえるのか。


 いよいよウルヴィス高等学校、史上初の公開講座の幕が開く。


本人面白そうというだけの気持ちで、

大きなやらかしをするのが

セレナのいいところ(?)


次回、第71話『見誤った価値』


レオニス先生からの無茶ぶり、

セレナ達は何を見誤ったのか?



休みの日に自分のスキルアップのため、

何か講座とかに出たことある人は

いますか?

良かったら教えて下さいね♪

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