表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第2部:才能の値段 第1章 輪を広げる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/69

第65話 危機意識の個人授業

「さて、残ってもらったのは他でもない。お前自身についてだ」


「え、パパからの伝言は?」


 騙されたか? と、小さく胸が跳ねた。

 そして少し身を固くする。


「あんなのは方便というやつだな」


 そう言って自分の机の引き出しの鍵を開け、手紙を取り出して開く。


「なになに、低温蒸し調理に照明革命、『三爵の盾』ね。十日に満たない王都旅行でなかなか派手に過ごしてたそうじゃないか、お前」


「なっ!!」


 パパ……しか、いないよな。

 なんで?


「ルキウスからしっかり頼むと言われてな。しかし俺はお前をタダで守るつもりはない」


 するとニヤッと笑い私を見据える。


「とは言え、これだけ楽しそうな人材を放置する気もない」


 ちょっと嫌な笑いだ。

 私は先生を見る目を少し細めた。


「つまり、高等学校で俺の力を借りたければ、俺の役に立て。そうしなければ他の生徒には単なる贔屓に映る。それを伝えたくて残ってもらった」


「つまり役に立たなければ放置すると?」


 レオニス先生は眼鏡をクイッと上げる。


「それはそうだろ。贔屓に怒り、あれだけのことを成し遂げたお前たちを、俺が贔屓してそれを当たり前に受け入れるなど意味が分からん」


「でも私を頼むと言われて見捨てたら、パパに会わせる顔ないんじゃない?」


「ああそうだな。だからこうする」


 すると手紙を丸めて空のバケツに放り込むと、次の瞬間あっという間に燃え尽きた。


「ええっ!!」


「なかなか便利だろ? これならゴミ捨てに行く手間がかなり減らせる」


「ってかパパの手紙!」


「ああ、そんなものは最初からないぞ。あんな危ない話を文書に残し、あまつさえ見知らぬ誰かに預けるなど正気の沙汰とは思えん。直接聞いたのさ、お前が合格してからな」


 直接? 私が合格決まってから……?

 ――あっ!


「思い至ったようだな。そう、合格通知が届いてすぐに出張とかいう理由で家を空けたことがあったろう。その時だ」


 そう言うとレオニス先生は窓の近くへ歩いていき、私の方を振り返る。


「お前の発明は素晴らしい。グレッダがいたとは言えその後の身の安全の確保も見事だ。しかしここは今すぐ誰かが守ってくれるような場所ではない。事が起こった後なら侯爵家も動いてくれるだろうが、その頃にはお前の身に危険が及ぶ可能性は高いだろうな」


「例えば……俺がこの場でお前に襲いかかるとかな」


 そう言うと一歩、二歩とゆっくり私に向かって歩みを進める。

 襲う……って、どっち?

 私はあまりに急な展開に頭が全くついていかず、身体は全く動かせずにいた。


 そして目の前まで来たレオニス先生が、ゆっくりと手を伸ばしてくる。


「ひっ!」


 思わず身体を縮め、目を閉じる。

 すると、


 ――パカンッ!


「いたっ!」


 目を開けると、呆れた顔をしたレオニス先生。

 片手にはいつの間にかクリップボードを持っていた。


「お前は隙がありすぎる。そんなことでは守ろうにも守れん。もっと危機意識を高く持て」


 私は一気に緊張がとれた勢いで、少し泣きそうになる。


「そんなこと言われても……どうしたらいいんです?」


 レオニス先生はハァ、と大きなため息を吐き、


「そんなことは自分で考えろ……と、言いたいところだが。ひとまずこれだけは守るようにしておけ。出来る限り一人になるな。マリーナでもリディアでも、場合によってはマルクスやカリウスを頼っても構わん」


「ルキウスを悲しませるようなことにならんよう、ゆめゆめ気をつけろ。以上だ」


 そういうと再び自分の机に戻っていき、書き物を始めてしまった。


 私は今になって胸が思ってた以上にドキドキしていることに気付いた。

 本当に……怖かった。


「先生……今みたいに一人の時はどうしたらいいですか?」


 するとこちらを見ようとはせず、机から顔だけ上げて


「お前は氷属性があったな。魔力強度はいくつだ?」


「Bです」


「調整訓練の必要はあるが、それで相手を凍らせてやれ。足だけでも地面に張り付かせれば接近は防げる」


 そう言うと再び書類に目を落とした。


「……ありがとうございました。失礼します」


 いまいち納得のいく答えではなかったけど、たぶんあれ以上は無理だろう。

 私は諦めて部屋を出て行った。



 ……明日は魔導科で訓練が出来るらしいから、何かいい魔法とかないか聞いてみよう。


 ……一人にならず、氷魔法の自己防衛を覚え、仲間への連絡手段を確保する。

 一つ一つに答えを見つけ、高等学校と言えど油断をしないよう過ごそう。


 私は未だ高鳴りのおさまらない胸に握り拳を当て、廊下の窓から空を見上げた。


一歩引いてセレナを見守ると言いながら、ついつい助言をしちゃうレオニス先生。

セレナは今回災難でしたね……


次回、第66話『演習場で迫られる選択』


魔導科演習場でそれぞれの特訓が始まる中、セレナに迫られる選択とは?



勝手にレオニス先生に事情を伝えてたパパ。

これ、


①勝手に話すな、大切なことをー!

②そんなに心配してくれてるんだ……


あなたがセレナの立場ならどう思いました?

良かったら教えてくださいね♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ