表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第1部:守られる才能 第4章 選び取った立ち位置

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/86

第54話 終わらせ方を知る

「ねえ、去年くらいまで学校のあちこちでイタズラ騒ぎあったじゃない?」


 わたしがそう聞くと、みんなが思い当たる節があるようにうなずき、「でもここ一年静かだよな」という声も上がる。


「あれ、私とアミーカだったんだよね」


 …………


「「えぇーーーっ!!」」


 今明かされる『つむじ風コンビ』の正体!

 クラスのみんなは大騒ぎだけど、今回これは本題じゃない。


「あれさ、アミーカがやりたいことだったの。学校のみんなが楽しく過ごせるように、その中で自分が過ごしたいからって」


 エヘッと照れ笑いのアミーカ。

 まあ今のうちらからしたら黒歴史だもんね、恥ずかしい気持ちは分かる。


「去年の秋頃、一日真面目に過ごしたら次の日遊び放題ってのもあったよね?あれ、私」


 …………


「「はぁーーーっ!!」」


 おお、反応が違う。


「あれはね、みんなが出来ることを確認した上で授業のやり方が悪いって先生に示したかったの。だから今年になって授業と休みの時間半分になったでしょ?」


「あれ私の案なの。今年になって成績急に上がった子も多いんじゃない?」


 私の質問に何人も手を上げてきた。

 おお、意外といるな。

 これはそのうち正式採用も近いかも。


「これ、みんなのためでもあるんだけど、私がみんなともっと歴史の授業の話したくて提案した、私がやりたいことだったんだよね」


 するとルナが


「え、でもそれってセレナのワガママじゃないの」


 と異論を唱える。


「ワガママだよ。でもそれの何がいけないの?」


 素直に認めた私に一瞬怯んだルナだけど、顎に手をあてじっくり考えると、


「分かったかも。つまり私たちは『自分のため』がなくて動いてたからおかしいって言いたいのね?」


 さすがルナ。

 物わかりの良さはクラスで一番だ。


「うーん、でも『自分のため』がなかったら、あんまり人って動けないと思うんだよね。だからみんな忘れちゃってるだけじゃない?」


 みんなは私の話を聞きながら、何かを思い出そうと、必死に頭を抱えてる。


「人のためってさ、すごく偉いことに見えるんだけど、それだけで動くのっておかしいんだよ。」


「そっか、私たちはその人のために生きてるわけじゃないから。自分のためにやらなきゃいけないのね」


 ルナの言葉に私は深くうなずいた。

 そう、私もアミーカも、軸に必ず私たち自身のためがあった。

 迷ってるみんなとの違いは、常にそれが前面に出てたか出てないかだけの違いだろう。


 ◇◆◇


「なあ、セレナ達はなんでそんなに強いんだ?」


 クルトがそうポツリ呟いた。


 強いかなぁ?

 私だっていっぱいくじけたし、泣かされたし、悠々自適に人生生きてきたわけじゃないんだけど……


「……そうだなぁ。去年の王都旅行で色々あってさ、迷っても立ち止まらなくていい理由が見つかったんだと思う」


「理由……?」


「うん。去年の冬休み前までは、正直、将来のことなんてぼんやりしてた。でも王都でさ、アミーカの『夢』を聞いたり、自分が何に怯えてたのか突きつけられて……」


「自分の足で歩く怖さと、それ以上の楽しさを知ったから。だから今は、迷うことさえ怖くない。自分で選んだ道なら、どんな回り道も全部未来への糧になるって信じてるから」


 するとアミーカが立ちあがって、


「セレナは自分なんか放っといて私は先に進めなんて言う時もあったんだよ?ひどくない、この弱虫セレナ?」


 と言うと、クラスのみんながクスクス笑う。

 雰囲気和らげるとはさすがアミーカ。

 でもその時のこと出すなぁっ!!

 あれは私にとっての黒歴史だっ!


「そ、それにみんなのおかげだってあるんだよ」


「私たちの?何が??」


 ルナがそう言うので、近寄ってルナの手を取る。


「私が貼った職業マップ、最初にルナが気づいて、その後クルトたちが興味を示して、最後はあんなに大きな動きを作った。私たちがいないのにね」


「あっ!」


 誰かがそう声を上げる。

 そしてアミーカが、


「あんなにすごいことが出来るなら、私たちはもう引っ張らなくていい、みんな自身で必要なことを頑張れるって、感じられたの」


 と話す。


「ま、そう思ってたらこんな話持ってこられたから、また不安になったけど?」


 と、冗談っぽく笑いながら言うと、みんなは恥ずかしそうに下を向いたり、照れ笑いをしたり。


「だからさ、迷ったらまたこんなして話そうよ。初等学校卒業したらはい、さようなら、他人ですじゃないじゃん」


「そうだよ、私たちで分からなかったらマチルダ先生だっているし、たくさんの大人だっている。頼るのは悪いことじゃないんだから」


 少しずつみんなの顔に生気が戻ってきた。

 中には目をキラキラさせる子も。

 そんなのを見てると、私も胸がポカポカしてきた。


「そっか、そうだな。迷ったら今みたいに聞けばいいんだよな」


 クルトのつぶやきに、私とアミーカはニヤリと合図を交わし、


「そうそう、ルナとケンカしたら相談くらい乗るよ?」


「女心がわかんねえ!とか一人で悩んじゃダメだよ?」


 と言うと、ようやくさっきからからかわれてたことに気付いたらしい。


「お、お、お前ら、いつの間にそれを!」


 顔を真っ赤にして後ずさるクルト。


 クラスのみんなは大笑い。

 たぶんみんなも気付いてたんだろう。

 だって分かりやすすぎるもんな。


 真っ赤になって泣きそうなルナを抱きしめて、ポンポン背中を叩きながら、「ゴメン、ゴメン」と謝っておく。


 ◇◆◇


 この日を境に、みんなは「自分のため」を考えるようになった。

 それが変わらず職業研究に繋がる子もいれば、別のものになった子もいる。


 それでも私たちは今まで以上にお互いの夢ややるべきことなんかを熱っぽく話し合うようになった。


 三年かけてうちのクラスはようやく「完成」したんだな。


 しかしそんな感慨に浸る間もなく別れの時は目の前に迫る。

 明日、もう明日か……。


 部屋のベッドから見える夜空に、なんとはなしに視線を投げかけながら、私は眠りについた。

「つむじ風コンビ」の正体に驚くクラスメート!ってか、誰も気づかなかったの?(笑)

「自分のため」に行動することが、結果として誰かのためになる。

セレナの最後の授業、クラスのみんなの心に深く刻まれましたね。


次回、第55話「特別じゃない私の卒業式」

いよいよ卒業の日。 「特別」だったセレナが求めた「普通」の別れ。

クラスメートたちのサプライズと、アミーカとの静かな誓い。 涙と笑顔の旅立ちです!


ついに明かされた『つむじ風コンビ』の正体!

卒業間近ってこういう秘密を言いたくなりますよね。

皆さんは『時効だから言うけど……』とカミングアウトした(された)経験、ありますか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ